事業承継アドバイザーとは?事業承継の相談は事業承継アドバイザーに依頼した方がよいの?

事業承継アドバイザーという資格・職種をご存じでしょうか?

事業承継には、様々な専門知識や経験が必要ですが、そうした必要なスキルを体系的にまとめたのが事業承継アドバイザーという資格です。まだあまり知名度がない事業承継アドバイザーという資格ですが、その実態についてご紹介させていただきます。また、経営者の方にとっては、事業承継に関する相談をしたいときに、事業承継アドバイザーを選んだほうがよいのか否か、という点は気になるところだと思いますので、その点についても説明いたします。

事業承継アドバイザーとは?

事業承継アドバイザーは、複数の団体が運営する事業承継に関わる資格です。

事業承継アドバイザーは、企業の事業承継に関する知識やアドバイスを与えることができるように、その学習範囲が設定されています。従来、事業承継というと、自社株相続の法務と税務が主要な内容でしたが、現在では後継者不足の問題から、M&AやMBOといった新しい手法での事業承継も増加しており、これらの内容についても網羅するようになってきました。

現在、中小企業の約40%が後継者がいないという課題を抱えており、事業承継を検討する企業が増加傾向にあります。

オーナー経営者の高齢化もすすんでいるため、事業承継が必要となる状況は今後も増えていくでしょう。

最近は後継者が見つからなかったために事業承継ができず廃業してしまう企業も少なくありません。後継者がいないために事業を廃業せざるを得なくなってしまうと、その企業の貴重な人材やノウハウが失われたり、地域の雇用が減少したりと、日本の産業基盤に大きな影響を与えることでしょう。

そのために、事業承継はM&A等の幅広い選択肢の中から検討する必要があり、事業承継アドバイザーもその点を踏まえたスキルを身に着けることが求められています。

事業承継は単なる相続ではなく、財産や資産の引き継ぎだけにとどまらないため、事業の理念や人材、販路、取引相手など企業全体への理解が必要となるのです。

また、クライアントのニーズを踏まえたうえで、適切な事業承継計画を策定したり、実施のサポートをしたりといったスキルや知識が求められます。

これらの点からも、事業承継アドバイザーは今後ますます必要とされていくでしょう。特に、将来M&Aや事業承継に関する仕事をしたいと思っている方にとっては、取得しておいて損はない資格といえるでしょう。

事業承継アドバイザーの資格をとるメリットは?

事業承継アドバイザーの資格を取得すると、どういったメリットがあるのでしょうか?

⑴事業承継アドバイザーと名乗ることができる

資格を取得すると、事業承継アドバイザーとして名乗ることができるというメリットがあります。

事業承継を考える経営者は年配の方が多いため、有資格者を尊重する気持ちをもった方が多い傾向にあります。事業承継やM&Aは不安がつきものでもあるため、こうしたナイーブになりがちなところに、少しでも安心感を与えるのがこうした資格であったりもするのです。

オーナー経営者は少しでも信頼に足る人物を会社の命運を託す相手として選びたいと考えるものです。こうした際に、事業承継の知識や経験にたけており、コンサルタントとしての質を担保してくれる「事業承継アドバイザー」の肩書は信頼感を与えてくれるでしょう。

⑵事業承継の知識を身に着けることができる

事業承継アドバイザーの資格勉強では、事業承継やM&Aに関する知識を網羅的にも学ぶことができ、対象としては法務、税務だけにとどまらず、企業価値評価や戦略的な承継対策といった実践的な内容も含まれています。

従って、これらの勉強を通じて、実際の事業承継に関する実務についても学ぶことができ、実際の事業承継を将来考えている方にとっても、参考になる情報が多数含まれています。

事業承継やM&Aでは大きなお金が動くだけではなく、事業や資産の価値を正確に算出する事業評価が必要であったり、企業の風土や理念を踏まえた組織構築を行うノウハウが必要となります。

したがって、事業承継アドバイザーの学習を通じて、こうしたスキルを学んでいくことは、有用であるといえるでしょう。

事業承継アドバイザーの種類は?

事業承継アドバイザーの資格には現在3つの種類があり、それぞれの内容を紹介させていただきます。

事業承継アドバイザー(BSA)

事業承継アドバイザー(BSA)は、金融検定協会が認定団体として運営している資格です。金融検定協会は、金融機関の職員を対象とした資格を運営しており、事業承継アドバイザー(BSA)は、銀行の支店長や役職のある行員が中小企業のオーナー経営者に事業承継のアドバイスをできるようにする、という目的で始められました。

事業承継アドバイザー3級

事業承継アドバイザー3級は、経済法令研究会が認定団体として運営する資格です。経済法令研究会も、銀行員を対象とした銀行業務に関する検定試験を多数行っている団体ですが、こちらの資格では、渉外業務や窓口業務を行う人員を対象としており、基礎知識的なものを重視した内容となっています。

金融業務2級事業承継・M&Aコース

金融業務2級は、金融財政事情研究会認定の資格です。金融財政事情研究会認定では、金融業務に関する資格を多数運営していますが、金融業務2級のうちの事業承継・M&Aコースが事業承継に関する資格となっています。

試験の内容は?

まずは事業承継アドバイザー(BSA)認定試験について説明いたします。

概要

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験は、5択問題が50問の合計100点となっています。合格基準は60点以上となっていますが、最終的には試験結果を踏まえて試験員会での判断がされる形式となっています。試験時間は150分で、試験は毎年5月と11月の年2回行われています。

難易度

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験は、事前に試験用の講座も開催されており勉強することになります。講座は3か月間あり、この学習を一通り行えば、試験合格はそれほどむつかしくはないようです。事業承継アドバイザー(BSA)認定試験の試験内容は暗記がメインではなくちゃんとした理解が要求されるものが多く、テキストだけの自学習では理解が難しいため、講座の受講が推奨されています。実際の合格率は例年変化していますが、毎年の合格率の平均が55%程度となっています。

受験料

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験の受験料は7,200円(税込)です。

試験の出題内容

法務

  • 相続法務
  • 会社法
  • 経営承継円滑化法
  • 経営承継円滑化法による金融支援

税務

  • 相続税
  • 贈与税
  • 非上場企業の株式評価
  • 相続税・贈与税の納税猶予制度
  • 税務対策

企業価値評価

  • 事業承継とデューディリジェンス
  • DCF法による評価
  • 不動産の評価
  • その他資産・負債の評価

事業承継アドバイス

  • 後継者がいないケース
  • 外部からの後継者受入
  • 承継計画
  • 事業承継アドバイザーとコンプライアンス

戦略的承継対策

  • M&A(株式)
  • M&A(会社分割)
  • M&A(その他)
  • MBOによる対策
  • MBO時の資金調達
  • その他の承継対策

事業承継アドバイザー3級の試験の内容は?

続いて、事業承継アドバイザー3級の試験内容についてご紹介します。

概要

事業承継アドバイザー3級は2016年に開始された資格で、毎年10月に実施されています。

出題形式は4択の選択問題が25問で各2点、事例付きの4択問題が10問の各2点、記述式が3問の各10点で合計100点となっています。試験時間は180分で合格基準は60%以上の点数とされていますが、試験委員会によって合否の最終決定がなされる点は事業承継アドバイザー(BSA)と同様です。

難易度

事業承継アドバイザー3級の難易度は、2016年に行われた第1回目の試験では、2785人の受験者中、合格者は1536人で合格率は55.15%でした。翌年の2017年の試験では、受験者数が1530人で合格者数は505人、合格率は33.01%と、急激に難易度が上がったようです。まだできてから時間があまり立ってない資格であるので難易度は合格率をみて毎年調整しているようです。

受験料

事業承継アドバイザー3級試験の受験料は4,320円(税込)です。

試験の出題内容

事業承継アドバイザー3級の試験の内容は、銀行員が実際に事業承継のアドバイザー業務を行う場合に必要な知識を体系的にまとめたものとなっています。

事業承継の基本知識

  • 事業承継対策の基本と必要性
  • 各種の承継方法の概要

事業承継と金融実務

  • 取引先の現状把握と課題の認識
  • 承継方法の決定と計画の立案
  • 各承継方法共通の基本知識
  • 親族内承継に関わる基本知識
  • 親族外承継(従業員)に関わる基本知識
  • 親族外承継(第三者)に関わる基本知識
  • M&Aの基本知識
  • 廃業

その他関連知識等

  1. 他の機関等の事業承継関連の制度等
  2. 事業承継に関わるコンプライアンス

事業承継アドバイザーに事業承継を相談するべきか?

事業承継やM&Aのコンサルティングを行う事業者はここ近年非常に増加してきました。したがって、その品質や実績も玉石混合となっているという現状があります。

例えば、税理士などの税務的なバックグラウンドを持った人が、税務はわかるけど経営や他の分野はわからない、という状況の中で事業承継アドバイザー全般を受けている、というケースもよく起こっているようです。

自分の専門分野はわかるけど、それ以外の分野は全然知識がない、というケースもあるため、こういう点を見極めるためにも、事業承継アドバイザーの資格の有無を確認するといのは、依頼するコンサルタントを決める際の一つの基準にはなるでしょう。

事業承継は、非常に広範囲に業務が及ぶため、そのための知識やスキルも幅広いものが求められます。事業承継アドバイザーの資格は、こうした広い知識に対応する形で作成されているため、資格を持っている方であれば一定水準の能力が担保されているといってよいでしょう。

そもそも事業承継アドバイザーという資格は事業承継を支える専門家へのニーズの高まりがあったため生まれたという経緯もあります。したがって、今後も事業承継において事業承継アドバイザーの存在感はより一層たかまっていくでしょう。

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