M&Aって個人でもできるの?個人で行う少額M&Aのやり方や事例を解説!

「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」の本が出版されたりと、個人の方でも会社を買ったり、副業で何か事業を始めてM&Aで売却したり、といったことに興味を持つ方も増えてきました。

また、背景として個人の副業や起業のニーズが高まり、いつかは自分も事業のオーナーになりたい、という気持ちを持った方が増えているというのもあるでしょう。

今回は、そんな方向けに個人でM&Aをして事業を買ったりしたい方や個人事業を譲渡したいという方向けに小規模M&Aのやり方や事例についてご紹介させていただきます。

1 M&Aで会社を買うことが個人にとってもお勧めな理由

(1)経営者の高齢化と後継者不足

まず、こうした事業承継を希望する案件が増えている背景として、オーナー経営者の高齢化があります。以前は40代が平均年齢であった中小企業の経営者の年齢も高齢化がすすみ、現在は60代に。そうなると問題となるのが、後継者がいない企業が増えてきているのです。こうした、後継者がいないため、黒字にもかかわらず廃業しないといけない事業というのが、なんと年間4万件にも達しています。

すなわち、こうした案件の中では収益性も高いにもかかわらず、割安で売却が可能なものが存在しており、個人でも購入可能な金額の優良案件が増えてきている、という背景があるのです。

(2)事業を0から始めなくてよい

M&Aで事業を購入する場合、その事業はすでに立ち上がっており、売り上げも発生している状態です。また、過去のデータなども蓄積されているため、そこを分析することで、売り上げUPの気づき等も得られるかもしれません。

事業を新規で始める場合、一番のリスクは実際にやってみなければ、どう事業が進んでいくかが不明瞭な点です。また、0からすべてを手探り状態で始めなければならない、というリスクもあります。

M&Aで事業を購入すればこうした点はクリアすることができ、事業を始めるリスクを限定的にすることができるようになります。

2 個人がM&A案件を探す方法

上述したように、経営者の高齢化や後継者不足等の問題により、M&Aによって事業を承継したいと考えるオーナー経営者は増加傾向にあります。

また、小規模の企業や、個人事業等は将来の展望に対して不安を感じ、可能なら事業を売ってしまいたいと考える方もいるようです。

こうした中で、個人が事業を買ったり、売ったりするには、どうやって相手を探せばよいのだろうか、という点がわからないという方も多いと思います。そこで、個人でのM&Aの案件を探す方法について解説します。

インターネットで検索して探す

インターネット上M&A情報を検索するだけでも多数の案件を見つけることができます。特に、見つけやすいのが、M&Aのマッチングサイトの活用です。

M&Aマッチングサイトには、多数のM&Aの案件が掲載されているので、検索して探すことが可能です。代表的なのサイトとしては、TRANBI(トランビ)、M&Aクラウド、M&Aパークなどがあります。

人脈を使って紹介で探す

自分が直接知らなくても、人脈を活用してM&A案件を探す方法もあります。一番可能性が高いのが、顧問の税理士や会計士、弁護士など士業を通じた紹介です。彼らは、士業同士のネットワークがあるため、こうした案件情報が出回りやすく情報入手の可能性が高まります。

また、経営者同士の交流会や、会合などで経営者の知り合いに聞いてみるのも良いでしょう。経営者は全員豊富な人的ネットワークを持っているので、M&A情報が入ってくるのも早いです。なお、会社を譲渡したい側であればあまり経営者に対して譲渡先を探す相談はしない方が良いですが、買い手側であれば積極的に聞いて行きましょう。

紹介によるM&Aの利点は、なんといっても、相手側との信頼関係が築きやすいことでしょう。売却希望の企業から見ても、いきなり知らないところからの買収オファーよりは知人の士業や経営者からの紹介の方が、信用をしやすくなります。

M&Aの交渉では、互いの信頼関係が重要なため、人脈を通じた方法がこの点では最も有力な手段といえるでしょう。これは、企業同志の取引の場合でも、個人でM&Aの交渉をする場合でも同様です。

M&A仲介会社に依頼する

M&Aが盛んになってくるに伴って、中小企業のM&Aの仲介やコンサルティングを行う専門の事業会社が増加しています。それぞれのM&A仲介会社が取り扱っている案件の例などは、たいていの場合はホームページなどに掲載されているため、気になる案件があれば問い合わせてみればよいでしょう。

購入側がM&A案件を探す場合においては、原則買収の成立時以外には費用は必要ありません。

代表的なM&Aの事業会社としては、上場している日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズなどがあります。これらの上場企業のM&A会社の場合、500万円以下の少額のM&A案件は取り扱っていない場合が多いため、小規模M&Aを検討するのであれば、中小企業に特化したM&Aアドバイザーの会社、例えばフォーバルなどがオススメです。フォーバルであれば、小規模企業の取り扱いがあり、またM&A検討前の経営コンサルからM&A決定後の手続きまでコンサルティングしてくれるため、知見がない中小企業にも最適だと思います。

また、M&Aサポートを行う公的機関もあります。

「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に基づき、全国47都道府県の認定支援機関に「事業引継ぎ相談窓口」及び「事業引継ぎ支援センター」が設置されています。こちらの窓口は、中小企業の後継者不足解決に特に力を入れており、事業承継に伴うM&Aの仲介などが盛んです。

金融機関などからの紹介

取引の深い銀行などがある場合、銀行に依頼すればM&A案件を探してくれるケースがあります。

この場合、買収に必要な資金の提供なども金融機関から有利な条件を引き出しやすいというメリットもあります。

しかし銀行や投資ファンドなどが自分達の都合のよいM&Aを行うためにM&A案件を持ってくるケースもあります。例えば、銀行が融資先の債務超過の会社を整理するためにM&Aを持ちかけ、その会社の都合や利益を考えずにM&Aを実行させたケースなどがあります。

直接交渉する

売却希望として情報を公開していなくても、買収したい具体的な企業や事業が見つかったら、直接交渉する方法もあります。例えば、中小企業のなかでも特定の分野に強かったり、特殊な技術を持っていたりする企業で、ライバル社などに直接交渉するパイプがある場合などです。

しかしながらこの場合であっても、M&Aの専門家は交渉の場にいた方がよいでしょう。M&Aにおいては、価格交渉においてお互いに納得感のある取引をするためには、合理的な価格設定が必要となります。

この価格算出には、専門家による企業価値評価を行ったほうがスムーズであり、計算方法を互いに説明しやすくなります。したがって、交渉にかかる時間や手間も短くなるため、最終的にはお互いが合意しやすくなるというメリットがあります。

またその他、手続きや契約書なども専門知識がないとスムーズに事は運びません。

したがって、直接交渉するにしても、初期の段階からM&Aに詳しい公認会計士や弁護士などの助力を得る必要はあります。

支援センターに相談する

また、個人規模のM&A案件を相談する先としては、公的機関である事業引継ぎ支援センターもあります。

事業引継ぎ支援センターは、主に後継者不在の中小企業経営者のための公的なサポートを行う場として設立されており、経済産業省の働きで2011年からスタートしました。後継者人材バンクという、後継者がいない小規模事業者のマッチングを行っている支援センターも県にはよりますが、ありますのでこうしたところで後継者として立候補してみる、という方法もよいでしょう。

3.M&Aをする際の注意ポイント

このように個人のM&Aは注目を集めて増加している傾向にありますが、一方で、個人向けの小規模M&Aはまだまだ未成熟な部分も多くあり、注意が必要です。こちらでは、個人でのM&Aの際の注意点をについて解説していきます。

方法による違いを理解する

個人M&Aにおける主な手法は、以下の2種類に分けられます。

株式譲渡 = 会社全体を買い取る手法

事業譲渡 = 会社の所有する必要な事業のみを買収する手法

株式譲渡と事業譲渡のいずれの方法を選択するかによって、M&Aに伴って発生するリスクは変わってきます。それでは、それぞれの手法におけるリスクについて解説いたします。

①株式譲渡の場合

株式譲渡の場合、会社全体を購入することになるため、様々なリスクがあることを理解しておきましょう。

株式譲渡では会社の資産だけではなく、債務などの負債も含めて全て引き継がれるため、M&Aの交渉の際には判明しなかった偶発債務や取引のトラブルなどがわかった場合に大きな損失を出してしまう可能性があります。

こういったリスクを考えると、M&Aや会計の知識に不安がある場合は、M&Aの専門家にデューデリジェンス等に入ってもらうのがよいでしょう。

②事業譲渡の場合

事業譲渡の場合、法人が変更されるため、各契約を新たにし直す必要があります。そのため、取引契約のある顧客や雇用契約のある従業員等が全て承継できない可能性があります。

事業譲渡後の契約の際に、雇用契約を拒否する従業員や、契約の巻き直しに躊躇する取引先が出てくるかもしれません。

また、譲渡対象となる事業が許認可を必要とする事業である場合、こうした許認可も新たに新規で申請する必要があり、申請の事務負担が発生したり、最悪の場合には許認可を得られないといったケースもありえます。

売り手企業の借入が膨大にないか?

株式譲渡ではなく、事業譲渡を行う場合、売り手側の企業の借入金の問題にも対処しなければなりません。なぜなら、こうした事業を譲渡しようとした場合、お金の貸主から詐害行為取消権により事業譲渡を取り消されるリスクがあるためです。

詐害行為取消権とは、債務者が責任財産を減少する行為をした場合に債権者にその法律行為の取消権が認められる権利のことです。

これは、貸主である債権者の共同担保を保全するものであるため、事業譲渡によって譲渡会社が無資力となる場合、詐害行為に該当する可能性あります。

すなわち、事業譲渡は会社の財産を譲渡する行為であるため、債務超過にある会社が行う場合、不当に財産を減少させたとして、債権者を害する行為としてM&Aが無効にされてしまうケースもありえるのです。

4 サラリーマンから事業承継で社長になる場合に必要なスキルは?

個人で事業を購入する場合、一番重要なのは、承継した事業をその後適正に経営ができるかというところです。経営能力がないと、せっかく購入した事業がうまくいかなくなってしまい、利益の減少や最悪の場合には倒産してしまうケースがあります。

特に購入者が実際の経営経験のないサラリーマンであった場合は猶更こういう点の検討が必要となります。そこで、仮にサラリーマンであっても、購入した事業をうまくいかせるためにどういったスキルや経験が必要か、という点について解説させていただきます。

(1)経営知識はあるか

まず必要になるのが経営知識です。小規模事業においては、営業、マーケティング、財務、税務、法務などの様々な領域を1人で把握して対応する必要がある場合もあります。中小企業の場合こうした分野に明るい人材が内部にいない場合もあるため、自分自身ができるだけ幅広い経営知識をもっている方が望ましいでしょう。

事業承継で後継者となる経営者に、経営コンサルティングファーム出身の方が多いのはこうした理由からです。

(2)業界知識はあるか

業界に対する知識も必要な場合があります。特にBtoB事業では、業界特有の慣習や、専門用語なども多く、自分が全くわからない分野の事業に関与するのは避けたほうがよいでしょう。

(3)自分の専門性とのシナジーはあるか

事業は承継した後に、継続して成長させていく必要があります。そのために自分の専門性のある得意なスキルとシナジーがあるかどうかという点も重要になります。例えば、魅力的な製品を扱っている化粧品メーカーを購入したとしましょう。これまで販売経路は主に量販店や小売店などの実店舗がメインでしたが、ECサイトでの販売によって売り上げがより一層伸ばせる可能性があるとします。この場合、WebマーケティングやECのスキルがある方が事業を承継している場合、シナジーが発生して、事業を成長させていくことができるでしょう。

こうした、スキルや経験を活かした事業運営をできるかも重要なポイントとなります。

(4)熱意があるか

そして、最も重要なのは、経営に対する熱意です。会社の代表になるということは、その会社のすべてに対して責任を持つ立場になるということです。事業を進めていくためには、何よりも圧倒的な熱意が必要であり、熱意でもって従業員や取引先を巻き込んでいかなければなりません。こうした熱意を長年にわたって持つことができるかも、十分に検討しましょう。

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