リサイクルショップの閉店前に検討したいM&Aという選択肢

リサイクルショップの閉店/廃業件数は、フリマアプリやネットオークション普及などの影響で増加中です。閉店/廃業前にはM&Aによる譲渡を検討し、自身の経営してきたリサイクルショップの存続を図りましょう。

リサイクルショップの閉店/廃業状況

まずは実際に報告されている倒産件数を見て、リサイクルショップの閉店/廃業状況を掴みましょう。株式会社帝国データバンクの調査によると、中古品販売業者(中古自動車販売業者を除く)の倒産件数(負債1000万円以上、法的整理に該当するもの)は38件に及びました。この数値は2017年の30件を上回っており、過去最多の倒産件数を記録しています。

また、倒産件数を負債額別に見ると、「5,000万円未満」が過去最多の29件(76.3%)を占めました。これらのデータから、小規模な店舗を中心に閉店/廃業に追い込まれるリサイクルショップが増加しているという現状が窺えます。

リサイクルショップが閉店/廃業する背景

環境省の資料「平成30年度リユース市場規模調査報告書」によると、2016年におけるリユース市場規模は1兆7,743億円に上っており、年々増加しています。リユース市場の拡大は今後も続く見込みであり、2025年には2兆500億円にまで達する見込みです。

市場規模が拡大しているにも関わらずリサイクルショップの閉店/廃業が増加傾向にある背景には、フリマアプリやネットオークションの普及が関係しています。これら新サービスの台頭により消費者間での売買取引が容易になったことで、多くのリサイクルショップでは仕入れが十分にできなくなっている状況です。

また、インターネットを介したリユース市場の拡大を受けて、ネット販売に着手するリサイクルショップも見られますが、売上が上昇しても販売手数料により粗利率が低下するケースが多く、財務基盤の弱い小規模店舗では薄利による経営難に陥っています。

このように、市場規模自体は拡大しており一見すると好調に見えるものの、大手と中小との間では二極化が進行しており、小規模店舗を中心に経営難が深刻化したリサイクルショップは閉店/廃業に追い込まれている状況です。

リサイクルショップを閉店/廃業する際の選択肢一覧

ここからは、実際にリサイクルショップを閉店/廃業する際の選択肢を以下の順番で詳しく見ていきます。

  1. 店舗売却
  2. 業務委託
  3. M&A(事業譲渡)

それぞれの選択肢の特徴やプロセスを順番にご紹介します。

①店舗売却

店舗売却とは、リサイクルショップを廃業したうえで、店舗の状態はそのまま(居抜き)で他者に売る方法をさします。リサイクルショップの状態や階数によって多少は変動するものの、原状回復には多額の工事費用が必要です。そのため、廃業費用を抑えたい場合には、居抜きでの店舗売却を検討しましょう。

店舗売却のメリット・デメリット

店舗売却のメリットは、以下のとおりです。

  • 原状回復費を削減できる
  • 売却利益や造作譲渡料が得られる

しかし、店舗売却には以下のようなデメリットもあるため注意しましょう。

  • 退去日まで家賃を払い続けなければならない(空家賃の発生)

店舗売却のプロセス

店舗売却のプロセスは、大まかに以下の流れで進みます。

  • 仲介業者への問い合わせ
  • 店舗確認/打ち合わせ
  • 買い手の募集/内見
  • 契約/入金
  • 店舗の引き渡し

空家賃の発生を防ぐためにも、なるべく早めに店舗売却の仲介業者に相談し、買い手探しを始めましょう。

②業務委託

業務委託とは、物件の契約あるいは所有権を維持したうえで、リサイクルショップの経営を他者に委託する方法をさします。店舗売却とは違い、リサイクルショップを閉店/廃業せずに済む方法です。

業務委託のメリット・デメリット

業務委託のメリットは、以下のとおりです。

  • リサイクルショップの経営を維持できる
  • 直接経営に関わらなくてもリサイクルショップの収入を得られる

しかし、業務委託には以下のようなデメリットもあります。

  • 業務委託先が家賃を滞納すれば契約者である自身が立て替える
  • 賃貸契約において業務委託が認められていないケースもある

業務委託のプロセス

業務委託のプロセスは、大まかに以下の流れで進みます。

  • 業務委託先候補への提案/見積もり
  • 業務委託契約の条件交渉
  • 業務委託契約書の作成
  • 業務委託契約の締結

なお、委託料が相場とかけ離れていると、業務委託先が見つからないおそれがあります。業務委託先をスピーディーに見つけるためにも、仲介業者に相談して適切な相場観を掴みましょう。

③M&A(事業譲渡)

M&A(事業譲渡)とは、リサイクルショップおよびその事業を他者に有償で譲渡し、引き続き経営してもらう方法をさします。店舗売却とは違い、店舗や設備だけでなく、従業員・経営ノウハウ・取引先などの無形資産も譲渡対象に含まれるケースが多いです。

M&Aのメリット・デメリット

M&Aにより事業を譲渡する側のメリットは、以下のとおりです。

  • 自身のリサイクルショップを存続させられる
  • 譲渡利益を獲得できる
  • 従業員の雇用を維持できる
  • 後継者不在の問題を解消できる

リサイクルショップを存続させられる点は業務委託と共通しますが、M&Aには譲渡利益の獲得のほか、従業員の雇用維持や後継者不在の問題解消なども期待できるため、これらにメリットを感じる経営者の方は、M&Aによるリサイクルショップの譲渡を検討しましょう。

しかし、M&Aにより事業を譲渡する側には、以下のようなデメリットもあります。

  • 完了までに複雑な手続きが必要となる
  • 負債や債務を引き継げないおそれがある
  • 従業員や取引先への説明が必要となる

M&Aのプロセス

M&Aのプロセスは、大まかに以下の流れで進みます。

  • 自店舗の分析/価値の算出
  • 譲受先候補の絞り込み/交渉
  • 基本合意契約の締結
  • デューデリジェンス(譲渡側の事業に関する調査)
  • 事業譲渡契約の締結
  • 財産等の名義変更手続き

なお、M&A成立後には、当事者同士のすり合わせ事項の確認および統合プロセスなどが実施されます。

M&Aで希望どおりの条件でリサイクルショップを譲渡するポイント

M&Aでは、事業を譲受する側にも以下のようなメリットがあります。

  • 必要な従業員を確保できる
  • 必要な取引先を取得できる
  • 自社の弱い分野を強化できる

そのため、当事者双方にとってメリットのあるM&Aであれば、希望どおりの条件で取引が成立しやすいです。例えば、譲受先が求める専門知識を持つ従業員や取引先を抱えていたり、譲受先の弱点分野(仕入れ力/出店エリア/顧客基盤など)に強みを持っていたりするリサイクルショップであれば、M&Aによる譲渡の成功確率が高まります。

なお、リユース業界では業界再編が目下進行中であり、大手企業がシェア獲得を目的に他のリサイクルショップを譲受する事例が数多く報告されています。しかし、将来的に業界再編が済んでしまえばM&A案件が落ち着くことも考えられるため、タイミングを逃さずにM&Aを行うことも希望どおりのM&Aを実現させるポイントだといえます。

リサイクルショップの閉店・廃業前になるべく早くM&Aの検討を

この記事では、リサイクルショップの閉店/廃業状況および、閉店/廃業する際の選択肢を紹介しました。リサイクルショップの閉店/廃業を考える経営者にとって、M&Aはメリットの多い選択肢です。ただし、M&Aでは法務・財務・労務など複雑で専門的に高度なプロセスが求められるため、完了までに数ヶ月〜1年程度のまとまった期間が必要となります。

リサイクルショップの譲渡により譲渡利益の獲得や店舗の存続を果たすためにも、業界再編が進むこのタイミングを逃さずにM&Aに向けて動き出しましょう。

当社フォーバルは、過去20万社の経営支援実績があり、中小・小規模企業の存続と成長に向けた事業承継M&A支援を行なっています。リサイクル業界に特化した専門チームがお客様のご状況に合わせてご対応いたしますので、ぜひお問い合わせください。


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