IPOより主流となった起業の出口戦略バイアウト(Buy-Out)とは?バイアウトの3つの手法の全てを解説!

バイアウトとは?

バイアウトとは、企業の株式を買い取ることで、経営権を取得し買収することです。以前は、企業買収と聞くとあまりいいイメージはなかった感じでしたが、最近ではバイアウト は起業家や投資家が利益を得るための手法として注目されるようになってきました。

M&Aの手法には、株式取得や合併、会社分割など、さまざまな手法がありますが、その中のひとつにバイアウトがあります。さらに、バイアウトは買収をする主体によって、3つの手法があります。ここでは、それぞれの手法の違いや、バイアウトの意味や効果的にバイアウトを行うための基本知識についてご説明します。

イグジット(Exit)手段としてIPOより注目されるバイアウト

イグジット(EXIT)の手法としては、以前はIPO、すなわち株式をマザーズなどに公開して上場するやり方が主流でしたが、最近ではバイアウトで利用して、他の企業やファンドに株式を売却するイグジット手法が増加しつつあります。上記の図は近年のアメリカでのイグジットの手法別の割合を示したものですが、M&Aが主流となっており、IPOと比較して約4倍近くの数の企業が、イグジットの手段としてバイアウトを選択しています。

なぜ、バイアウトによるイグジットが増えてきたのかについては、以下のような理由があります。

  • 売却にかかる時間が短くなる
  • 保有株を一括で売却しやすい
  • 上場コストがかからないため、その分利益が大きくなり、評価額が高くなる
  • 上場後の、事業の数値などを開示する必要がない

IPOにかかる手間やコストは、年々増加傾向にあり、上場可能な水準に売上や利益の規模がなってから、2〜3年ほどかかってしまうというケースも増えてきています。したがって、バイアウトによるイグジットは条件があう売却先の企業が見つかれば数ヶ月以内には売却が確定できるため、イグジット手段としての魅力が上がってきたという背景があります。

また、バイアウトには、こうした創業者が事業の出口戦略として利用する以外にも事業承継の手法としての活用や、他社による企業買収に利用されるバイアウトなどにも利用されています。それでは、具体的にバイアウトの3つの手法についてみていきましょう。

バイアウトの3つの手法とは?

バイアウトは、誰が株式を買収するのかによって3つの手法に分類されます。それぞれのバイアウトの手法について、誰が株式を買い、どのように経営権が移るのか、またそれぞれの目的について見てみましょう。

MBO(マネジメント・バイアウト)

MBOは、Management Buyout(マネジメント・バイアウト)の略であり、企業の経営陣が後継者となり、既存株主であるオーナーや親会社等から株式を買い取り、経営権を持つ方法です。通常買収金額は少なくとも数千万円以上となるため、個人で負担するのが難しく、株式買い取りのための費用は金融機関やファンドから調達する事になります

この際、特別目的会社(Specific Purpose Company,以下SPC)を設立して資金提供を受ける事が行われています。最終的にはSPCと譲渡企業が合併を行った上で、後継者となる経営陣と出資をしたファンドが対象企業の株主となることで、経営権を得ることになります。

その結果、経営陣の自社株占有率を増やすことができ、自社の経営陣とファンドの意思決定権が強化されるため、意思決定が迅速になります。したがって、その他の一般投資家などから自社の経営に関与されることなく思い切った成長戦略を取ることができます。

MBOでは、例えば会社の一つの事業部門や子会社が本社とは切り離した独自路線を貫きたい場合などにもよく利用されています。また、上場企業においては、経営者自身が公開された一般株主から株式を買い戻し、上場を廃止するために用いられます。これは、株主の意見に左右されず、長期的な経営計画を立てて事業を立て直したい場合などに用いられています。

EBO(エンプロイー・バイアウト)

EBOは、Employee Buyout(エンプロイー・バイアウト)の略であり、従業員が企業の株式を取得することで経営権を得ることになります。経営者から従業員に対して事業承継を行う場合などに利用される事が多いです。すなわち、親族や役員などに後継者がおらず、従業員を後継者に指名して社内で承継が行われる場合に用いられています。
一方、従業員側が株式を取得するだけの資金を用意する必要があることから、そこをクリアする事が課題となります。

LBO(レバレッジド・バイアウト)

LBOは、Leveraged Buyout(レバレッジド・バイアウト)の略で、譲受企業が譲渡対象企業の資産や将来的なキャッシュフローを担保として、金融機関等から資金調達を行い、買収を行う手法です。したがって、自己資金が少なくても買収を行うことができます。買収後、金融機関からの借入金は買収された企業の負債となり、事業の成長から増加するキャッシュフローから返済していく形となります。

MBOやEBOは社内の人間に対して事業を承継する買収の手段であるのに対して、LBOは社外の人間が株式の買収を行うという点が大きな違いです。

譲受される企業側から見ると、事業に将来性があり、優秀な人材がいる企業はバイアウト後の増収が期待できることから、金融機関からの資金提供も得やすく、その後のリターンも大きいことが予測されます。譲渡する側の企業からの観点では、譲渡先の選択肢が広がり、より高い譲渡額で売却を行うことのできる可能性が高くなります。

バイアウトの手法ごとのメリット・デメリット

以上の3つのバイアウトの手法ですが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

MBOのメリット・デメリット

メリット

・経営権が社外へ移らないため、事業の継続性が担保される

・上場企業がMBOした場合、株主からの意見に左右されることなく経営方針を決めることができるようになる

・事業単位でMBOした場合は、事業の独立性を高めることができる

デメリット

・経営陣の変化はないため、企業の体制・体質はあまり変わらない

・株式取得のための資金調達が必要となる

・既存の株主からの反発の可能性がある

EBOのメリット・デメリット

メリット

・後継者不在で悩んでいる経営者の場合、その問題が解決できる

・既存の経営陣から優秀な従業員に事業を引き継ぐことで、企業再生を行える

デメリット

・従業員が株式取得のための資金調達が必要

・従業員による資金調達のため、金融機関等からの審査が厳しく、借り入れがしにくい

LBOのメリット・デメリット

メリット

・ 買収される企業に金融機関などから借り入れて資金調達ができるため、買収側の企業は少ない投資でレバレッジがかかり大きなリターンを得られる可能性がある。

・買収に伴う利息の返済が損金算入できるため、節税効果を期待できる。

デメリット

・買収後の経営がうまくいかず収益性が低下した場合に、投資額以上のリターンを得ることができなくなる。

・LBOによる借り入れの金利が高いことが多いため、支払う利息が高額になってしまう。

バイアウトの成功のためのポイントは?

会社が旬な時期に売却する

会社やサービスには旬な時期があります。例えば、旬な時期とは、事業が急成長している時や、そのサービスの分野に社会が注目している時を指します。この時期であれば、バイアウトの際の金額も高くなる傾向にあります。会社売却を検討する際にはこうした事業の旬を意識するようにしましょう。

キャッシュフローなどの財務情報は事前に準備

売却の交渉の際には、キャッシュフローについて細かく丁寧に話す必要があります。事業の売却はタイミングが重要なため、「買いたい」と思う企業が現れた際には、スピーディーに資料を渡すことが必要となります。したがって、オファーがあってから資料を準備するのではなく、売却に向けて動き出すタイミングでできるだけ精緻な財務に関する資料を作成していき、いつでも開示できるようにしていきましょう。

節税対策をしている場合には関連する情報を整理して開示する

中小企業の場合、節税対策のために利益を圧縮している場合が多くあります。したがって、節税対策により「利益が少ない」と誤解を与えてしまう可能性があります。そのため、なぜ利益が少ないか、それは何に使ったものであり、本来であればどれくらい利益が出たのか、という節税対策をしなかった場合の、数値についても事前に準備しておく方が良いでしょう。

バイアウトの成功事例は?

事例その1 Yahooへの一休やdelyのバイアウト

ヤフーはベンチャーキャピタルのYJキャピタルを子会社で運営するなど、スタートアップへの投資を積極的に行なっています。近年には、ホテル予約サイトの一休や、オフィス用品販売のアスクル、そして料理動画サービスを運営するdelyなど、勢いのあるベンチャー企業をM&Aで買収しています。例えば、一休は買収後も業績を順調に伸ばし、買収時から売り上げも2倍以上に成長しています。Yahooのポータル等との連携で事業シナジーを得るだけでなく、Yahoo内でもベンチャー企業としての価値観が浸透してきて組織の活性化がおこるといった利点もでています。

事例その2 InstagramのFacebookへのバイアウト

お次は世界的なバイアウトによるイグジットとしても有名なFacebookによるInstagramの買収です。Facebookはあっという間に世界的な大企業となりましたが、そこには非常に巧妙なベンチャー企業のM&A戦略があります。

Facebookの買収戦略は非常にシンプル。それはとにかく優秀な人材を獲得すること。実際に会社ではなく人を目的にM&Aを行なったことが何度もあります。M&Aを仕掛ける国も限定されておらず、事業シナジーがあれば、国は関係なく買収を行います。

Facebookにとって事業に最も大きな影響があったのは、Instagramの買収です。それまで人材目的の買収が多かったFacebookですが、Instagramのサービスの可能性に対してまだほとんど売上がないにもかかわらず、810億円という大きな買収額でM&Aを行いました。その結果、FacebookとInstagramの事業シナジーによって、両社ともに大きく成長していくきっかけとなっています。

事例その3 ソラコムのKDDIへのバイアウト

KDDIは、loTのプラットフォームのスタートアップのソラコムを200億円でM&Aによって買収しました。ソラコムは創業からたったの2年半で200億円のイグジットを達成し、日本では最近最も大きいM&Aの成功事例となりました。

ソラコムでは買収後、社員にストックオプション渡していたため、M&A後によくある社員の大量離職も防ぎました。KDDIの買収額にはストックオプションのための金額も含まれていたため、M&Aによる買収後の会社統合の成功事例となっています。

まとめ

バイアウトの概要についてまとめて解説させていただきましたがいかがでしたでしょうか?バイアウトは、ベンチャー企業や中小企業の両方にとっても、会社の将来を考える上には必要な手法の一つになってきています。事業の出口戦略を検討するフェーズにある会社経営の方は、ぜひ一度検討してみてくださいね。

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