食品卸売業界の現状と課題は?今後の将来性とM&Aによる解決策について

食品卸売業界の現状と課題について、今後の将来性とともに詳しく解説します。今後を生き抜くための解決策となるM&Aについても活用の可否を判断しつつ、自身の経営する食品卸売会社の存続や成長を図りましょう。

食品卸売業界の現状/課題

はじめに、食品卸売業界の現状/課題について、さまざまなデータを参照しながら紹介します。

食品卸売業界の市場規模

経済産業省の「商業動態統計調査」によれば、食品卸売業界の市場規模を業種ごとに見ると、酒類・食品卸は約52兆円、農作物卸は約15兆円、業務用食品・食材卸は約13兆円、食肉卸は約8.3兆円、水産物卸は約2.2兆円です(2016年時点)。 

昨今の食品卸売業界の市場規模は、2015年以降に食品メーカーによる原材料価格の高騰を理由とする値上げの実施や、チルド品(例:中食)/低温カテゴリー(例:冷凍食品)の需要の高まりを受けて拡大傾向にあります。

食品卸売業界を取り巻く環境

2021年1月現在、新型コロナウイルス感染症により外食/宿泊業の不振が続く中で、これらの事業を取引先に抱える食品卸売会社にも大きな影響が及んでいます。インフォマートの調査によると、食品卸/製造業界では全業界の平均よりも高い割合で売掛金未回収に対する不安を抱えている企業が多いことがわかりました。合わせて、売掛金未回収のリスクに対して特に手を打っていない企業が6割に及んでいることもわかっています。

また、食品卸売業界では、東京オリンピック開催に伴いインバウンドなど多くの需要出現のチャンスがある一方で、「首都圏での長期間にわたる交通規制への物流対応」「大会終了後の景気や需要の反動減」といった課題にも直面しています。

食品卸売業界の将来性/今後

食品卸売業界の今後の需要動向を見ると、短期的には安定的に推移するため一定の将来性は期待できるものの、中長期的には人口減少に伴って横這いあるいは縮小する見込みです。また、食品卸売業界では少子高齢化や労働力不足などの構造問題に悩まれる中で、今後は食品メーカーのリードタイム延長の急拡大/ポイント還元事業に伴う小売市場のデフレ競争再燃化など新たな難題が生まれつつあります。

こうした状況下において、今後の食品卸売業界で成長していくためには、変化対応業としての強みを活かしつつ課題を乗り越えていかなければなりません。

食品卸売業界の生存戦略

今後の食品卸売業界では、ドラッグストアでの食品取扱/出店地域の拡大に伴う競争激化や、コンビニエンスストア等小売を中心とした資本系列化/業界再編などに対応するために以下のような経営戦略を打ち出す必要があります。

  1. 地域密着型取引の強化
  2. 商材の充実化/流通の効率化
  3. システム投資
  4. 商圏の拡充
  5. 海外事業の展開

それぞれの経営戦略を順番に紹介していきます。

①地域密着型取引の強化

これは、主に中小企業が大手企業に対抗するためにもとめられる経営戦略です。

②商材の充実化/流通の効率化

特に中小企業では、商材の充実化/流通の効率化によって、各取引先との取引量の増加/収益力の向上を図る必要もあります。

③システム投資

上記に対して、大手企業では、システム投資により、商品の調達から販売に至るまでの流れを総合的に管理するシステムを導入し、売れ残りや欠品などを防いで流通の効率化を図る戦略が効果的です。同業他社やメーカー/小売業との連携で商品情報をデータベース化し共有すれば、過去の受注実績の分析を通じて将来の需要予測も行えます。

④商圏の拡充

商圏を拡充すれば売上の向上に直結させられるため、大手企業を中心に取り組んでいます。

⑤海外事業の展開

食品卸売業界では、人口減少による国内需要の縮小を受けて、新興国のコールドチェーン強化による物流拠点の整備など海外事業の拡大も進行中です。

これら5つの経営戦略を講じるには、資本力を高めながら人材確保や積極的な投資などを進める必要があります。ただし、とりわけ中小企業では資本力が限られているため、人員確保・設備投資の実施などは決して容易ではありません。そこで最近では、これらの経営戦略を効率的に成し遂げられる方法として、M&Aに大きな注目が集まっています。

食品卸売業界のM&A・譲渡・買収の最新動向

最近の食品卸売業界では、業界再編/競争激化といった経営環境の変化に対応するためのM&Aが盛んに実施されています。業界再編型のM&Aとしては、「従来より組合内で事業を進めてきた会社のうち1社の業績が悪化したときに組合内の競合他社に買い取ってもらう」というような事例が今後も多く行われる見込みです。

また、昨今ではサプライチェーンの川下に位置する外食チェーンによる食品卸会社の買収など、両者の弱点を補完するようなM&A事例も多く報告されています。その他の主なM&A動向をまとめると、以下のとおりです。

  • 業務用食品卸売会社のM&A実施が目立っている
  • 海外展開を見据えたM&Aが急増している
  • 食品卸売会社「西原商会」が積極的な買収を進めている
  • 同業者間だけでなく異業種とのM&Aを行う企業も増えている

食品卸売業界のM&Aによる譲渡・買収事例

ここでは、2020年に実施された代表的な事例をピックアップして表にまとめました。

発表日

当事会社1(買収側)

当事会社2(譲渡側)

M&A手法

M&Aの目的

10月1日

戸田商事(運輸・倉庫)

大和フーズ(食品卸)

株式譲渡

未発表

9月26日

西原商会(食品卸)

松山製菓(食品)

株式譲渡

シナジー効果の発揮

7月6日

西原商会(食品卸)

新・龍屋物産(食品)

株式譲渡

シナジー効果の発揮

6月19日

SBSフレック(運輸・倉庫)

日ノ丸急送(運輸・倉庫)

資本参加

全国物流ネットワークの強化

5月27日

KOKUBU SINGAPORE Pte.Ltd.(食品卸)

TCGC Pte.Ltd.(食品卸)

第三者割当増資

シンガポールでの販売強化、周辺国との輸出入事業の拡大

5月1日

旭食品(食品卸)

ヤマキ(食品卸)

株式譲渡

事業規模の拡大

4月10日

せとうち観光活性化投資事業有限責任組合(金融)

いずみホールディングス(食品卸)

資本参加

「瀬戸内フェア」の実施、商品の共同開発

4月1日

泉平(食品卸)

大森食品(食品卸)

株式譲渡

事業規模の拡大

3月18日

福地康弘氏(八基通商代表取締役)

N&Aハラルロジスティクス(運輸・倉庫)

株式譲渡

事業発展の促進

1月31日

西原商会(食品卸)

松本農園(農林水産)

株式譲渡

農業事業の拡大

このように、食品卸売業界では、規模を問わずさまざまな企業が多種多様な目的のもとでM&A取引を行っています。

食品卸売会社の譲渡・買収はお気軽にご相談ください

この記事では、食品卸売業界の現状/課題について、今後の将来性やM&Aの動向とともに紹介しました。食品卸売業界の今後の需要動向を見ると、短期的には安定的に推移するものの、中長期的には人口減少に伴って横這いあるいは縮小すると推測されています。今後の食品卸売業界で成長していくには、経営戦略を工夫して課題を乗り越えなければなりません。 

M&Aは、譲渡側・買収側の双方にメリットをもたらす経営戦略です。すでに経営難に陥っている場合でも、あなたの食品卸売会社の強みに惹かれて買収に乗り出す企業が現れる可能性は大いにあります。

経営戦略としてM&Aに乗り出す企業が多いこのタイミングを逃さないためにも、早めに専門家に相談しましょう。M&Aについてお悩みや不明点があれば、譲渡希望・買収希望・他社との提携希望を問わずフォーバルまでお問い合わせください。

当社は経営知識・実務経験を一定以上備える認定経営革新等支援機関に認定されており、事業承継はもちろん、経営支援からM&Aまで幅広い視野から経営者の皆さまを万全の態勢でサポートしております。

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