自動車整備工場の廃業方法を解説!M&Aによる譲渡のメリットも

自動車整備工場の廃業件数は増加傾向にあり、2017年には過去10年間において最多を記録しています。廃業/倒産前にはM&Aによる譲渡も検討し、自身の経営してきた自動車整備工場の存続を図りましょう。

自動車整備工場の廃業状況

株式会社東京商工リサーチによると、2017年における自動車整備業の休廃業・解散件数は289件に及びました。この数値は前年比で9.0%増加したほか、倒産件数の4倍にも達しており、2008年以降の10年間で最多です。

自動車整備業の休廃業件数を詳しく見ると、2008年が189件・2009年が196件・2010年が190件と推移し、2011年には162件と減少したものの、その後は増加傾向が続いて2013年には206件と200件を超えています。

休廃業は倒産以外の方法で事業活動を停止したことを意味しますが、東京商工リサーチのデータからは事業停止する自動車整備業者が倒産の4倍にまで達しており、業界の整理淘汰が加速化している状況がうかがえます。

自動車整備工場の廃業件数が増えている理由

自動車整備工場の廃業件数が増加する主な理由としては、以下の点が考えられます。

  • 自動車整備要員の高齢化の進行
  • 自動車関連の技術革新への対応遅れ

日本自動車整備振興会連合会の「自動車分解整備業実態調査」によると、2019年の自動車整備要員の平均年齢は45.5歳であり過去最高を記録しています。自動車整備要員の平均年齢は年々上昇しており、高齢化に歯止めがかからない状況です。そのため、業務を担う社員や自身の後継者を確保できず、仕方なく自動車整備工場を廃業する経営者が多く見られます。

また、中小規模の自動車整備工場では資本力不足に悩まされるケースも多く、日々進歩する自動車関連の技術を取り扱うための最新設備の導入が非常に困難です。こうした事情から、技術革新に対して不安を感じている経営者や、すでに技術革新への対応が後手に回っていることで業績不振に陥っている経営者を中心に、自動車整備工場の廃業を選んでいる現状も見受けられます。

自動車整備工場を廃業する際の選択肢一覧

自動車整備工場の廃業にあたって、取り得る選択肢は以下のとおりです。

  1. 廃業/倒産
  2. M&Aによる譲渡

ここからは、各選択肢のメリットとデメリット、プロセスを中心に紹介していきます。

①廃業/倒産

廃業とは、理由を問わず自主的に会社の経営・事業を辞めることです。これに対して、倒産は、一般的に業績不振を理由に会社経営の継続が不可能となった状態をさします。両者を簡単にまとめると、業績不振により会社経営が継続できなくなると廃業を選択できなくなり、倒産せざるを得なくなるという関係性です。

廃業/倒産のメリットとデメリット

自動車整備工場を廃業/倒産する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 会社が消滅するため納税義務がなくなる
  • 社員の雇用や会社の維持といったプレッシャーから解放される
  • 債務超過でない場合、まとまった資産を残せる
  • 金融機関など債権者からの督促がなくなる(倒産の場合)

その一方で、自動車整備工場の廃業/倒産には以下のようなデメリットもあるため注意しましょう。

  • 事業資産をすべて譲渡して手放す必要がある
  • 廃業および倒産に関する手続きに多くの費用・時間がかかる
  • 事業活動に問題があった場合、廃業後にも対応が求められる
  • 経営者も自己破産を求められるケースが多い(倒産の場合)
  • しばらくの間、信用情報に残る(倒産の場合)

特に廃業では多くの費用がかかることから、経営者からすると引退後の生活資金を確保できないおそれがある点は大きなデメリットだといえます。

廃業/倒産のプロセス

自動車整備工場を廃業する際の大まかなプロセスは、以下の流れで進行します。

  1. 会社の解散/営業停止
  2. 株主総会の開催
  3. 解散の登記/清算人選任の登記の実施
  4. 解散の届出の提出
  5. 清算手続
  6. 確定申告

また、自動車整備工場を倒産(精算型倒産・法人破産)する際の大まかなプロセスは、以下の流れです。

  1. 破産申し立て
  2. 破産手続の開始決定
  3. 破産管財人の選定
  4. 債権者集会/財産状況報告会の開催
  5. 配当手続/破産手続終結の登記

②M&Aによる譲渡

M&Aによる譲渡とは、自動車整備工場およびその事業を第三者に有償で譲渡し、引き続き経営してもらう方法です。廃業/倒産とは異なり、工場・設備のほか社員・経営ノウハウ・取引先などを維持したまま譲渡できます。

M&Aによる譲渡のメリットとデメリット

M&Aにより自動車整備工場を譲渡する際のメリットは、以下のとおりです。

  • 自身の自動車整備工場を存続させられる
  • 譲渡利益を獲得して第二の人生を謳歌できる
  • 社員の雇用を維持できる
  • 最適な後継者の確保が狙える
  • 譲受企業から技術面などのサポートが期待できる
  • 専業の場合、ディーラーへの切り替えが図れる

M&Aによる譲渡では、経営者自身だけでなく社員や取引先に与えるメリットも大きいです。そのため、これらにメリットを感じる経営者の方は、M&Aによる自動車整備工場の譲渡を検討しましょう。

ただし、M&Aにより自動車整備工場を譲渡する際には、以下のようなデメリットも存在します。

  • 完了までに複雑なプロセスが必要となる
  • 負債や債務を引き継げないおそれがある
  • 社員や取引先への説明が必要となる

メリットを最大限に獲得しつつデメリットを回避するためにも、M&Aの専門家である仲介会社などにサポートを依頼してプロセスを進めましょう。

M&Aによる譲渡のプロセス

M&Aのプロセスは、大まかに以下の流れで進みます。

  1. 自社および工場の分析/価値の算出
  2. 譲受先候補の絞り込み/交渉
  3. 基本合意契約の締結
  4. デューデリジェンス(譲渡側の事業に関する調査)
  5. M&A契約の締結
  6. 財産等の名義変更手続き

なお、M&A成立後には、当事者同士のすり合わせ事項の確認および統合プロセスなどが実施されます。

M&Aで希望どおりの条件で自動車整備工場を譲渡するポイント

自動車整備工場のM&Aでは、事業を譲受する側にも以下のようなメリットがあります。

  • 必要な社員を確保できる
  • 得意先(懇意にしている顧客)を取得できる
  • 自社の弱い分野を強化できる
  • 事業エリアを拡大できる

そのため、当事者双方にとってメリットのあるM&Aであれば、希望どおりの条件で取引が成立しやすいです。具体例を挙げると、技術力の高い社員や得意先を抱えていたり、譲受先の弱点分野に強みを持っていたりする自動車整備工場であれば、M&Aによる譲渡の成功確率が高まります。

なお、自動車整備業界では自動車技術の進歩を受けて業界再編が進行しており、大手企業が技術革新に対応すべく他の自動車整備工場を譲受する事例が多く報告されています。そのため、早期の段階でM&A仲介会社に相談できれば、自社の企業価値が最大になったタイミングで自動車整備工場を譲渡可能です。

しかし、将来的に業界再編が終了すれば、M&A案件が落ち着く可能性が考えられます。将来的に業績が悪化してM&Aのチャンスを逃してしまうおそれもあるため、タイミングを逃さずにM&Aを行うことも希望どおりのM&Aを実現させるポイントのひとつです。

自動車整備工場の廃業前になるべく早くM&Aの検討を

この記事では、自動車整備工場の廃業状況や、廃業/倒産する際の選択肢を紹介しました。自動車整備工場の廃業を考える経営者にとってM&Aによる譲渡はメリットの多い選択肢ですが、法務・財務・労務など複雑で専門的に高度なプロセスがもとめられる点には注意が必要です。

自動車整備工場の譲渡により譲渡利益の獲得や工場の存続を果たすためにも、業界再編が進むこのタイミングを逃さずにM&Aに向けて動き出しましょう。

M&Aによる自動車整備工場の譲渡を検討している場合、フォーバルにお任せください。当社は事業承継M&Aを専門的に手掛ける企業で、とりわけ自動車整備業界のM&Aに特化しております。

また、M&Aの実施が未定の段階でも相談可能で、24時間電話やチャットで無料相談に対応しておりますので、「M&Aによる自動車整備工場の譲渡を検討してみたい」と思われた経営者の方はぜひ一度お気軽にご相談ください。


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