後継者問題と後継者求人におけるポイントを解説!

昨今の後継者問題は、現在国内でも重大な問題として取り上げられており、中小企業の経営者を悩ませています。経営者が引退等を視野に入れる際に、後継者問題は表面化します。中小企業の経営者の高齢化により深刻化しているこの問題は解決策が難しく、後継者がいないことにより、廃業を余儀なくされることもあります。後継者問題を解決するには、まず後継者となる経営感覚やリーダーシップなどに優れた人材を育てるもしくは探すことが大切です。今回は、後継者問題の背景と求人を出す前の見直し、求人を出すときのポイントについて解説します。

 

後継者不足の背景

日本政策金融公庫総合研究所が約4000社の中小企業経営者に行った事業承継に関するアンケート調査によると、現在60歳以上の経営者の半数が、廃業を予定していると答えています。そのうちの約3割は、「子どもに継ぐ意志がない」「子どもがいない」「適当な後継者が見つからない」といった、後継者不在が原因の廃業予定となっています。

 

中小企業庁委託「中小企業の成長と投資行動に関するアンケート調査」によると、日本では年間7万件もの中小企業が廃業しており、そのうち5割近くが、経常黒字にもかかわらず廃業を選択しています。後継者不在が原因で廃業した中小企業や廃業予定の中小企業は年々増加しています。いくら経営状態が良くても、事業を引き継ぐ人材がいなければ、会社経営を続けることはできないのです。

後継者不足が起こっている主な原因としては以下の点があります。

 

1)少子化と、親族間承継への不安定さ

中小企業庁委託「中小企業の成長と投資行動に関するアンケート調査」によると、割合的に最も人口の多い中小企業経営者の年齢は、この20年間で47歳から66歳に急上昇しました。それに伴い、経営者の平均引退年齢も上昇しています。特に小規模事業者では、70歳の大台を突破しています。

一方、少子化によって後継ぎとなる子供の数がどんどん減っています。今までの中小企業の後継ぎは、多くが子どもへの事業承継で成り立っていましたが、少子化によって子どもの数が減り、さらに事業を引き継ぎたくないと考える子どもが増えたことで後継者問題が起こり、親族間の事業承継は年々減り続けています。

また、継承する子どもが居た場合でも、価値観の多様化や家族の在り方の変化から、中小企業の経営者や個人事業主は子どもに後継ぎとして強制することが少なくなっているのも事実です。親族間の事業承継は相続の問題や個人補償の問題など、さまざまなトラブルが起こる可能性もあります。事業譲渡や株式譲渡などのM&Aによる事業承継の際も、後継ぎの税負担や資金面の負担を考えて親族承継を躊躇するオーナー経営者が多く存在するのが事実です。親族間のトラブルや後継者の負担を避けたいという意識が、後継者不足にも影響しています。

 

2)事業の不安定な見通し

前述した日本政策金融公庫総合研究所が行った事業承継に関するアンケート調査で、廃業予定理由として最も多かったのは「当初から自分の代でやめようと思っていた」と「事業に将来性がない」でした。

この2つの理由が全体の65%を占めています。日本国内の消費活動が縮小していく一方で、テクノロジーの進化により経済トレンドの変化は速くなっています。

数年先を見通すのも難しい現代で、経営者や後継者候補の親族は事業の継続性に不安を抱えています。その結果事業の引き継ぎを躊躇し、事業を承継せず廃業する選択肢を選ぶ経営者が増えています。

 

3)後継者の対策の遅れ

事業承継の準備期間は、次の章でも紹介する通り、後継ぎの教育は5年から10年は必要だとされています。

しかし帝国データバンクの「中小企業における事業承継に関するアンケート・ヒアリング調査」によると、60歳以上の中小企業経営者のうち約半数が、これから準備をする、現時点では準備をしていない、現在は事業承継を考えていない、と回答しています。

後継者不足を解決するには早めの対策が必要ですが、実際には解決のための対策をできていない経営者が多い現状です。経営者が後継者不足の対策ができていない理由として

  • 日々の経営で精一杯である
  • どうやって始めれば良いかわからない
  • 誰に相談すれば良いかわからない

といった背景があります。

 

求人を出す前の後継者探しの見直し

そこで、後継者不足を解決するため求人を打ち出す前にできる、後継者探しの見直しを紹介します。

 

1)親族などから後継者を探す

まず中小企業の経営者が後継者探しをする際、一番多いのがこの方法です。

中小企業では、子供や配偶者、親戚などの「親族」と一緒に会社経営をしているというケースも珍しくありません。後継者を探しているならば、まずは一緒に働いている「親族」を後継者とすることを検討してみましょう。子供や甥っ子など、身内の信頼できる人を後継ぎとして後継者候補にあげると、事業も引き継ぎしやすいこともあり一番手っ取り早い方法です。また、引き継ぐ際の贈与税や相続税においては、事業承継税制が適用される場合は納税の猶予若しくは免除されることもありますので、事前に確認していくと良いでしょう。

後継者を親族の中から選んで「親族内承継」を実施すると、会社の従業員や取引先からの理解も得やすく、スムーズに事業承継を進めることが可能です。また、「親族内承継」することをあらかじめ決定しておけば、前もって後継者を教育することもできます。

 

2)従業員から後継者を探す

中小企業では、従業員にそのまま後継者として会社の後継ぎをしてもらう方法もあります。このような場合、後継者は会社を丸ごと買い取れるだけの資金力が必要で、技術や知識だけではなく、資金力の面でもサポートが必要になることがあります。

上記の方法を試してみても、身近に後継者を育成、探せない場合があるでしょう。その場合は公募で求人を出します。

 

後継者を公募するときのポイント

 

外部から招へい・登用を行えば、すでに経営者としてのスキルや実績を持った人物を直接探す、もしくは後継者候補を探して入社させることができます。元から経営者のスキルと実績を持った人物を招くことができれば、事業の継続と成長が期待できます。新しい経営者の視点から、自社の強みを伸ばし、弱みを改善できる可能性もあります。しかし、外部から後継ぎを招く場合は、経営方針の違う経営者の就任によって、企業風土が変わる可能性もあります。

 

後継者候補を雇う場合は、自社の業務を覚えてもらったりリーダーとしてのスキルを身に付けてもらうなどの教育期間が必要です。後継ぎの育成には一般的に5年から10年かかるとされています。ただ、後継者候補の育成では、自社の業務内容に適性のある人物やリーダーとしての資質がある人物に事業承継できるので、事業を継続、成長させていくことは比較的楽かもしれません。また、自社の理念や経営方針も身に付けるので、企業風土も維持できます。

ただ、後継者候補が複数いる場合は、後継者争いが起きる可能性があります。また、後継者候補として育てるには時間がかかり、身に付けるべきスキルは多岐に渡りますし、候補者もそれに同意しながら育っていかなければなりません。計画的に後継ぎ教育を行えなかったり、候補者と万が一亀裂が入ってしまったりすると、徒労に終わる可能性があります。

 

後継者探しの求人を出すポイントとして、経営感覚やリーダーシップなどに優れた人材を登用することと、支援体制が整った機関を活用して後継者の選ぶ必要があります。

 

まず、後継者として選択する人物は、「経営感覚やリーダーシップなどに優れた人材」であるべきです。身の回りに、経営感覚に優れた人や、しっかりとしたリーダーシップを発揮できる人がいない場合には、公的機関である事業引継ぎ支援センターへ相談をしたり、後継者求人のマッチングサイトで希望の条件を設定するなどして、資質のある後継者を探す手筈を整えましょう。

 

後継者不足を解決するには、現状を把握し、十分な期間をもって、後継者となる経営感覚やリーダーシップなどに優れた人材を育てるもしくは探すことが大切です。手遅れになる前に、行動を起こした方が賢明でしょう。

 

 


TOP