【2020年7月9日更新】事業承継やM&A関連費用にも適用できる経営資源引継ぎ補助金とは

令和2年4月30日に成立した今年度の補正予算は、事業規模が過去最大の111兆円となり、新型コロナウイルスの影響による景気悪化を下支えするためのさまざまな政策が盛り込まれることとなりました。

その中でも事業承継やM&Aに関係するものとしては、新たに「経営資源引継ぎ補助金」が創設され、経営資源や雇用・技術を次世代に引き継ぎ、地域のサプライチェーンを維持するための強力なバックアップ体制が整えられることになりました。

本日はこの経営資源引継ぎ補助金について、現時点(2020年7月9日)でわかっていることについてできるだけ詳細に解説していきます。

30秒でわかる!経営資源引継ぎ補助金の要点

現時点(2020年7月9日)でわかっている「経営資源引継ぎ補助金」の要点を、簡単にまとめてみました。とりあえずこれさえ読んでいただけば、この補助金がどのようなものなのかがご理解いただけると思います。

要点① M&Aの「売り手」「買い手」の両方に対して、M&A仲介会社などへ支払う仲介手数料が補助されます

M&Aの「売り手」と「買い手」のどちらも、期間内にM&Aの仲介会社などへ支払った費用の一部を補助してもらうことができます。

今までこれらの費用は「売り手」「買い手」ともに自己負担でしたが、今回この経営資源引継ぎ補助金が創設されたことにより、M&Aのための費用が補助されることになりました。

要点② M&Aの検討のみで終わったり、補助事業期間(2021年1月15日まで)に間に合わなくても、着手金等に対して支援が受けられる制度となっています

この補助金は、「①事業再編・事業統合等が着手される時点(仲介会社との提携仲介契約の締結など)」と「②M&Aの最終契約を結んだ時点」の2段階に分けて補助金額が設定されています。②の最終契約が期間内に成立しない場合でも、一部経費に対しての補助を受けることができます。

なお、具体的な補助金額や、受給のための要件などの詳細については、次章以降で解説していきます。

それでは概略をざっとつかんでいただいたところで、もう少し詳しくこの補助金の内容を見てみましょう。

当社フォーバルは、2万社を超える支援実績があり、本制度の最新の情報も把握しています。「経営資源引継ぎ補助金」を活用して損しない事業承継を早く進めたい方はこちらからフォーバルまでお問合せください。

経営資源引継ぎ補助金とは

経営資源引継ぎ補助金とは、令和2年度の補正予算に盛り込まれた雇用の維持と事業の継続対策のひとつです。

経営者が高齢化した企業の事業承継を促進し、雇用の維持や技術の伝承、組織再編による企業の効率化を支援するための支援として、今年度新たに創設されました。

経営者引継ぎ補助金の事業目的

経営資源引継ぎ補助金は、事業再編・事業統合等に伴う中小企業者の経営資源の引継ぎに要する経費の一部を補助する事業を行うことにより、新型コロナウイルス感染症の影響が懸念される中小企業者に対して、以下の2つの支援を達成することにより新陳代謝を加速し、日本経済の活性化を図ることを目的としています。

  1. 経営資源の引継ぎを促すための支援
  2. 経営資源の引継ぎを実現させるための支援​

経営資源引継ぎ補助金の特徴

事業承継やM&Aを促進するため、新たに士業や仲介業者などの専門家に必要な費用に対して補助金が支給されるようになりました。

これまで手数料の支払いを躊躇し、事業承継やM&Aになかなか踏み出せなかった経営者に対して補助金を支給することにより、事業承継やM&Aを促進させることが狙いです。

予算規模

経営資源引継ぎ補助金の予算規模は36億円(消費税及び地方消費税を含む)となっています。

補助予定件数

約900件を予定しています。

補助の対象者

中小企業者の定義を満たす企業または個人で、かつ期限内に事業承継やM&Aを行ういわゆる「買い手」と「売り手」の両方です。

「買い手」を「買い手支援型(Ⅰ型)」、「売り手」を「売り手支援型(Ⅱ型)」に分類し、それぞれに対してM&Aのための費用を補助します。

補助の対象となる費用とその金額

補助の対象となる費用と補助される金額は、「買い手支援型(Ⅰ型)」と「売り手支援型(Ⅱ型)」によってことなります。

「買い手支援型(Ⅰ型)」の補助の対象となる費用と補助される金額

①経営資源の引継ぎを促すための支援​を選択した場合

事業承継やM&Aに関して支払った士業専門家などの費用の合計額の2/3、もしくは100万円のどちらか少ない方となります。

なお士業専門家などの費用とは、具体的には以下のものをさします。

  • 士業専門家に支払う報酬
  • M&Aの仲介業者に支払う仲介手数料
  • 企業概要書に支払う費用
  • その他
②経営資源の引継ぎを実現させるための支援​を選択した場合

事業承継やM&Aに関して支払った士業専門家などの費用の合計額の2/3、もしくは200万円のどちらか少ない方となります。

なお、①②ともに補助下限額が設定されており、50万円を下回った場合には補助金の受給はできません。

また、②を選択して最終的にクロージングまで行けなかった場合には、自動的に①と同じ条件で補助金を受給することができます。

「売り手支援型(Ⅱ型)」の補助の対象となる費用と補助される金額

①経営資源の引継ぎを促すための支援​を選択した場合

事業承継やM&Aに関して支払った士業専門家などの費用や既存事業の廃業費用の合計額の2/3、もしくは100万円のどちらか少ない方となります。

②経営資源の引継ぎを実現させるための支援​を選択した場合

事業承継やM&Aに関して支払った士業専門家などの費用や既存事業の廃業費用の合計額の2/3、もしくは650万円(うちM&A手数料の上限が200万円、廃業費用の上限が450万円)のどちらか少ない方となります。

なお、①②ともに補助下限額が設定されており、50万円を下回った場合には補助金の受給はできません。

また、②を選択して最終的にクロージングまで行けなかった場合には、①と同じ補助上限額まで補助金を受給することができます。

補助金の公募開始時期

申請受付期間が下記のように決定しました。

  • オンライン申請・・・2020年7月13日(月)~8月22日
  • 郵送による申請・・・2020年7月13日(月)~8月21日(金)※当日消印有効

当社フォーバルは、2万社を超える支援実績があり、本制度の最新の情報も把握しています。ご自身が対象なのかやスケジュールなど、「経営資源引継ぎ補助金」について更に詳しく話を聞いてみたい方はこちらからフォーバルまでお問合せください。

経営資源引継ぎの要件とは

経営資源引継ぎ補助金は、M&Aのいわゆる「売り手」と「買い手」の両方を支援するタイプの補助金で、「売り手」側も「買い手」側も、「①経営資源の引継ぎを促すための支援」か「 ②経営資源の引継ぎを実現させるための支援」のどちらかを申し込み時に選択します。

①はM&Aの入口に立たせるための支援で、②はM&Aをやり遂げさせるための支援であり、補助金額は「売り手」「買い手」ともに②の方が多いのですが、①で申し込んでクロージングまで行っても①の補助上限額までしか出ません。

しかし②で申し込んでさえおけば、万が一クロージングまで行かなくても①と同じ上限額でまの補助金をもらうことが出来ます。

そこで、どうすれば①の条件を満たし、またどうすれば②の条件を満たすのかについて、ここでしっかりと確認しておきましょう。

「①経営資源の引継ぎを促すための支援」の要件

経営資源引継ぎ補助金の公募要領には、以下のように記載されています。

「① 経営資源の引継ぎを促すための支援は」、補助事業期間に経営資源を譲り渡す者(以下、「被承継者」という。)と経営資源を譲り受ける者(以下、「承継者」という。)の間で事業再編・ 事業統合等が着手される予定であることとする

「着手される予定であること」とは簡単にいうと、「売り手」もしくは「買い手」の企業がM&Aの仲介会社と提携仲介契約を結んだ状態をいいます。

ですから、とりあえず期間内にM&Aの仲介会社と契約さえ結んでおけば、「 ①経営資源の引継ぎを促すための支援」の要件を満たすことができるため、この時点で実際にかかった経費の2/3もしくは100万円のどちらか少ない方を「売り手」「買い手」ともに受給することができるわけです。

「 ②経営資源の引継ぎを実現させるための支援」の要件

経営資源引継ぎ補助金の公募要領には、以下のように記載されています。

「② 経営資源の引継ぎを実現させるための支援」は、補助事業期間に被承継者と承継者の間で事業再編・事業統合等が着手され、かつ行われる予定であること

「行われる予定であること」とは簡単にいうと、「売り手」もしくは「買い手」の企業がM&Aの最終契約を締結した状態をいいます。

ですから、期間内に無事最終契約を結ぶことができれば、全費用の2/3もしくは、①「売り手」の場合で650万円(うちM&A手数料の上限が200万円、廃業費用の上限が450万円)、②「買い手」の場合は200万円のどちらか少ない方を受給することができるわけです。

なお、②で申し込んで最終契約まで辿り着けなかった場合、上限額が①と同じ金額で補助金を受給することができます。

経営資源引継ぎ補助金の申請から受給までの流れ

では次に、経営資源引継ぎ補助金の申請から受給までの具体的な流れをご紹介します。

経営資源引継ぎ補助金の募集開始から補助金支給までの流れ

  1. 経営資源引継ぎ補助金事務局による補助金の募集が開始されます
  2. 補助対象者による補助金の交付申請が、オンラインもしくは郵送により行われます
  3. 経営資源引継ぎ補助金事務局により、補助対象者の審査と選考が行われます
  4. 選考が決まると、経営資源引継ぎ補助金事務局より補助対象者に通知書が送られ交付が決定します
  5. 補助対象者は事業承継やM&Aをスタートし、途中遂行状況の報告を経営資源引継ぎ補助金事務局に対して行います
  6. 事業承継やM&Aが完了次第、経営資源引継ぎ補助金事務局に対して完了報告を行います
  7. 経営資源引継ぎ補助金事務局より補助対象者に確定通知が行われます
  8. 補助対象者は経営資源引継ぎ補助金事務局に対し、補助金の請求を行います
  9. 経営資源引継ぎ補助金事務局による精査の後、補助金が交付されます

なお、事業全体のスキームは下図のようになっています。

出典:経営資源引継ぎ補助金事務局HP

経営資源引継ぎ補助金の申請から受給までのタイムスケジュール

経営資源引継ぎ補助金の申請から受給までのタイムスケジュールをご紹介します。現時点(2020年7月9日)ではまた未定の部分もありますので、詳細が決まり次第随時更新していきます。

現時点(2020年7月9日)では申請から受給までのタイムスケジュールは以下のように決められています。

経営資源引継ぎ補助金の公募期間

公募方法はオンラインもしくは郵送による申請のどちらでも行うことができます。それぞれの公募期間は以下のようになっています。

  • オンライン申請の場合の公募期間・・・2020年7月13日(月)から2020年8月22日(土)19時まで
  • 郵送による申請の場合の公募期間・・・2020年7月13日(月)から2020年8月21日(金)までの間の消印有効

経営資源引継ぎ補助金事務局による交付決定日

申請が締め切られると、事務局による書類審査と選考が行われます。選考が終わり交付が決定されるのは9月中旬(予定)となっています。

補助対象事業の実施期間

交付が決定されると、実際に事業承継やM&Aに向けた取り組みがスタートします。その実施期間は交付決定日(9月中旬(予定))から最長で2021年1月15日(金)までを予定しています。

実績完了報告期間

予定通り無事事業承継やM&Aが完了した場合、完了後原則15日以内に実績完了報告を経営資源引継ぎ補助金事務局に行います。

経営資源引継ぎ補助金の交付手続き開始日

2021年3月下旬ごろが予定されています。

ご自身での申請準備が間に合わない、時間が取れないけれども本補助金を活用して事業承継を進めたい方はぜひフォーバルにお問合せください。

経営資源引継ぎ補助金は申請すれば誰でももらえる?

経営資源引継ぎ補助金は、公募による書類審査によって補助金支給の採択が決定されます。そのため、申請をしても必ずしも支給されるわけではありません。

また予算が決まっているため、予算規模を超える支給が行われることもありません。

審査の採択基準

経営資源引継ぎ補助金の公募要項には、採択基準が以下のように記載されています。

地域の需要及び雇用の維持や、地域の新たな需要の創造及び雇用の創出を図り、我が国経済を活性化させる事業再編・事業統合を促進 するという観点から(中略)補助対象事業を踏まえるも のとする。また、事業の独創性、収益性、継続性等及び当該事業者の状況を勘案 し、政策的に支援する必要が認められるものに限るものとする

つまり、

  • 現在の雇用が維持できること
  • 新たな事業を創出し、新規雇用を増やすこと
  • 組織再編などにより企業を効率化し、その競争力を高めること

などが、事業承継やM&Aにより可能になるかどうかが審査の上で大切なポイントになると思われます。

補助金はどのタイミングで支給されるのか

補助金の採択決定後、指定された期間中に支払ったこれらの費用に対して補助金が支給されます。つまり、まず先に費用を支払い、後で補助金を受給することになります。

決して先に補助金が受給できるわけではありませんから、その点をご注意ください。

とりあえず現時点(2020年7月9日)で考えられる経営資源引継ぎ補助金の問題点

経営資源引継ぎ補助金の詳細は、現時点では公表されていません。しかしながら公表されている範囲内で、考えられる問題点を整理してみます。

費用の支出期間が短すぎる

士業などの専門家に支払う経費の支出は、指定された期間内に支払われなければ補助金の対象としては認められません。現時点(2020年7月9日)で詳細は決定していませんが、交付決定日(9月中旬(予定))から最長で2021年1月15日(金)までが費用の支出期間となります。

つまり、最大でも4ヶ月弱程度の間に支出した費用しか補助金の対象にならないわけですから、支出期間はかなり短いといえます。

この条件に実際の支出をあわせようとすると、M&Aの仲介会社などと事前にかなり準備をしておかなければ、この期間内に合わせて費用を支払うのが難しくなってしまいます。

ご自身での申請準備が間に合わない、時間が取れないけれども本補助金を活用して事業承継を進めたい方はぜひフォーバルにお問合せください。

事業承継補助金との併用は可能か?

事業承継を支援するための補助金といえば、従来からの事業承継補助金があります。この事業承継補助金と経営資源引継ぎ補助金の2つの補助金を併用することは可能なのでしょうか?

その前にまず、事業承継補助金のおさらいです。

事業承継補助金とは

事業承継補助金とは、事業承継や事業再編などを契機に経営革新などを行う中小企業に対し、その取り組みに必要な費用の一部を補助して中小企業の世代交代を後押しするための制度です。

後継者承継を支援するI型と、M&Aをともなう事業再編を支援するⅡ型の2つに分かれており、最大で1,200万円ほどの補助を受けることができます。

経営資源引継ぎ補助金との併用は?

この事業承継補助金は、経営資源引継ぎ補助金と併用することができます。「経営資源引継ぎ補助金を受給したので事業承継補助金が受けられない」ということはありませんし、「事業承継補助金を受ける予定なので経営資源引継ぎ補助金を控える」という必要もありません。

そもそもこの2つの補助金は、支給するタイミングがことなります。事業承継やM&Aを行う前に申請し、そのために支払う士業などの専門家への費用を補助するのが経営資源引継ぎ補助金。そして事業承継やM&Aの後、新たな投資などを行う中小企業に対して補助するのが事業承継補助金です。

ですから、M&Aアドバイザーなどと入念に準備をしておけば、最大で1,850万円(経営資源引継ぎ補助金650万円(うちM&A手数料の上限が200万円、廃業費用の上限が450万円)+事業承継補助金1,200万円)の補助を受けることも可能です。

最後に

新型コロナウイルスの影響で、今後しばらくの間は日本をはじめ世界中の経済が冷え込むことは確実視されています。しかし今回新たに創設された経営資源引継ぎ補助金を有効に使えば、事業承継やM&Aに関する費用の補助を受けることができるだけではなく、場合によっては事業承継補助金と併用することにより、企業の競争力を高め、新規事業への算入などを視野に入れることも可能になります。

ただしこれらの補助金を受けるための審査は決して容易ではなく、事前に入念な準備と打ち合わせをしなければ受給するためのハードルがかなり高くなってしまいます。

当社には創業以来30年以上にわたり中小企業の経営支援を行ってきた実績とノウハウがあり、また現在顧客となっている企業は2万社を超えているため、御社の事業承継やM&Aのためのパートナー企業を、日本中から探し出すことができます。

今回の新型コロナウイルスのピンチをチャンスへのきっかけに変えるため、M&Aを検討してみたい、という方はぜひ一度お気軽にご相談ください。


TOP