
会社売却の相談先選びに悩む経営者の方は数多く存在します。会社売却の相談時は、内容・時期・コストなどを考えたうえで適切な機関を選びましょう。この記事では、会社売却の相談先一覧や機関の選び方を紹介します。
会社売却の相談先に関する現状・動向

会社売却とは、会社が保有している財産/権利/義務のすべてを第三者に譲り渡したうえで、その第三者から対価を受け取る行為を指します。会社売却のプロセスを進めていくには、税務/会計/法務/労務など、さまざまな分野の専門知識が必要不可欠です。そのため、会社売却では、多種多様な専門機関が相談先候補として挙げられます。
なお、最近では、公的機関・民間機関を問わず、会社売却をサポートするサービスを提供する機関が増えており、選択肢が広がっていることから、専門家選びに悩んでしまいやすいです。
以上を踏まえて、まず本章では「中小企業における会社売却の相談先と相談内容に関する現状と動向」を実際のデータとともに紹介しますので、依頼先選びの参考資料として役立てましょう。
会社売却の相談先として利用されている機関
東京商⼯リサーチが中小企業を対象に行ったアンケート調査によると、会社売却をはじめとするM&Aの相手先企業探しを行う際に利用を検討している相談先の順位および割合は、以下の図のとおりです。
|
順位 |
相談先 |
譲渡側企業の回答率 |
譲受側企業の回答率 |
|
1 |
金融機関 |
59.9% |
76.5% |
|
2 |
専門仲介機関 |
42.9% |
45.0% |
|
3 |
なし(自社で独自に探索) |
32.7% |
38.0% |
|
4 |
公認会計士/税理士などの専門家 |
19.7% |
17.0% |
|
5 |
事業引継ぎ支援センター(現:事業承継・引継ぎ支援センター) |
14.3% |
8.9% |
|
6 |
同業他社など |
12.2% |
12.3% |
|
7 |
取引先など |
10.9% |
15.4% |
|
8 |
商工会議所・商工会 |
9.5% |
6.8% |
|
9 |
マッチングサイト |
2.7% |
7.4% |
|
10 |
その他 |
2.0% |
2.5% |
上記の図を見るとわかるとおり、会社売却の譲渡側企業では、「事業引継ぎ支援センター」
や「商工会議所・商工会」に相談する割合が相対的に高く、身近にある公的機関に相談するケースが多いです。これに対して、譲受側企業では、金融機関や専門仲介機関のほか、取引先や同業他社などの企業に相談するケースが比較的多く見られます。
会社売却に関する相談内容
レコフデータが中小企業を対象に行ったアンケート調査によると、会社売却をはじめとするM&Aの譲渡側企業は、以下のような内容の相談を持ちかけています。
|
相談先 |
相談内容の割合 |
||
|
承継すべきかどうかの相談 |
承継の⼿法に関する相談 |
M&Aの相⼿に関する相談 |
|
|
事業引継ぎ⽀援センター |
39.6% |
39.6% |
20.8% |
|
M&A仲介業者 |
51.1% |
37.8% |
11.1% |
|
金融機関 |
70.4% |
19.5% |
8.4% |
|
その他(フィナンシャル・アドバイザー、M&Aプラットフォーマー、公認会計⼠、税理⼠など) |
52.1% |
27.1% |
18.8% |
上記の図を見るとわかるとおり、事業引継ぎ支援センターには、「承継の手法に関する相談」や「M&Aの相手に関する相談」など、会社売却を含むM&Aの検討がある程度進んだタイミングで相談するケースが多いです。
これに対して、金融機関には、「承継すべきかどうかの相談」の割合が最も高く、M&Aや事業承継について検討する初期のタイミングで相談するケースが多く見られます。
会社売却について相談するメリット

中小企業経営者の方は、会社売却の相談を通じてさまざまなメリットを享受しています。専門機関に会社売却を相談するメリットは、主に以下のとおりです。
- 企業評価を適切に把握できる
- 会社売却を多角的な視点から検討できる
- 専門的なアドバイスを受けられる
それぞれのメリットを把握して、会社売却の相談を検討しましょう。
①企業評価を適切に把握できる
会社売却を相談すると、自社の企業評価を適切に把握できます。たとえ自社の経営者だとしても、経験がなければ会社売却の知識が不足している可能性が高いです。会社売却の専門知識を持っていない場合、自社の正確な企業価値を把握できないことから、相場より低い価額で会社売却を行ってしまいかねません。
なるべく希望に近い価額で取引を行いたいならば、会社売却の専門家(弁護士/税理士/金融機関/M&A仲介会社など)に相談を持ちかけると良いです。これにより、自社の譲渡価額を向上させられたり、相場価格を把握できたりするため、後悔のない会社売却を実施できる可能性が高まります。
②会社売却を多角的な視点から検討できる
専門家に相談すると、会社売却に関する多角的な視点を得られます。もともと経営者のみでは、M&Aの実施有無や手法など、会社売却のすべての選択肢を検討することは不可能です。
しかし、弁護士/M&A仲介会社/中小企業診断士などに相談すれば、自社の状況を客観的に把握できるうえに、自社にふさわしい選択肢を提案してもらえます。
また、法務に関するリスク/課される税金の額/取引や雇用契約の再締結など、会社売却を行ううえで知っておくべきポイントを把握できる点もメリットです。
さらに、専門家への相談では、現行制度に沿ったサポートを提供してもらえます。たとえ過去に会社売却を経験している経営者の方であっても、現在の制度を把握していない場合は、適切な取引を行えずに不利益を被ってしまいかねません。こうしたトラブルを避けるためにも、弁護士や税理士などの専門家に会社売却を相談しましょう。
③専門的なアドバイスを受けられる
最後に紹介するメリットは、専門的なアドバイスを受けられる点です。相談する専門家によって、提供してもらえるアドバイス内容は異なります。例えば、税理士に相談すると、主に税務に関するアドバイスを受けることが可能です。
また、金融機関に相談すれば、会社売却を行ううえで必要な資金調達についてアドバイスしてもらえます。さらに、事業承継・引継ぎ支援センターやM&A仲介会社に相談すると、会社売却のプロセスの進める方法をアドバイスしてもらえるのです。
このように、専門家ごとに得意分野が異なるため、自社の悩みや不明点に応じて会社売却の相談先を選びましょう。
会社売却の相談先15選!

本章では、会社売却の相談先一覧として、以下15の選択肢を取り上げます。
- 同業者
- 役員/社員
- 中小企業診断士
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 商工会議所/商工会
- 金融コンサルタント
- 都銀/信託銀行
- 地銀/第二地銀
- 証券会社
- 顧問弁護士
- 配偶者
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 税理士/公認会計士
- M&Aマッチングサイト
- M&A仲介会社
相談先ごとに異なる特徴があるため、それぞれ把握したうえで自社にふさわしい選択肢を採用しましょう。
①同業者
自社と直接的な取引関係にない同業者であれば、気軽にアドバイスを求められます。そのため、専門機関に相談する前に、同業者に対して会社売却の悩みや不安を打ち明ける経営者の方は多いです。
なお、相談を持ちかける場合には、会社売却を行った経験がある同業者を選ぶと良いです。加えて、同じような規模の会社を売却した経験のある同業者であれば、自社の状況に当てはめやすく、会社売却のシミュレーションを実施できます。
②役員/社員
役員や社員は同業者よりも自社の内情を把握しており、相談相手としてふさわしい存在です。とはいえ、会社売却について反発を受ける可能性があります。
なぜなら、役員や社員は、会社売却に伴う役職や労働環境の変更などの影響を受ける立場にあるためです。そのため、実施前に相談すると、会社売却をスムーズに進められないおそれがあります。
③中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営診断/成長戦略の策定/実行支援などを手掛けている専門家です。また、中小企業と金融機関との関係性を構築したり、クライアントである中小企業に公的施策の活用を促したりする役割も担っています。
そのため、中小企業診断士に会社売却を相談すると、会社売却後を踏まえた売却戦略の構築や、会社売却時に利用できる公的施策の検討などを行ってもらえます。
④ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナーは、ライフプランの作成/保険によるリスク管理/金融資産の運用などを主に手掛けている専門家です。中には、税務/不動産/相続/事業承継に強い専門家もいます。
ファイナンシャルプランナーに会社売却について相談すると、幅広い知識をもとにさまざまな分野の専門家を紹介してもらえる可能性が高いです。
そのため、士業の専門家への相談を躊躇している場合などには、まず幅広い知識を持つファイナンシャルプランナーに相談してみることをおすすめします。
⑤商工会議所/商工会
商工会議所や商工会は、全国の都道府県に設置されており、会社売却や事業承継に関する相談窓口として利用できます。具体的には、会社売却に関するアドバイスの提供や、相手先企業とのマッチングなどが期待可能です。
上記のほか、会社売却の相手先が決定済みのケースでは、取引の契約書作成やプロセスの進め方などのサポートも提供してもらえます。
⑥金融コンサルタント
金融コンサルタントの中には、これまでに金融機関で資金調達や投資などの業務に従事していた専門家が多く、資金面から会社売却をサポートしてもらえる可能性が高いです。
また、税理士や弁護士など士業の専門家とのネットワークを有しているケースもあり、税務や
法務に関するサポートの提供も期待できます。
⑦都銀/信託銀行
このうち、都銀では、都市部に本店/地方部に支店を構えている点が特徴的です。主に規模の大きい会社売却の案件に対応しており、相手先企業とのマッチングなどを提供しています。
続いて、信託銀行とは、基本的な銀行業務に加えて、不動産などの資産を管理・運用する信託業務を手掛けている銀行のことです。
主に信託業務のクライアント企業を対象とするM&A案件を手掛けているため、状況に応じて相談を検討しましょう。
⑧地銀/第二地銀
このうち、地銀とは都道府県に本店を構えている銀行であるのに対して、第二地銀とは信用金庫・相互銀行などから業務方針を転換した銀行をさします。
地銀や第二地銀は、地元企業との間で強固なネットワークを築いている点に大きな特徴があります。地元企業とは日常的に融資や取引などで交流していることから、会社売却の相談も行いやすいです。
⑨証券会社
証券会社は、株式などの金融証券の売買取引を主に手がけている会社です。一般的な金融機関とは異なりしがらみが少ないため、クライアント企業の利益を最優先に考えながら会社売却の相談に応じてくれる傾向にあります。
また、独自のネットワークを保有している会社も多く、相手先企業とのマッチングも期待可能です。そのほか、企業価値評価の算定を手掛けている証券会社もあります。
⑩顧問弁護士
顧問弁護士を抱えている場合、会社売却に関する身近な相談相手として利用できます。弁護士は法務の専門家であり、企業および経営者の代理人として、会社売却に際して債権者/株主/社員/労働組合などとの利害を調整すべく交渉を行います。
また、会社売却の手続きの流れやスケジュールのほか、株式/債務/個人保証/契約などに関するトラブルについて、法的観点からアドバイスを提供してもらえる可能性が高いです。
⑪配偶者
自身に配偶者がいる場合、会社売却の相談は必要不可欠だといえます。なぜなら、会社売却にあたって、自身および配偶者の生活水準が低下するおそれがあるためです。
配偶者に相談する際は、タイミングが非常に重要です。すでに会社売却の実施を決定してしまった段階で相談すると、配偶者との関係が悪化するおそれがあります。そのため、周囲の第三者に情報漏えいするリスクに注意しながら、会社売却の意思を打ち明けるタイミングを検討しましょう。
⑫事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは全国各地に設置されている公的な相談窓口です。以前は事業引継ぎ支援センターという名称でしたが、2021年4月に事業承継ネットワークと統合されて「事業承継・引継ぎ支援センター」に改称されました。
それぞれの事業承継・引継ぎ支援センターには中小企業診断士/金融機関のOB/税理士/公認会計士などの専門家が在籍しており、無料で相談を受け付けています。会社売却について相談すると、相手先とのマッチングのほか、経営者保証解除に向けたサポートや民間の専門機関の紹介などを受けることが可能です。
⑬税理士/公認会計士
日常的に交流のある税理士や公認会計士がいるならば、会社売却における税務や会計の相談を気軽に行えます。税理士や公認会計士に相談すれば、企業価値評価の算定/簿外債務や偶発債務の発見/節税のアドバイス/売買価格の検討/会計処理のアドバイスなど、幅広いサポートを受けることが可能です。
そのほか、デューデリジェンスや相手先企業探しなどを実施している税理士/公認会計士もいます。
⑭M&Aマッチングサイト
M&Aマッチングサイトとは、インターネットで譲渡側と譲受側をマッチングさせるサービスをさします。具体的にいうと、譲渡側では売却案件の情報を、譲受側では企業情報や買収ニーズなどをそれぞれサイト上に登録しておくことで、お互いの情報を検索して相手側に交渉のオファーを送ることが可能です。
先ほど取り上げた東京商工リサーチのアンケート調査によると、相手企業を探す際にM&Aマッチングサイトを利用すると回答した企業の割合は、譲受側が譲渡側よりも約3倍多く、実際の登録数を見ても譲受側が大きく上回っている傾向にあります。
上記の傾向からはM&Aマッチングサイトに売り手市場の傾向があることがわかり、会社売却を検討している企業からすると有効な相談先といえます。
⑮M&A仲介会社
M&Aの仲介会社は、大きく「仲介会社」と「アドバイザリー会社」の2種類に分けられます。このうち、仲介会社とは、譲渡側と譲受側の間に立って、両社の利益を考慮しながらM&A取引を仲介する会社のことです。会社売却の当事会社双方の利益を尊重するため、交渉を長引かせずスムーズに手続きを進行させられます。
これに対して、アドバイザリー会社では、M&A当事会社のいずれか一方のみと契約を締結します。つまり、契約を締結した側の利益を最優先に考えるため、クライアント企業からするとより良い条件で会社売却を行える可能性が高いです。
会社売却の相談先を選ぶポイント

会社売却の相談先にはさまざまな機関があり、それぞれ提供しているサポートも異なります。そのため、自社の悩みや不明点に応じて相談先を選ばなければなりません。
本章では、会社売却の相談先を選ぶ際の基本的なポイントとして、以下の3つを取り上げます。
- 自社の規模/業種の会社売却を得意としているか
- わかりやすい報酬体系を採用しているか
- 相談の秘密を保護してくれるか
それぞれのポイントを順番に詳しく紹介します。
①自社の規模/業種の会社売却を得意としているか
相談先を選ぶ際は、自社と類似する規模の会社売却をサポートした経験があるか事前にチェックしましょう。
同規模の会社売却を扱った経験が多い機関であれば、相談時に的確なアドバイスを受けられる可能性が高いです。過去に扱った会社売却の案件は、それぞれの相談先のWebサイトで確認できます。
②わかりやすい報酬体系を採用しているか
会社売却の相談先によっては、相談料/着手金/中間金などの支払いを求める機関も存在します。報酬体系はWebサイトで確認できるケースが多いですが、具体的に記載されている相談先は信頼できる可能性が高いです。
また、発生する費用を事前に知れれば資金繰りの把握も行いやすいため、報酬体系は必ず確認しましょう。
③相談の秘密を保護してくれるか
会社売却について相談する際は、その事実が周囲(取引先/社員/顧客)に漏えいしないよう注意しましょう。
もしも情報漏えいしてしまえば、会社売却の実施が難しくなるだけでなく、現在手掛けている事業に支障が出るなど、株価の低下や企業価値の毀を招きかねません。
そのため、取引先/同業者/個人的な知己など、守秘義務契約を締結して相談の秘密を保護することが難しい相手に会社売却を相談する際は細心の注意が求められます。基本的には、
厚い信頼関係が築かれていない相手には相談を控えると良いでしょう。
会社売却の相談はフォーバルにお任せください

この記事では、会社売却について悩みや不明点を抱えている経営者の方に向けて、相談先一覧や機関の選び方などを紹介しました。
会社売却を専門家に相談すれば、企業評価を適切に把握できるほか、会社売却を多角的な視点から検討できたり、専門的なアドバイスを受けられたりするなど、さまざまなメリットを享受できます。
ただし、会社売却の相談先ごとに特徴や提供しているサポート内容などが大きく異なるため、自社のニーズに沿って適切な機関を選択しなければなりません。
もしも会社売却の相談先選びでお悩みでしたら、フォーバルまでご相談ください。当社フォーバルは、過去20万社の経営支援実績があり、中小・小規模企業の存続と成長に向けた事業承継M&A支援を手掛けております。
会社売却の実施が未定であっても電話・チャットで無料相談を実施しておりますので、「会社売却について悩みや不明点を解消したい」「会社売却をスムーズに成功させたい」と思われた方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。








