事業承継の後継者育成とは?後継者候補の探し方、育成方法を解説

後継者育成は、事業承継後の企業を存続/成長させるうえで必要不可欠なプロセスです。この記事では、事業承継における後継者育成の方法について、後継者候補の探し方や中小企業の後継者不在の現状と共に紹介します。

中小企業を悩ませる後継者不在問題とは

事業承継の後継者育成について紹介する前に、まずは中小企業を悩ませる後継者不在の問題について取り上げます。

後継者不在問題の現状

株式会社帝国データバンクの『全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)』によると、調査対象の中小企業(約26万6,000社)のうち約65.1%(約17万社)が、後継者不在の問題を抱えています。本調査によれば、現在の後継者不在率は3年連続で低下しており、2011年以降では最低を記録しているものの、依然として3社に2社ほどの割合で後継者不在で悩む中小企業は存在しており決して油断できない状況です。 

後継者不在率と経営者の年齢/業種

後継者不在率は、経営者の年齢により変動します。帝国データバンクの同調査によると、後継者不在率は経営者の年齢が若いほど高く、30代未満の92.7%から80代以上の31.8%まで大きく開いている点が特徴的です。なお、全国平均値65.1%よりも高いのは、経営者の年齢が30代・40代・50代の企業であると報告されています。

また、業種によっても後継者不在率は異なります。後継者不在率の最も高い業種は建設業(70.5%)で、最も低い業種は製造業(57.9%)です。ちなみに、全国平均の65.1%よりも高い業種は小売業・サービス業・不動産業であると報告されています。

事業承継における後継者育成の重要性

後継者の選定および育成を行わない場合、たとえ業績の良い企業であっても廃業せざるを得ない状況に陥ります。実際に日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定しており、このうち「後継者不在」が理由の廃業は全体の3割ほど報告されています。

自身の企業や事業を後世に残していくためにも、後継者育成を着実に進めましょう。

後継者育成に必要な準備

後継者育成に必要な準備は、主に以下のとおりです。

  1. 後継者に求める素質/能力を洗い出す
  2. 後継者候補を探す
  3. 後継者育成で伝授すべきことを把握する

これらの準備を十分に済ませて、事業承継における後継者育成にスムーズに取り掛かりましょう。

①後継者に求める素質/能力を洗い出す

はじめに、自社の使命や理念、具体的な経営戦略を明確化させたうえで、後継者に求める素質や能力を洗い出します。理想の後継者像は企業ごとに異なりますが、経営者に求められる素質や能力は、主に以下のとおりです。

  • リーダーシップで組織をまとめて率いる
  • 主体性のもとで判断や行動する
  • 自社や自分自身を客観視する
  • 謙虚な姿勢で失敗や周囲の指摘から学ぶ
  • 感謝の気持ちで周囲に接する
  • 企業の使命や理念を自身の言葉で示す
  • 自社に対する深い理解
  • コミュニケーション能力(傾聴力、発信力、交渉力など)
  • リスクを防止し対処する危機管理能力

②後継者候補を探す

上記の洗い出しをもとに、後継者を探します。後継者を親族内で選べば周囲からの理解を得やすい一方で、必ずしも後継者に相応しい人材を確保できるとは限りません。適した人材を確保できない場合には、自社の役員や社員、社外の第三者などから後継者候補を探します。

③後継者育成で伝授すべきことを把握する

後継者候補といえど、はじめから経営者に求める要件を十分に満たす人材はいません。そのため、後継者候補がすでに備える素質や能力を踏まえながら、後継者育成で補うべき項目を把握しましょう。

後継者育成の方法【社内編】

社内で後継者を育成する方法は、主に以下のとおりです。

  1. 主要部門を中心とする業務経験
  2. 経営への参画
  3. 経営者自身による業務の指導・引継ぎ

それぞれの後継者育成の方法を把握して、自社で役立てましょう。

①主要部門を中心とする業務経験

自社の主要部門(営業・財務・人事など)をローテーションで経験させると、後継者に業務の流れや経営に必要な専門知識を理解させられます。また、現場の感覚が身につくほか、社員とコミュニケーションを取れるため、周囲から支持を集めやすくなる点もメリットです。

②経営への参画

後継者に対して、実体験により自社の経営を理解し実践できるようにさせるという目的があります。経営に参画すると、経営者に求められるリーダースキル/責任感/判断力などが養われ、十分に発揮できるようになるのです。後継者育成の一環で経営に参画させるときは、各部門・役職を経験させたうえで、経営権限を持つ役員クラスの役職に任命すると効果的です。

③経営者自身による業務の指導・引継ぎ

まずは、経営者と後継者が双方の想いや考えを共有・理解できるように話し合いの場を設けると良いです。このとき、経営者は創業や事業展開を振り返る歴史や経営理念などを後継者に伝えます。

その一方で、後継者からは、経営に対する考えや会社の将来像、事業構想などを聞き出しましょう。これらの内容についてはテキストや数値データの形で視覚化して共有し、確かな共通認識を持てると後継者育成を行ううえで効果的です。

後継者育成の方法【社外編】

社外で後継者を育成する方法は、主に以下のとおりです。

  1. 他社での業務経験
  2. 子会社/グループ企業の経営経験
  3. 社外研修/セミナーへの参加

それぞれの方法を把握して、社外・社内の双方から後継者育成を進めましょう。

①他社での業務経験

取引先や懇意にしている同業他社などに後継者を出向させて経験を積ませます。出向先が自社と異なる企業規模であれば、自社にはないアイデアやノウハウを得られる可能性が高いです。これに対して、同規模の企業であれば、自社を客観視できる能力を育成できます。そのほか、社外に人脈を形成できる点もメリットです。

②子会社/グループ企業の経営経験

子会社やグループ企業があれば、社内での業務経験をある程度積ませた後に経営に参画させるのも効果的です。経営経験を積むことで、実力と責任感を向上させられます。

③社外研修/セミナーへの参加

最近では、公的機関/事業承継のサポートを手掛ける民間企業などが企業の後継者に向けて研修やセミナーを頻繁に開催しています。こうしたイベントへの参加は、経営戦略/ビジネスモデルの考え方/財務会計/労務管理/会社法といった経営に必要な基礎知識を効率的に習得させられる点がメリットです。

後継者育成を成功させるポイント

後継者育成を成功させるポイントは、主に以下のとおりです。

  1. 育成を行う側が真摯に取り組む
  2. OJTとOFF-JTを使い分ける
  3. 後継者育成の期間に余裕を持たせる

それぞれのポイントを掴んで、自社の後継者育成に活かしてください。

①育成を行う側が真摯に取り組む

後継者育成では、何よりもまず現在の経営者をはじめとする育成を行う側が真摯に取り組む姿勢を持つことが大切です。もしも「後継者を信頼しきれない」などの理由で承継の直前まで経営者が仕事を抱え込んだり、逆に「自由にすればよい」と後継者を放任したりすれば、後継者育成は成功しません。

育成側が後継者の成長を自身のことのように喜んで褒めることで、後継者の自信やモチベーションが向上し、後継者育成がいっそうスムーズに進行します。

②OJTとOFF-JTを使い分ける

現状、多くの企業では社内での後継者育成(OJT)に主軸が置かれています。OJTには相互理解のしやすさや戦力への直結といった多くのメリットがあるものの、その一方で指導者の能力を超える後継者育成や体系的な指導などが困難であり、精神論に偏りやすいといったデメリットもあるのです。こうしたメリット・デメリットを理解して、OJTを補う形で社外での後継者育成(OFF-JT )も取り入れましょう。

③後継者育成の期間に余裕を持たせる

後継者育成では、なるべくじっくりと時間をかけてキャリアを着実に蓄積させましょう。仮に余裕のない期間設定で後継者育成を行えば、現場感覚など必要な素質や能力が十分に養われず、社員からの信頼が得られないおそれがあります。短くても5年間、余裕を持たせるなら10年間程度の期間を後継者育成に充てると良いでしょう。

後継者の選定・育成に悩んだら専門家に相談すべし

この記事では、後継者育成について、後継者候補の探し方や中小企業の後継者不在の現状などを踏まえながら紹介しました。そもそも後継者育成を行う前には、次期経営者に相応しい人材を探す必要があります。もしも親族や社内に後継者に相応しい人材がいない場合には、M&Aによる第三者への事業承継を検討しましょう。

M&Aを利用すれば後継者不在の問題を解決し事業承継を果たせますが、手続きの進行には専門知識が求められるため、不明点・お困りのことがあれば専門家に相談して判断を仰ぐことをおすすめします。M&Aによる事業承継の専門家選びでお悩みでしたら、フォーバルまでご相談ください。

当社フォーバルは、過去20万社の経営支援実績があり、中小・小規模企業の存続と成長に向けた事業承継M&A支援を手掛けています。まずはチャットやお電話で無料でお気軽にご相談いただけますので、ぜひお問い合わせください。


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