PMIの手順や流れは?M&Aの成功を握る重要な要素を解説!

企業とは本来、長い時間をかけ、紆余曲折しながら一歩一歩事業規模を拡大していくものです。社歴の長い企業であれば、何百年もかけてこの過程を繰り返しています。

このような通常の成長過程をショートカットし、入口から出口まで一気に駆け上がっていくのがM&Aです。それはまるで、昨日まで歩いて移動していた人が今日からジェット機に乗って世界中を飛び回るようなものです。

しかしこの「夢のような」M&Aに対する認識は、残念ながら必ずしもM&Aの実状を正しく反映しているわけではありません。なぜなら全てのM&Aが成功しているわけでなく、実際には当初の見込みどおりの成果が出せていないケースも数多く存在するからです。

M&Aを活用すると会社の成長スピードを一気に加速させることができるのは、M&Aが「1+1」を2よりも遥かに大きな数字に押し上げる推進力を持っているからです。

M&Aで発生する、この2よりも大きい部分のことを、「シナジー(相乗)効果」といいます。M&Aの核はこのシナジー効果にあり、その成否はシナジー効果がどれだけ発生するかにかかっていると言っても過言ではありません。

M&Aの手続きが完了後、企業同士をスムーズに統合し、短期間でシナジー効果を最大限発揮させるために行う統合手続きのことを「PMI」といいます。

今回はこのPMIについて、その手順や流れ、注意すべき点などについて解説していきます。

PMIとは

手続きとしてのM&Aが完了すると、実務的な統合手続きに入ります。この統合には、実は大変多くのリスクが内在しています。

たとえば譲渡希望企業の従業員に対して今後の待遇や評価の説明を怠ってしまうと、予期せぬ退職者を大量に出してしまう危険性があります。

また従業員間に派閥が出来てしまうと、チームワークが乱れ業務に影響をおよぼしてしまいます。

このようなリスクは人事面以外にも、経営・業務・財務・経理や従業員の意識などさまざまな場所で噴出する可能性があります。このリスクを防ぐためには、事前にこれらのリスクを解消しておかなければなりません。

このように統合に向けリスクを排除しスムーズにスタートを切るための「すり合わせ」のことをPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)といいます。

PMIの目的とその重要性

M&Aは契約書にサインするまでの手続き的な部分ばかりが注目されがちですが、M&Aの本当の成否はその後の統合にかかっています。統合に失敗したり時間がかかり過ぎてしまうと、期待されていたM&A効果を発揮することができなくなるばかりでなく、M&Aそのものが破談してしまう可能性もあります。

手続きとしてのM&Aが完了し、実際に統合手続きが始まると、企業のあらゆる場所で混乱が起きます。これを成り行き任せでそのままにしておいても、決して時間が解決してくれる事はありません。

PMIの目的

PMIの目的とは、M&Aで期待されたシナジー効果をできるだけ早く、最大限発揮させることであります。このためには事前にPMIに向けた準備をしておき、できるだけ短期間にスムーズな統合手続きを完了させなければなりません。

PMIの重要性

PMIを軽視したり失敗してしまうと、以下のようなことが起こってしまいます。

  • 取引先に「M&Aは失敗した」と見なされ信頼を失くし、取引高が大幅に減る
  • 企業内で従業員同士の分裂・対立が起こり、業務に支障が起こる
  • 自社のブランドイメージが崩れる
  • 期待通りの収益が上がらず、シナジー効果を発生させることができなくなる

PMIの重要性を理解して十分な準備をし、統合後は迅速に実行に移してM&Aの期待効果を阻害するリスクを摘み取らなければなりません。

PMIの実際の手順とその流れ

PMIを実行に移す場合には、統合プロセスをおもに「経営の統合」「業務の統合」「意識の統合」の3つの面から進めていきます。

PMIによる経営の統合

譲渡希望企業と譲受希望企業の両社の経営理念や経営戦略などをすり合わせ、M&A後に経営陣の認識の違いや亀裂が生じないようにしておきます。

PMIによる業務の統合

通常の業務や設備などのインフラ、人事制度や財務会計制度などをすり合わせていきます。また仕入先や営業拠点の統廃合を行い、コストカットによるシナジー効果を発生させます。

PMIによる意識の統合

お互いの企業文化を理解し、受け入れる土壌を作り上げていきます。特に外資系企業とのM&Aでは相手の企業文化に対する理解の深さがその後の業務に直接関係するため、大変重要です。

PMIのプロセスとその流れ

実際にPMIを行う場合、以下のプロセスでに沿って行われます。

PMIのプロセス① M&A成立前

M&Aの基本合意締結前に、PMIについて検討を行います。譲渡希望企業の経営理念や実際の業務や人事、企業風土などは譲渡希望企業の経営者でなくてはわかりません。基本合意締結前から積極的に両社で取り組み、M&A後のPMIがスムーズに行われるための準備をします。

PMIのプロセス② デューデリジェンス後

デューデリジェンスで得た確度の高い情報やリスクなどをPMIの計画にフィードバックさせ、PMIのための計画書の精度を上げていきます。

PMIのためのプロセス③ ランディングプランの策定

M&Aのクロージング後の短期間(通常3~6ヶ月くらい)の間にすべき統合作業をリストアップし、実行のためのプランニングをします。

リストアップする対象は、人事や労務、組織や各種規定、経理財務や実際の業務などの各分野が対象となります。

PMIのプロセス④ 100日プランを決める

クロージング後の100日で、M&A後の第二創業期のスタートダッシュを切るための中期事業計画を策定します。新しく生まれ変わった企業にとって最初の100日間は極めて重要であり、新しいメンバーを迎えた社内で企業理念や事業戦略を共有し、また社外の取引先に対して今後の方向性を発信していきます。

ちなみにGoogleは社内プロジェクトを3ヶ月(約100日)、米国トランプ政権も全ての政策を100日単位で作成・実施しています。

M&Aの成功を握るPMIの重要ポイント

PMIの手順や流れに続き、PMIの重要ポイントについて確認していきましょう。

精度の高いPMI計画

最も大切なポイントは、事前のPMI計画です。この計画の精度が低ければ、精度の低いPMIしか達成できません。また策定が遅れれば遅れるほど、後手後手に回ってしまい、リスクや問題に対処できずにスムーズな事業展開が不可能となってしまいます。

ビジョンの共有

M&Aを行ったことで、今後自社はどうなるのか?どのようなシナジー効果が予想されるのか?そもそものM&Aの目標とは?といった項目を今一度確認し、将来のビジョンを明確化してリーダー達だけでなく従業員とも共有することが必要です。

ビジョンを共有する際も、従業員の心に響いてモチベーションアップにつながるような言葉やフレーズを選ぶと良いでしょう。

場合によっては、ビジョン達成時の対価を明確にすることで従業員のモチベーションを上昇させることもできます。

また、株主や取引先などの主要ステークホルダーにも適切なタイミングで情報発信を行う必要があります。

リーダーシップの発揮や適切な人材の配置と確保

M&A直後は従業員はもちろんのこと、取引先や株主も少なからず不安を抱いています。その不安を払拭するために相応しい人間がリーダーシップを発揮し、各自に説明や指導を行う必要があります。

各部署や各企業に相応しい人材を確保しておくことが重要となってきますので、早い段階で選定・確保しておくと良いでしょう。

また、これらの統合のために譲渡企業の代表者は、たとえ退任する予定だとしても、M&A後も一定期間は在籍を約束するケースも多いです。

PMIを無事に乗り切るには

M&Aは大企業同士であっても想定していたシナジー効果が発揮できず、失敗に終わることがあります。

そもそもマッチングそのものに無理があったため失敗する場合もありますが、多くは統合後のPMIに失敗し、社内には不協和音、社外には不信感ばかりを募らせてしまい、良いスタートダッシュが切れなかったことがその原因となっています。

そこでPMIを失敗せず乗り切るにはどうすれば良いのかを、中小企業に的を絞って考えてみたいと思います。

中小企業はPMIが苦手?

多くの中小企業にとって、M&Aは「初めて」かもしくは「経験が浅い」かのどちらかです。

M&Aは企業を一気に加速させる加速装置ではありますが、クロージングまでの道のりは決して平坦でなく、秘匿性も高いため多方面に神経を使い続けなければなりません。

特にはじめてのM&Aであればクロージングばかりに目が行きがちで、そこに辿り着くまでに精も根も尽き果ててしまい、PMIにまで気が回らないことがあります。

またPMIはM&Aの手続きと並行して準備していくため、そのための人材を確保するのが中小企業には難しく、どうしても後回しになりがちです。

これでは最高のマッチングでクロージングできたとしても、PMIを乗り切って最高のスタートダッシュを切るのは難しくなってしまいます。

当事者同士が対立を生むケースも

M&Aが完了すると、譲渡希望企業の社員と譲受希望企業の社員が同じ職場で働くことになります。細心の注意と心遣いをしなければ、どうしても譲渡希望企業側の従業員の中に不信感や不安感が募ってしまいます。

また面談でどれだけ説明しても、「自分は譲渡希望企業の社員だから」というバイアスが一度出来上がってしまうと、当事者同士の話し合いではどこまで行っても平行線となってしまうことにもなりかねません。

PMIに不慣れな中小企業こそPMI100日パッケージを活用する

このように中小企業にとってPMIは、そのハードルは高く予定通り100日プランを達成するのは難しいのが現実です。しかしどれだけクロージングまでは上手く行っても、その後のPMIに失敗してしまえばM&Aそのものが失敗に終わってしまいます。

そこで譲渡希望企業と譲受希望企業の当事者だけでPMIを進めるのではなく、公平な第三者の眼で見ることのできるM&Aアドバイザーを両社の間に置き、PMIを進めていくことをおすすめします。

これならどちらの社員から見られても公平性を担保することができますし、何よりPMIを何度も経験しているプロフェッショナルであれば「どこでどのように失敗するか」をよく知っているため、PMIでつまづくことなく最高のスタートダッシュを切ることができます。

まとめ

M&Aを成功させるためには、自社の不足部分やニーズを補うことのできる最高の相手を見つけなければなりません。しかし仮に見つけることができたとしても、その後の統合に失敗してしまえばM&Aそのものも失敗に終わってしまいます。

M&Aはついクロージングばかりに目が行きがちですが、期待効果を最大限発揮するためには統合後のPMIを成功させなければなりません。

当社では、M&A成立後の統合手続きをスムーズに行うための中小企業に特化した「PMI100日パッケージ」を提供しております。M&Aによるシナジー効果を最大限発揮するために「企業としての在り方」から「具体的な実務のやり方」まで含めたトータルソリューションを提供し、PMIのためのソフト面からハード面まであらゆるフェイズでPMIをサポートしております。

なお具体的なPMIのご相談は、こちらからどうぞ。


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