食品卸売業の廃業とM&A、どっちが正解?メリット・デメリットを解説!各プロセスも

食品卸売業界は新型コロナウイルス関連倒産の業種別上位に位置しており、現在厳しい経営状態に置かれている経営者も少なくないでしょう。その他にも後継者不在の問題などで廃業を検討する場合は、M&Aによる譲渡も視野に入れ、自身の経営してきた食品卸売会社の存続を図りましょう。

食品卸売業界/廃業/M&Aの概要

本章では、食品卸売業界の概要を紹介したうえで、本業界の状況やM&A動向について解説します。

食品卸売業界とは

食品卸売業界とは、食品生産者などの「メーカー」とスーパー/レストランなどのいわゆる「お得意先」の中間に位置し、これら両者をつなぐパイプ役を担う企業群をさします。その中で、両者の取引で必要となるさまざまな業務(物流/在庫/決済など)を一括的に代行し、両者の人件費・物流費などのコストを削減する役割を果たしている業界です。

食品卸売業界はさらに細分化されますが、各業界を市場規模順に見ると、酒類・食品卸(約52兆円)/農作物卸(約15兆円)/業務用食品・食材卸(約13兆円)/食肉卸(約8.3兆円)/水産物卸(約2.2兆円)となります。

食品卸売業界を取り巻く環境

2021年1月現在、新型コロナウイルス感染症により外食・宿泊業の不振が続く中で、これらの事業を取引先に持つ食品卸売業界にも影響が及んでいます。インフォマートが食品卸および製造業に行った調査によると、これら2つの業界では全業界の平均よりも高い割合で売掛金未回収に対する不安を抱えている企業が多いことがわかりました。 

また、本アンケート調査では、売掛金未回収のリスクに対して特に手を打っていない企業が6割に及んでいることもわかっており、食品卸売業界の廃業件数を増加させる要因のひとつだといえます。

食品卸売業界のM&A動向

食品卸売業界の主なM&A動向は、以下のとおりです。

  • 同業者同士のM&A事例が比較的多く、異業種間のM&Aが行われにくい
  • 異業種は給食業界や店舗内設計/施工業とのM&Aが見られる
  • 少数ながら海外M&Aも実施されている
  • 他地域進出による事業基盤の拡大や環境変化への対応を狙うM&Aが目立つ

今後多く実施されると見られる業界再編型のM&Aとしては、従来より組合内で事業を進めてきた会社のうち1社の業績が悪化したときに組合内の競合他社に買い取ってもらうというケースが主流です。また、最近ではサプライチェーンの川下に位置する外食チェーンによる食品卸会社の買収など、両者の弱点を補完するようなM&A事例も報告されています。

食品卸売業界のM&A事例

ここでは、同業者同士のM&Aとして、旭食品による買収事例を取り上げます。2020年5月、トモシアホールディングス傘下で食品卸売業を営む旭食品は、ヤマキ(売上高:203億2,800万円)の株式過半数を取得すると発表しました。株式取得予定日は2021年2月26日で、取得価額は非公開です。

本件M&Aの目的は、ヤマキの営業基盤活用による事業規模の拡大にあります。また、譲渡側のヤマキでは、トモシアグループに加わり、自主性を維持しながら機動性を向上させることで、新たな価値創造に取組む地域連合体としての機能を高めていくと発表されています。

食品卸売業の廃業/M&Aのメリット・デメリットとそのプロセス

ここでは、廃業とM&Aのメリット・デメリットおよびプロセスを比較して紹介します。

廃業とは

廃業とは、法人や個人事業主が自主的に会社/事業をやめることです。先述したとおり、食品卸売業界では、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により廃業件数の増加が問題視されています。

食品卸売会社を廃業するメリット/デメリット

食品卸売会社を廃業するメリットは、以下のとおりです。

  • 事業に関する納税義務や社員雇用/会社維持などの責任から解放される
  • 債務超過でなければ、まとまった資産を残せる

ただし、食品卸売会社の廃業には以下のようなデメリットもあります。

  • 社員を解雇する必要がある
  • 取引先との関係が終了する
  • 資産売却時に低く見積もられる可能性がある
  • 廃業手続きに多くの費用・時間がかかる

廃業を選ぶと、社員を解雇するうえに、これまで築き上げてきた取引先との関係も消滅してしまいます。また、手続きに多くの費用がかかるために引退後の生活資金を確保できないおそれがあるなど、廃業はデメリットの大きい選択肢です。

食品卸売会社を廃業するプロセス

食品卸売会社を廃業する流れは、以下のとおりです。

  1. 会社の解散/営業停止
  2. 株主総会の開催
  3. 解散の登記/清算人選任の登記の実施
  4. 解散の届出の提出
  5. 清算手続
  6. 確定申告

M&Aとは

M&Aとは、「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略であり、企業・事業の合併および買収の総称のことです。先述したとおり、食品卸売業界では、同業者・異業種間のM&Aのほか、海外M&Aも実施されています。

食品卸売会社をM&Aで譲渡するメリット/デメリット

食品卸売会社をM&Aで譲渡するメリットは、以下のとおりです。

  • 売上の向上/販路の拡大/仕入れ力の強化により経営改善が叶う
  • 後継者不在の問題を解決できる
  • 社員の雇用を維持できる
  • 取引先との関係を継続できる
  • 譲渡利益を獲得できる

M&Aによる譲渡では自社を存続させられるため、廃業に伴うデメリットのほとんどを回避できます。また、M&Aでは創業者利益の獲得も期待できるため、引退後の生活資金を確保したい経営者からも大きく注目されている選択肢です。

食品卸売会社をM&Aで譲渡するプロセス

食品卸売会社をM&Aで譲渡する際の流れは、以下のとおりです。

  1. 自社の分析/企業価値の算出
  2. 譲受先候補の絞り込み/交渉
  3. 基本合意契約の締結
  4. デューデリジェンス(譲渡側の事業に関する調査)
  5. M&A契約の締結
  6. 財産等の名義変更手続き

なお、M&A成立後には、当事者同士のすり合わせ事項の確認および統合プロセスなどが実施されます。

M&Aによる譲渡を成功させるポイント

食品卸売業界のM&Aは、買い手側企業にも以下のようなメリットをもたらします。

  • 商圏を拡大できる
  • 倉庫や物流システムを取り込める

そのため、希望どおりの条件で譲渡を成功させるには、当事者双方にとってメリットのあるM&Aを行うことが大切です。例えば、一定の顧客基盤を有している食品卸売会社であれば、M&Aによる譲渡の成功確率が高まります。

なお、今後の食品卸売業界では業界再編が進むものと見られており、大手企業による中小企業の買収事例が増加中です。したがって、現在の段階からM&Aの準備を進めておくと、自社の企業価値が最大になったタイミングで食品卸売会社を譲渡できます。

食品卸売会社は廃業ではなくM&Aで存続を図るべし

この記事では、食品卸売業界の廃業状況や、廃業/M&Aという2つの選択肢を紹介しました。食品卸売業界の廃業を考える経営者にとってM&Aによる譲渡はメリットの多い選択肢ですが、法務・財務・労務など複雑で専門的に高度なプロセスがもとめられる点には注意が必要です。

食品卸売会社の譲渡により譲渡利益の獲得や会社の存続を果たすためにも、業界再編が進むこのタイミングを逃さずにM&Aに向けて動き出しましょう。

M&Aによる食品卸売会社の譲渡を検討している場合、フォーバルにお任せください。当社は事業承継M&Aを専門的に手掛ける企業で、とりわけ食品卸売業界のM&Aに特化しております。

また、M&Aの実施が未定の段階でも相談可能で、24時間電話やチャットで無料相談に対応しておりますので、「M&Aによる食品卸売会社の譲渡を検討してみたい」と思われた経営者の方はぜひ一度お気軽にご相談ください。


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