事業承継は何から始めればいい?流れや考え方を解説

事業承継の流れを把握しておくと、会社の引き継ぎを円滑に進められます。しかし、経営者の多くは事業承継を身近に感じておらず、流れを十分に把握できていません。この記事では、事業承継の流れを中心に解説します。

事業承継とは

事業承継とは、事業の経営を後継者に引き継ぐ行為をさします。事業承継の方法はさまざまありますが、共通点は事業承継に成功しないと会社の存続自体が危うくなる可能性がある点です。そのため、事業承継は慎重に進めなければなりません。

事業承継の問題点

事業承継が経営課題として注目される背景には、日本企業の99.7%が中小企業である事実が深く関係しています(2016年の経済センサス活動調査より)。中小企業では現経営者の手腕や人脈が会社の強みや事業基盤となっているケースが多く、組織が属人化しやすいです。この属人的な性質は現経営者がいなくなれば消失してしまうことから、事業存続のためには後継者に相応しい人物に事業を引き継ぐことが重要視されています。

また、近年は少子化を背景に人材不足で悩む企業が増加し、後継者探しが困難な企業も続出しています。 事業承継が行えない問題点には、後継者不在だけでなく、相続・贈与を用いる場合に後継者が多額の税金を支払う必要がある点も挙げられます。後継者にかかる税負担の大きさから、事業承継できない事態に陥っている企業も多いです。

事業承継の考え方/引き継ぐもの

現金や預貯金、不動産など個別の資産だけではなく「事業」そのものを引き継ぐため、会社が保有している資産や負債をはじめ、会社の経営権やブランド、信用や取引先、負債などのすべてが含まれた形で承継が実施されます。

事業承継の5つの方法

事業承継の方法には、以下の5種類があります。

  • 親族承継
  • 親族外承継
  • M&A
  • 清算・廃業
  • 株式上場

親族承継とは、経営者自身の子供/兄弟/親戚などに事業承継を行うことです。早期に後継者を決定して時間をかけて後継者を育成できる点がメリットですが、職業選択の多様化や少子化の影響によって親族承継の件数は年々減少しています。 

親族外承継とは、会社内の優秀な役員や社員に事業承継を行うことです。会社の実状を知る後継者に経営を任せるため経営者にとって安心感のある方法ですが、企業を買い取る際には資金が必要となるため、資金力が不足する後継者から事業承継を拒否されてしまうケースもあります。

M&Aとは「合併と買収」を意味し、企業の売買や企業同士の合併をさします。 従来M&Aは大企業同士で実施されていましたが、近年は中小企業が経営課題を解決する目的で活用する事例も増加中です。一般的に、親族承継や親族外承継が行えないケースで用いられます。

上記3つの方法を採用できない場合、清算・廃業あるいは株式上場を選択します。清算・廃業とは、文字どおり会社を清算・廃業させる行為です。一方の株式上場では、自社株式を証券市場で売買可能な状態にさせます。

事業承継M&Aのメリット/デメリット

事業承継の方法の1つであるM&Aのメリットは、主に以下のとおりです。

  • 後継者候補を外部から幅広く探せる
  • 事業の継続や発展を期待できる
  • 従業員の雇用を守ることができる
  • 創業者利益を得られる

M&Aによる事業承継では、後継者不在の問題を抱えていても相応しい後継者を探せる点に大きなメリットがあります。その一方で、M&Aには以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。

  • 買い手が現れない/希望の価格で譲渡できないおそれ
  • 企業文化の融合に時間がかかる可能性
  • 雇用・労働条件の変更により社員の離職が起こるリスク
  • 取引先から契約を打ち切られるおそれ

M&Aによる事業承継では、必ずしも希望どおりの条件で取引を行えるとは限りません。また、M&A後にも企業文化の融合などで多くの時間が必要となるため、他の事業承継の方法と同様にゆとりを持って準備を進めなければなりません。適切な買い手を見つけ、なるべく希望に近い形での事業承継を実現するためにも、専門家からのサポートが必要となるでしょう。

事業承継の基本的な流れ

事業承継の基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 自社/事業の現状を把握する
  2. 後継者候補を選ぶ
  3. 事業計画書を作成する
  4. 関係者に対して説明する
  5. 経営改善に着手する
  6. 計画書のもとで引き継ぎを行う

各プロセスを詳しく解説します。

①自社/事業の現状を把握する

ここで把握すべき現状としては、主に「資産状況」「株式保有状況」「株式評価額」などが挙げられます。まずは、資産状況の把握のために財務諸表の確認から始めると良いです。

②後継者候補を選ぶ

親族内や自社内に後継者として相応しい人物がいれば、打診を行います。後継者候補が複数人いるならば、経営者としての素質を念入りに見極めなければなりません。なお、経営者の周囲に最適な後継者がいない場合は、M&Aによる第三者への事業承継を検討します。

③事業計画書を作成する

計画を念入りに作成したうえで事業承継を実行すれば、失敗確率を低下させられます。事業計画書には、まず会社の現状や後継者候補について記載すると良いです。これにより、後継者候補に必要な教育の内容および期間などの把握にもつながります。

④関係者に対して説明する

事業承継の実施が確実となった段階で行います。もしも社員や取引先などへの説明タイミングが早いと、不安感を抱いた社員が離職したり、取引先が契約を解除したりするおそれがあるためです。こうした事態が後継者に不安感を与えれば、承継を拒否されかねません。事業承継をスムーズに進めるためにも、情報漏えいには注意しましょう。

⑤経営改善に着手する

自社を磨き上げた状態で事業承継を行うことで、後継者のモチベーション向上につながります。具体的な施策としては、財政状態の改善や社員のスキル向上などが有効です。また、不要な資産の売却や負債の削減などを行えば企業価値の向上につながり、M&Aによる事業承継の成功確率を高められます。

⑥計画書のもとで引き継ぎを行う

これまでの流れをすべて済ませたら、計画書のもとで引き継ぎ作業を進めます。実際に後継者に経営権を譲渡して事業を引き継いでもらえば、事業承継プロセスは終了です。

事業承継の流れを円滑化させるコツ

最後に事業承継の流れを円滑化させるコツを5つ取り上げます。十分に把握して、自社の事業承継計画の策定に活かしましょう。

①早期のタイミングから準備に取り掛かる

いかなる方法を採用する場合でも、事業承継は早期のタイミングから準備に取り掛かりましょう。なぜなら、思い立って即座に実施できる行為ではないためです。後継者教育を含めると、事業承継を済ませるには最低5年以上の期間が求められます。すでに経営の引退を検討しているならば、現段階から準備に取り掛かると良いです。

②後継者教育を念入りに実施する

特に親族承継や親族外承継を行う場合、後継者教育を念入りに行いましょう。経営の経験がない人物を後継者とするなら、基礎的な経営学からじっくり時間をかけて教え込む必要があります。承継後に事業を成長させていくためにも、後継者を一人前の経営者に育てることが大切です。

③効果的な節税対策を講じる

事業承継で相続・贈与を用いる場合、後継者に多額の税負担がかかるおそれがあります。課税額を考慮しておかないと、後継者が納税資金を確保できず事業運営にも深刻な影響が及びかねません。事業承継の課税額をなるべく抑えるためにも、税理士などの専門家に節税対策をサポートしてもらいましょう。また、事業承継税制の活用も効果的です。

④必要資金を効率よく集める

後継者のために経営改善に着手する際、新商品の開発などで資金が必要となるケースがあります。ここでは後継者に負担をかけないよう、負債を作らず資金集めを行いましょう。有効策としては、事業承継補助金などの利用が挙げられます。

⑤遺産問題の発生には事前に対処しておく

特に親族承継を行う場合、遺産問題の発生に注意しましょう。現経営者の財産の多くが株式という場合、後継者に株式をすべて相続させると他の相続人に財産が平等に渡らないことがあり、遺留分減殺請求権を行使される可能性があります。後継者以外の親族に事業承継を理解してもらえるよう、事前に話し合っておきましょう。

事業承継は専門家への相談から始めるべし

この記事では、事業承継の流れを中心に紹介しました。 近年はさまざまな理由が背景となり事業承継が困難化しており、M&Aを活用した事業承継に対するニーズが高まっています。M&Aによる事業承継には多くのメリットがありますが、準備には時間がかかるため、プロセスの流れを把握したうえで早期に準備を進めましょう。

M&Aによる事業承継を検討している場合、フォーバルにお任せください。当社は事業承継M&Aを専門的に手掛ける企業です。また、M&Aの実施が未定の段階でも相談可能で、24時間電話やチャットで無料相談に対応しておりますので、M&Aによる事業承継に不安を感じる経営者の方はぜひ一度お気軽にご相談ください。


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