社長が引退を考えるのはいつから?引退の年齢と方法をわかりやすく解説!

オーナー社長が創業から力を入れ、業績を伸ばしてきた企業でも社長が歳を取るとともにその事業をどうしていくのかを考える必要が出てきます。

特に、社長が引退をする場合には会社の承継や精算、売却が必要となります。しかし、引退のタイミングが難しいと言う経営者も多いです。

「どのように引退すればいいのか」、「いつから考え始めればいいのか」、「具体的になにをすればいいのか」など考えることは多岐にわたります。

そこで今回は引退を考えるタイミングや引退の方法についてわかりやすく解説をしていきます。

社長が引退を考えるのはいつから?

それでは社長が事業からの引退を考えるのはどのタイミングでしょうか?

そもそも引退する理由や、タイミングを考える時期をみていきましょう。

そもそもなぜ社長は引退する必要があるのか?

一般的にはこれまでに事業を起こし、会社を成長させてきている経験を積んだ社長が引き続き経営を継続することは理に適っているように思えます。

しかし、実際にはそのような経験とこれからの企業の成長はかならずしも一致しません。

なぜなら、現在はインターネットやSNSの発達のように外部環境が目まぐるしく変化しているからです。

そのような外部環境の変化には歳を取るごとに対応が難しくなってきます。

特に、過去に成功体験があればあるほど自分を変えることが難しくなる「成功のジレンマ」に陥っていきます。

そうした状況に陥る前に、後進への事業継承などで現代にあった形で事業を運営する必要がでてきます。

社長自身の能力が低下するの年齢は何歳から?

経営の意思決定に重要な認知能力は加齢とともに低下すると言われています。

認知能力は60歳前後を境に急激に低下を始めます。

また、年齢を重ねるとともに経験は増えますが、それに伴い自分自身を変えることが難しくなります。

ソニー創業者の森田和夫も昭和48年時点で次のように述べています。

「もう50歳以上の人間はダメな時代が来ていると思います。(略)これからの25年間にやってくるであろう大変化の時代には、もうわれわれ50歳代の人間は自分を変化させていくには歳をとりすぎました。もはやわれわれはこの時代を、流行遅れの人間として生きなければならないようです。(略)50歳前後の人間には、まだわずかに自分を変えられる可能性は残っているかもしれません。しかし、もうひとつ上の世代となると、これはもうアウトです。ですから、ほんとうに早く次の世代の人に代わってもらいたい。そして、その人たちの手で、大きな変化の時代を切り開いていくべきだと思うのです」(『週刊現代』昭和48年9月)。

このように50代を超えたタイミングから流行などについていけなくなり、経営が難しくなるでしょう。

実際に引退するタイミングと考え始める時期

ここまで見てきたように社長自身の能力が50代から60代を境に低下する可能性が高いため、そのタイミングで引退を考える必要があります。

しかし、引退を考えたからといってすぐに引退できるわけではありません。

後進の育成や、事業の譲渡などには時間がかかります。

そして、経営者自身が引退を決めることも難しいため、引退を先延ばしにしてしまう経営者が多いのも事実です。

だからといって、引退を先延ばしにするとデメリットも生じます。そのようなデメリットをみていきましょう。

引退を先送りしたときのデメリット

経営者が引退を先送りした場合にはデメリットが生じます。

どのようなデメリットが発生するのかを「税制面」、「企業財務面」、「金融機関評価」の3つの側面から考えてみましょう。

税制面

事業承継をする場合の節税対策と、日頃行う節税対策では節税方法が異なります。

そのため引退を先送りし、突然事業を承継するとなった際には手元現預金が足りず、借り入れを行い財務体質を悪化させる可能性があります。

また、2023年12月31日までに「特例承継計画」を提出すれば、事業承継にかかる贈与税・相続税をゼロにできる「特例事業承継税制」を活用することができますが、引退を先送りすることでこのような制度を使えなくなります。

金融機関評価

適切なタイミングで引退をせず、突然事業の継承を行った場合には、後継者の個人資産がなく、金融機関からの評価を落とす可能性があります。

また、事業の継承のタイミングでそれまでの返済実績がリセットされ、一から信用力を上げていく必要が出てきます。

企業財務面

上記のように金融機関からの評価を落とすことで、金融機関からの融資が難しくなります。

また、承継のタイミングで既存役員から役員借入の返済を求められたり、過去支払われていなかった退職金を支払うことが求められる可能性があり、財務的なリスクを抱えます。

引退するときの3つパターン

引退のデメリットを理解し引退を決めれば、次にはどのように引退するのか具体的に考える必要があります。大きく分けて「後継者を育成し経営を任せる」、「会社を精算する」、「会社を売却する」の3パターンが考えられます。

それぞれについて詳しくみていきましょう。

後継者を育成し経営を任せる

後継者に事業を任せる場合には、親族、社内の役員や社員など複数のパターンが考えられます。しかし、突然経営そのものを任せることは難しいため、サクセッションプラン(後継者育成計画)を立て、事業承継を進める必要があります。

具体的にはジョブローテーションを行い社内の各業務の理解を深める、経営に一部分的に参加する、外部での研修・業務経験などがあります。

このような育成を5〜10年かけて行い後継者へと事業を任せていきます。

後継者を育成し経営を任せる場合にはある程度現行の経営者の意図を残したまま事業を継続することができますが、一方で他の手法に比べて引退までに時間がかかります。

また、育成意図の通りに人材の育成が進むとも限らないというリスクもあります。

そのため、引退を決めてからの計画やスケジュールは綿密に行いましょう。

会社を精算する

引退の際に会社を閉業、解散するだけでは会社を終えることはできません。

最後に会社を精算する必要があります。

会社が売掛金の回収や資産を処分することで自社に残った債務を全額支払うことができる場合には「通常精算」を行います。

一方で、債務を支払うことができない(債務超過)場合には「特別精算」の申立てをし、裁判所の監督の下で会社の清算を行います。

しかし、このようなケースでは「特別精算」ではなく、破産手続きが利用されることが多いです。

このように会社を精算することはできますが、実際には従業員や取引先に影響する可能性があるため、精算は慎重に進める必要があります。

会社を売却する

会社を売却することで事業を継続しながら経営者が引退することができます。

利益が出ている状態であれば、売却益も得ることができるため、後進の育成ができないまま引退を考えている経営者には売却も一つの選択肢となるでしょう。

近年では中小企業向けのM&Aコンサルティング会社が増えたり、M&Aプラットフォームも増えているため、M&Aの検討も容易になってきました。

しかし、会社の売却には相手探しからデューデリジェンス(事業評価)などがあるため、すぐに会社を売却することはできません。

また、売却後にロックアップ(売却後も企業に一定期間在籍すること)などがかかる可能性もあるので、M&Aは引退を考えているタイミングから逆算して行いましょう。

デューデリジェンスやロックアップなどはあるものの、後継者育成よりも短期間で引退ができるため、事業を他社に渡してもよいと考えている経営者は活用を考える価値があるでしょう。

引退を考えた際には上記のような手法が考えられるので、現状や引退のスケジュールに合わせて手法を選ぶ必要があります。

早めの引退計画で納得の引退を!

引退を考えてから実際に事業継承や事業譲渡を行うには時間がかかります。

また引退のタイミングを間違えると経営者、従業員、取引先、などの関わる人たちに悪い影響を与えてしまいます。

そのため引退計画を早めに立てて、自他ともに納得できる形で進めていきましょう。

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