調剤薬局業界とは

調剤薬局とは、医師の処方せんに基づいた医療用医薬品を調剤し販売する事業所のことです。調剤薬局の開設には、薬事法に伴い、所在地となる都道府県知事の許可が必要になります。ちなみに調剤薬局の中で、保険薬局の指定を受けた薬局のことを保険薬局と言います。

保険調剤を行う場合、薬局は保険薬局の指定、薬剤師は保険薬剤師登録を、厚生労働大臣(実際のところ現在は地方厚生局支局長に権限が委譲されている)から受ける必要があります。

調剤薬局は、医薬品メーカーや医薬品卸業者から医薬品を手に入れます。医薬品メーカー等からの調達価格と厚生労働大臣告示による薬価(公定価格)との差額が薬価差益と呼ばれ調剤薬局の主な収益減となっています。

また調剤薬局は、医療機関より交付された処方せんに基づき、調達した医薬品を調剤して患者に提供します。その対価が調剤報酬となりますが、調剤報酬の70~90%は医療保険者からの支払いとなり、あとの残りは患者負担となります。


医薬分業によって院外処方が増加傾向

一般的に患者が薬を受け取るには2つのケースがあります。1つは医療機関において医師や薬剤師から院内で受け取る院内処方、もう一つは医師から交付される処方せんに基づき、近くの調剤薬局で薬剤師から受け取る院外処方があります。医師および薬剤師、それぞれ専門分野の業務分担により効率化を図るため、厚生労働省が医薬分業を推進してきたこともあり、院外処方は増加傾向にあります

調剤薬局業界の市場環境

市場規模拡大は厳しい調剤薬局業界

調剤薬局業界は、高齢化が進む日本では、今後も調剤機会の増加は予想されるものと言えます。しかし、調剤報酬算定要件の見直しや薬価の引き下げの実施なども影響し、市場規模拡大は多く望めないのが現状です。


かかりつけ薬剤師・薬局

調剤薬局は、かかりつけ機能強化が求められており、2016年の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師や薬局を評価する改定が行われました。しかし、かかりつけ機能の1つとされる「24時間対応」「在宅対応」については、経験豊かな薬剤師はまだ少ないのが現状であり、処方せん枚数が40枚/に満たない、といったこともあり、薬剤師を多く抱えている薬局等に限定されています。


セルフメディケーションによる
一般用医薬品「OTC」の一般化

セルフメディケーションとは、軽いけがや病気の治療・または予防を医療保険制度の適用外となる一般用医薬品(OTC)によって自身の手で行うものです。薬事法及び薬剤師法の改正によりOTC販売規制緩和が行われ、調剤薬局OTCの販売促進がなされています。

また、2016年の税制改正でOTCの所得控除を創設、税制の面でもセルフメディケーションが促進されています。

IT・ソフトウェア業界の競争環境

コンビニ・ドラッグストアとの競争激化

医薬品の規制緩和によって、コンビニなどでもOTC販売が行われており、さらにはドラッグストアでも調剤コーナーを併設、医薬品の販売が行われるなど、調剤薬局を取り巻く環境は年々厳しくなっています。


今後は寡占化が進む調剤薬局業界

全国の薬局数は約58,000店と、小規模店舗がひしめき合っており、全体の約70%が個人薬局というのがこの業界特色です。実際、大手の調剤チェーン、ドラッグストアのシェアはトップ企業で約3%、上位10社合わせて16%弱といった低寡占市場となっています。しかし昨今、年間1,000店舗ペースでのM&Aが行われていることから、さらにM&Aが加速していくと思われます。

現在の調剤薬局業界のビック3は、アインホールディングス、日本調剤、クオールです。


かかりつけ薬剤師の育成に力を入れる
アインホールディングス

アインホールディングスは、2018年3月、全店舗の910店舗でかかりつけ薬剤師管理料を届出、かかりつけ薬局化を推進しています。また昨今、新卒薬剤師を大量採用し、かかりつけ薬剤師の育成に力を入れています。かかりつけ機能を充実させることで売上高が向上している企業です。また、ジェネリック医薬品の使用促進にも積極的に取り組んでいます。


在宅医療を積極的に実施している日本調剤

在宅医療の実施店舗95%を実現している、業界2位の日本調剤は、国が求めている薬局イメージに近づけることで、売上アップを実現しています。こちらもジェネリック医薬品の使用促進を実施、使用


利用者の快適性向上に向けた
設備投資を展開するクオール

「街ナカ」「駅チカ」「駅ナカ」といった様々な業態の薬局を展開しているクオール薬局は、健康サポート薬局の届出を推進しています。現在は、患者のための薬局ビジョンに向けた体制整備を強化中です。さらに利用者の快適性向上への設備投資を行い、結果として売上向上につながっています。

調剤薬局業界のM&Aの動向

調剤薬局業界は、小規模事業者が多数存在している業界で、昨今訪れているOTC医薬品の販売規制緩和、それにともなう他業種の参入・競合、薬剤師の不足や高齢化、薬価引き下げなどといった環境の変化に伴い、多くの小規模事業者は、大手薬局チェーン傘下に入ることによって店舗存続を図るためM&Aを積極的に行う傾向にあります。今後もこのM&Aの取引件数は、後継者不足の高齢経営者の増加により拡大することが見込まれます。


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