アパレル業界とは

アパレル業界は、主に紳士服や婦人服、子供服などの企画、製造、卸売販売を行う企業を扱う業界です。

現在、衣類全体の市場規模は約11兆円程度とされており、婦人服が衣料市場の大半を占めており、紳士服は婦人服の1/3程度となっています。アパレルのチャネルは多様化しており、百貨店をはじめ、GMS(総合スーパー)や小売、セレクトショップ、直営店、インターネット等の通信販売等に分類されています。その中でも有名ブランドにおいては、高いブランド力に裏付けされた集客力を活かして直営店舗販売に注力しており、一方、ファストファッションといったSPA(製造小売業)型小売企業では、自社店舗のみの営業による販売が中心となっています。

製造部分については、大手アパレルメーカーの多くがコスト削減のため、製造部門を中国やASEAN諸国といった海外で持つケースが多く、これまで主流となっていた国内の縫製会社は廃業に追い込まれつつあります。


流行や商品入れ替わりの早さが特徴

アパレル業界の特徴として、流行や商品の入れ替わりが非常に早く、売れ残った商品は、その季中に売り切る施策として過度な値引きの実施や在庫の評価損が起こり得ます。たとえば百貨店では、在庫リスクを負担しない形態である委託仕入れ、消化仕入れ制度といった形をとることが多く、メーカー側が在庫リスクを負担するために売れ残りによるリスクを価格に転嫁することが必要となってしまいます。

そのような理由から、業界としては、小売事業者との間の在庫管理の強化や、過剰在庫を防ぐための正確な需要予測が必要となっています。

アパレル業界の市場規模

百貨店市場の減少と
ファストファッション・ECの台頭

業界大手企業は、百貨店を中心に展開するケースが多いものの、ファストファッションの台頭や通信販売の拡大によって百貨店の市場規模は減少傾向にあるのが特徴です。百貨店や総合スーパーの市場規模は、経済産業省『商業動態統計』によると1990年代後半からは減少傾向にあります。2018年における百貨店、総合スーパーでの婦人や子供服の販売額は、衣料品販売額全体(2.9兆円)の70%を占めてはいるものの10年前からは3割も減少しています。その結果、百貨店の営業不振に伴い不採算店舗の閉鎖を行うなどリストラを断行しています。

一方、小売業においては、経済産業省『経済センサス』によると、婦人服・子供服小売業の販売額は、SPA型のチェーン専門店による多店舗展開等の影響により2016年に5兆円となり、2010年からは増加傾向となっています。

通信販売(EC)も増加が顕著にあります。『電子商取引に関する市場調査』によると、2017年の衣類全体のEC市場規模は1.6兆円で、前年比7.6%の増となっており、今後ECが百貨店の売上高を超える可能性が非常に高くあります。


衣料品市場の売上高の概算

経済産業省『商業動態統計』『経済センサス』『電子商取引に関する市場調査』より

(単位:兆円)婦人・子供服紳士服その他
百貨店1.91.40.40.1
総合スーパー1.00.60.30.1
小売業6.55.01.5-
通信販売1.6---

アパレル業界の競争環境

婦人服では
ワールド、オンワード、TSIの3強

アパレル業界の婦人服売上上位3強は、ワールド、オンワードホールディングス、TSIホールディングス(サンエー・インターナショナルと東京スタイルの経営統合により誕生)となっています。その下にファイブフォックス 、三陽商会、イトキン、クロスプラスといった企業が位置しています。これら企業の主な販売チャネルは、百貨店、ファッションビル、SCなどです。


2018年に再上場したワールド

ワールドは、2005年グループ内プラットフォーム強化を目的にMBOにより非上場化し、2017年4月に持株会社体制へ移行しましたが、2018年9月に再び上場しました。UNTITLED(アンタイトル)、INDIVI(インディヴィ)などの百貨店向けブランドと、OPAQUE.CLIPなどのSC向けブランドがありますが、ブランド事業全体の売上高は減少傾向にあります。

業績不振を受け、2015年に経営体制を刷新、不採算店舗約480店舗を閉鎖し、現在は製造コスト低減やEC販売チャネルの拡大などを試みています。企画ノウハウや生産基盤を生かした、他ブランド商品のOEM受託にも取り組むプラットフォーム事業や、中国、台湾、韓国、香港での販売事業再構築に取り組む海外事業も進めているのが特徴です。


実店舗は苦戦している婦人服部門の
オンワードホールディングスは、EC強化と海外進出を加速

オンワードホールディングスは、「23区」「組曲」「自由区」「ICB」などのブランドが有名。主要子会社であるオンワード樫山の販売チャネルは65%を百貨店が占めているものの、2017年度2月には不採算の100店舗を閉鎖しています。現在は、都市型ファッションビルや駅ビル対応型ストアの開発、EC事業拡大に向け展開を試みています。


紳士服では
オンワード、三陽商会、レナウンの3強

アパレル業界の紳士服売上上位3強は、オンワードホールディングス、三陽商会、レナウンが占めています。いずれもレディース事業をコアとする総合アパレルメーカーであるのが特徴ではあるものの、紳士服業界は、中小・小規模企業が多く存在する分散市場となっています。メンズアパレル各社は、機能性の高い衣料の開発や、海外における販売展開、ECの強化、ブランド転換といった今までにない方向性を模索しているのが見受けられます。


紳士服としてのオンワードホールディングスは海外ブランドが中心

オンワードホールディングスは、メンズだと「J.PRESS(Jプレス)」「五大陸」「enterG(エンターG)」などを展開しているのみならず、Calvin Klein(カルバン=クライン、USA)のような海外ブランドのライセンス事業も多く手がけています。こちらも都市型ファッションビルや駅ビル対応型ストアの開発、在庫一元化などのEC強化策を行い、2017年度通期のEC売上高は前年比37%増と売上を大きく伸ばしています。


2015年6月に「バーバリー」との契約満了した
三陽商会はブランドの再構築と育成を目指す

紳士服の売上高が全体の1/3程度を占めている三陽商会は「エポカ」「ポール・スチュアート」「マッキントッシュ」などのブランドを展開しています。
2015年6月末に「バーバリー」と契約満了となったのち、現在は「マッキントッシュロンドン」「マッキントッシュフィロソフィー」「ブルーレーベル・クレストブリッジ」「ブラックレーベル・クレストブリッジ」のほか、「エポカ」、「ポール・スチュアート」など、主力となるブランドの強化と既存ブランドのリブランディングに力を入れています。
他社と同様、ECに関しては自社通販や、ブランドサイトの機能強化といった改善策を掲げており。2019年度は、売上高650億円、営業利益20億円を目指しています。


主力販路の百貨店販売で
苦戦、収益力強化を図るレナウン

レナウンのメンズブランドでは「ダーバン」「エレメントオブシンプルライフ」「アクアスキュータム」「インターメッツォ」などを展開しています。景気低迷から2008年以降業績が悪化、2010年に中国紡績大手のShandong Ruyi Science & Technology Group(山東如意科技集団)に買収されてしまいました。
今後は、マーケティングを強化した出店戦略や販売戦略の促進、山東如意科技集団との連携強化を展望として掲げています。

アパレル業界における
M&Aの動向

アパレル業界では、通信販売(EC)によるビジネスが市場では欠かせないものとなってきました。そのためwebやスマホアプリ開発などwebによる販路拡大に向けたM&A案件が昨今増加しています。

さらに、AIやICTの技術によって流通のみならず接客対応にもITを利用したサービスの開発にともなうM&A、さらにはファストファッションに対応するためのブランド力強化、事業規模拡大を目的としたM&Aも行われてくることが予想されます。


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