アーリーリタイアとは?そのメリット・デメリット、必要な資金についてわかりやすく徹底解説!

旧約聖書で知恵の実を食べてしまったアダムとイブは、その後、楽園を追われ神様から罰を与えられることになります。この時与えられた罰が「労働」です。

英語で労働を意味するLaborは、ラテン語で「辛い」を意味し、フランス語で働くを意味するTravail(トラバーユ)は、ラテン語のトリバウム(拷問する)が語源となっています。

キリスト教文化が根底を流れている西洋社会では、働くことは天に背いたために受ける苦役以外の何物でもなく、よって少しでも早くアーリーリタイアを実現することが西洋人の共通認識となっているわけです。

いっぽう日本人にとっては、労働こそ喜びであり、仕事は人格を形成し高めて行く「道」であり、人生そのものでした。しかしグローバリズムに伴う価値観の多様化によって、日本人の間でこの認識は少しづつ変化していきました。

昨今では定年退職でなくアーリーリタイアに憧れる人が増え、それを実現している人も私たちの社会の中に少しづつ増えてきました。

そこで本日は、アーリーリタイアに関する解説とともに、最近若手経営者の間で増えてきた新しい形のアーリーリタイアについてのご紹介をいたします。

 

アーリーリタイアとは何か?

 

 アーリーリタイアの概要

アーリーリタイアとは定年をむかえる60~65歳より早く退職することを言います。日本では昔から終身雇用が一般的で、同じ会社に定年まで勤め、そのあとに退職をしてそのあとの人生を歩むのが一般的でした。

しかし、時代の変化とともに価値観が変わっていき、今では40~50代で退職をするアーリーリタイアも珍しいものではなくなってきました。日本では未だ定着しているとは言えませんが、その数は徐々に増えてきていると言えます。

 

 セミリタイアとの違い

アーリーリタイアとともに最近よく聞く言葉にセミリタイアがあります。アーリーリタイアが完全に仕事から遠ざかるのに対し、セミリタイアは仕事の量を減らしつつ残りの時間を自由に過ごすライフスタイルのことをいいます。

また変わったところではミニリタイアもあります。これは、一年の半分は働き、残りの半分を自由に過ごすかなり特殊な形態のことをいいます。

 

 なぜアーリーリタイアをするのか

なぜアーリーリタイアをするのでしょうか。まず、理由として昔と比べて仕事や人生に対する価値観が大きく変わってきたことがあげられるでしょう。昔から日本にはひたすら働くことを美徳とする文化が形成されていました。その価値観が徐々に変質していき、仕事に縛られるのではなく自由に人生を楽しもうという人が増えてきました。

つまり、時間的な自由を求めてアーリーリタイアをする人が増えているのです。人生において、仕事にとられている時間がもったいないと考え、もっと趣味などを楽しもうとしてアーリーリタイアをする人が多いと言えるでしょう。

仕事をしていると収入は得られますが、例えば仕事の重圧、人間関係の軋轢、自由な時間が取れないなど、さまざまなネガティブな要素を感じてしまいます。それらから逃れる手段として、アーリーリタイアが選ばれているのです。

 

アーリーリタイアのメリット・デメリット

 

続いてアーリーリタイアのメリット・デメリットを見てみましょう。仕事をやめて趣味に没頭できる、というアーリーリタイアはかなり理想的と言えますが、もちろんメリットだけではなくデメリットもあります。

 

 アーリーリタイアのメリット

アーリーリタイアのメリットはなによりも自由な時間ができるということでしょう。セミリタイアやミニリタイアではなく完全にリタイアすれば、仕事をしていた時間がすべて自由になるのです。社会人生活で息苦しさを感じていた人ほどその解放感は大きいと言えます。

また、アーリーリタイアをするためにはかなりのハードワークをする人がほとんどだと言えます。そんな人ほどより大きな自由と解放感を得られると言えるでしょう。

会社勤めをしていて早期退職をすると、退職金が割増しでもらえることがほとんどです。普通の退職金より大きな金額を得られることもアーリーリタイアのメリットと言えます。ただ、勤めている会社によって、もらえる金額やシステムはさまざまです。アーリーリタイアを考えている場合、しっかりと会社の退職金システムを理解しておくことが重要と言えるでしょう。

 

 アーリーリタイアのデメリット

何よりも大きなデメリットは金銭的な不安を抱えてしまうということです。完全リタイアの場合、ほとんどの人が、収入が一切なくなってしまいます。

セミリタイアにしても、ミニリタイアにしても、普通に働いている人よりは収入が減ってしまいます。かなりの蓄えがあったとしても、収入が減る、もしくは無くなるというのは大きな精神的な不安になることが多いです。そのため資産の余裕がある人ではないとアーリーリタイアをおすすめすることは難しいです。

また、自由な時間ができ過ぎてしまうために、かえって生きがいを失くしてしまうというデメリットもあります。これは全員に言えることではないのですが、自由な時間が多すぎるとかえって暇を持て余してしまうというのはよくあることです。

また、会社勤めをやめることによって人間関係がなくなってしまい、孤独になってしまう可能性もあります。

アーリーリタイアには以上のような、金銭的な不安と精神的な不安のデメリットがあると言えるでしょう。

 

アーリーリタイアに必要な資金

理想的な生活といえるアーリーリタイアですが、それは貯蓄と切っても切り離せない関係にあります。続いて、アーリーリタイアをするにあたっていくらくらいの貯金が必要か、また生活費はいくらくらいかかるのかを見てみましょう。

 

貯金の目安は

アーリーリタイア後の生活における貯金の目安は、退職する年齢によってさまざまです。

まず、早期退職ではなく一般的な60代での退職の貯金の目安を見てみましょう。ニッセイ基礎研究所の調査によると、退職した夫婦は年金支給開始年齢の65歳から毎月平均約5万5千円ほど貯金を取り崩しながら生活しているのだそうです。

https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61916?site=nli

このことより男女の平均余命から考えると、定点退職した場合、老後には約2,000万円ほどの資金が必要なことがわかります。

では次に、30歳、40歳、50歳でアーリーリタイアをする場合にどれくらいの貯蓄が必要かを考えてみましょう。

まず30歳でアーリーリタイアをする場合です。独身か夫婦か、子供がいるのかどうなのかによって条件が大幅に変わるため、ここでは独身で子供がいないケースを考えてみます。

必要生活費が月額30万円だと仮定すると、

 

・年金支給開始年齢(65歳)までに必要なお金・・・30万円×12ヶ月×35年=12,600万円

・老後必要な資金・・・さきほどご紹介した2,000万円÷2人=1,000万円

・アーリーリタイアのために必要な資金・・・12,600万円+1,000万円=13,600万円

 

ご覧のように30歳でアーリーリタイアを目指す場合には、貯蓄額は1億円では全く足りません。

次に40歳です。これも同様の条件で計算してみます。

 

・年金支給開始年齢(65歳)までに必要なお金・・・30万円×12ヶ月×25年=9,000万円

・老後必要な資金・・・さきほどご紹介した2,000万円÷2人=1,000万円

・アーリーリタイアのために必要な資金・・・9,000万円+1,000万円=10,000万円

 

40歳でも最低1億円なくてはアーリーリタイアできません。

最後に50歳です。定年退職まで近づいていますので、この年代でアーリーリタイアを望まれる方が一番多いでしょう。では同様の条件で計算してみます。

 

・年金支給開始年齢(65歳)までに必要なお金・・・30万円×12ヶ月×15年=5,400万円

・老後必要な資金・・・さきほどご紹介した2,000万円÷2人=1,000万円

・アーリーリタイアのために必要な資金・・・5,400万円+1,000万円=6,400万円

 

30歳、40歳と比べるとハードルは随分下がって来ましたが、それでも50歳で6,400万円以上の金融資産を保有していなければアーリーリタイアをするのは難しいと言わざるを得ません。

 

アーリーリタイア後の生活費

アーリーリタイア後の生活費を考えるとき、それはもちろんどのような生活を送るか、もしくは送りたいかによると言えます。貯蓄がたっぷりとあり余裕を持った生活を送りたい人と貯蓄がそこまでなく質素な暮らしを送る人など、その人によって生活費はかなり上下するからです。

生命保険会社などが老後のプランニングをする場合には、一般的に独身で年間200万円、夫婦で300万円が必要な金額とされています。

 

後悔なくアーリーリタイアを成功させるには

アーリーリタイアを成功させるには、何よりも綿密なプランを練ることが大切です。失敗の理由としてもっとも多いのが資金面と言われています。何歳で退職する予定なのか、独身なのか既婚者なのか、どのような生活を送りたいかなどをしっかりと考えて、特に資金面のプランをじっくり練ることが大切と言えます。

また、何をしたいかなどもしっかりと考えておくことが大切です。時間が余り過ぎて、生きがいを失くしてしまうケースも多々見られます。また人との関りが減り、孤独を感じてしまうこともあります。

ある程度の年齢に達してしまうと、再就職などが難しく、生活をやり直すことが難しくなります。アーリーリタイアを後悔なく成功させるには、資金面や生活面などいろいろなことを総合的に考えることが必要であるといえるでしょう。

 

最近増えている新しいアーリーリタイア

ここまでご覧いただけばおわかりのように、アーリーリタイアのハードルは決して低くありません。平均的な給与の会社員が毎月の給料から貯金を積立ててアーリーリタイアを実現させるのは、残念ながらほぼ不可能です。

可能性があるとすれば、宝くじの高額当選か億単位の金融資産を相続した場合くらいでしょう。しかし現実には、かなり早期にアーリーリタイアを実現している人が私たちの社会の中にも増えています。

これはどういうことでしょうか?

 

M&Aによるアーリーリタイア

長年会社を経営してきたオーナー社長にとって、会社とは自分そのものです。会社の発展は自分の歩んだ歴史そのものであり、会社のために働いてくれる社員は家族同然です。

後継者不足から事業承継をM&Aによって解決する場合でも、いざ契約書に印鑑を押す場面になると躊躇する方もめずらしくありません。

しかし近年ではこのような経営者が少しづつ減り、特に30代から50代の若手経営者にいたっては積極的にM&Aを活用して会社を譲渡するケースが増えてきました。

そしてこのM&Aを積極的に活用することによりアーリーリタイアを実現した経営者が、最近増えているのです。

 

経営者の認識が変わってきた

30代から50代の若手経営者は、M&Aに対する否定的なイメージをあまり持っていません。

会社の経営がうまくいっており、利益もしっかりと出ていたとしても、会社を譲渡するのをためらわない若手経営者は決してめずらしくありません。

若手経営者の多くは「会社≠自分」と考えており、ドライで合理的に考える人が多いため、M&Aに対して躊躇するケースが少なくなっているようです。

また近年ではM&Aが世間に認知され、若い方を中心に特に抵抗なく受け入れられているのも原因の一つかもしれません。

 

若手経営者がアーリーリタイアを選択する理由

起業した経営者がアーリーリタイアを選択するにはさまざまな理由があります。

 

株式上場を目指したが断念してアーリーリタイアを選択

起業して会社が順調に伸びてくると、多くの経営者は株式公開(IPO)を視界に入れるようになります。しかし株式公開はハードルが高く、単に業績を上げるだけではゴールに辿り着くことはできません。

上場すれば株式を所有しているオーナー社長は莫大な財産を築くことができますが、出来なければ非上場株式のままですから、売り買いすることはほぼ出来ません。

そこで株式上場を断念してM&Aで会社を譲渡し、創業者利益を確保後にアーリーリタイアを選択するわけです。

 

新規事業を起こすためにいったんアーリーリタイアを選択

会社が小さいうちは自分で全てをコントロールすることができても、大きくなってしまうと社長といえども全てを自分の思い通りにすることはできません。

M&Aによって会社を譲渡し、残りの人生困らない程度のお金を手に入れて一旦アーリーリタイアした後で、もう一度自分で本当にやりたい新規事業を起業するわけです。

 

M&Aで十分な対価を手に入れたのでアーリーリタイアを選択

M&Aを活用して会社を譲渡すると、その対価として数十億円を手にすることも決してめずらしいことではありません。これだけあれば30代の若い経営者であっても、今後の長い人生でお金に困ることはまずありません。

そのため、M&A後にアーリーリタイアを選択するわけです。

 

成功?失敗?アーリーリタイアは実際どうなのか?

仕事を早期に退職して、自由な生活を送るというのは誰もが一度は憧れることだと思います。しかし経済的なリスクが高いため、多くの人にとって実現することは叶いません。

逆に言えば、ほとんどの人にとって夢で終わるアーリーリタイアを実現できるチャンスを持っている人もこの世の中にはいます。

後に続く人が夢を持てる社会を実現するためにも、条件さえそろえばチャレンジしてみるのも決して悪い事ではありません。ただし判断は慎重に、できればその際には経験豊富なM&Aアドバイザーなどにご相談されることをおすすめします。


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