
会社売却には税金がかかるため要注意です。この記事では、会社売却にかかる税金について内訳/計算方法/節税対策を紹介します。また、税金対策を講じる際は、専門家への相談が有効である点も把握しておきましょう。
会社売却時にかかる税金の内訳/計算方法

まずは、会社売却時にかかる税金の内訳と計算方法について、「個人が株主であるケース」「法人が株主であるケース」「事業譲渡するケース」の3つに分けて取り上げます。
個人が株主であるケースの税金
会社売却のうち個人である株主が株式を売却するケースでは、その個人に対して税金が課されます。個人に課される税金は所得税と住民税の2つであり、厳密にいうと株式売却により利益が発生した場合に課税を受ける仕組みです。この株式売却により得た利益は「株式に係る譲渡所得」と呼ばれており、以下の計算式で算出されます。
- 株式に係る譲渡所得の金額=総収入金額(売却価額)ー必要経費(取得費+委託手数料等)
株式に係る譲渡所得の税率の内訳は、所得税が15%/住民税が5%/復興特別所得税が0.315%(2037年まで)の合計20.315%です。ここでは実際にかかる税額を紹介するために、具体例(売却価額2億円/取得費6,000万円/M&A委託手数料等2,000万円)を用いると、以下のように算出されます。
- 株式に係る譲渡所得の金額=2億円ー8,000万円=1億2,000万円
- 株式売却にかかる税額=1億2,000万円✕20.315%=2,437万8,000円
法人が株主であるケースの税金
会社売却のうち法人である株主が自身の子会社などの株式を売却するケースでは、その法人に税金が課されます。法人に課される税金は法人税であり、株式売却に係る売却益に事業の黒字(赤字)を加味した全体の利益に対して課税が発生する仕組みです。株式売却に係る売却益の計算式は以下のとおりで、個人が株主であるケースとほとんど同じです。
- 株式に係る売却益の金額=総収入金額(売却価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)
法人税の税率は法人の規模や利益などにより変動しますが、目安は30%程度です。ここでは実際にかかる税額を紹介するために、具体例(売却価額3億円/取得費9,000万円/M&A委託手数料等4,000万円)を用いると、以下のように算出されます。
- 株式に係る売却益の金額=3億円ー1億3,000万円=1億7,000万円
- 株式売却にかかる税額=1億7,000万円✕30%=5,100万円
事業譲渡するケースの税金
会社売却だけでなく事業譲渡の際も税金がかかるため、合わせて把握しておきましょう。事業譲渡は法人同士の取引となるケースがほとんどであるため、法人に対して税金が課されるのが一般的です。法人が事業譲渡を行う際に発生する税金は、大きく法人税と消費税の2種類に分けられます。
法人税は、株主である法人が会社売却を行う場合と同様の考え方です。その一方で、消費税の税率は10%であり、場合によっては数百万円規模で課税額が増加する可能性もあります。なお、事業譲渡により得られる収入を個人である経営者が受け取る場合、個人に対して課税が発生します。金額の受け取り方により変動するものの、上記のケースにおける所得税などの税率は会社売却時のように一定ではなく、利益の金額が高いほど税率も高くなるため注意しましょう。
会社売却時にかかるその他の税金一覧

本章では、株式売却時にかかるその他の税金を把握するために、「印紙税」「不動産取得税」の2つについて紹介します。まず印紙税とは、印紙税法にもとづき、課税物件に該当する一定の文書に対して課される税金のことです。会社売却時においては、株式を売却した代金の領収書の価格が5万円以上の場合に印紙税が課されます。
次に不動産取得税とは、地方税法にもとづき、不動産の取得に対して課される税金のことです。会社売却に伴う株式の売却により会社の所有者が変更した場合、たとえその会社が不動産を持っていたとしても不動産の持ち主が当該会社であることに変わりはないため、不動産取得税は課されません。以上のことから、会社売却時は、印紙税の課税有無について十分に注意しておきましょう。
会社売却時にかかる税金の支払いタイミング

会社売却時にかかる税金の支払いタイミングは、課税対象が個人であるか法人であるかによって異なります。まず個人に税金が課される場合は、確定申告のタイミングで支払う仕組みです。つまり、その年の1月1日から12月31日までに発生した所得について、翌年の3月15日までに確定申告を行います。
これに対して、法人に税金が課される場合は、会社によっても変動しますが、原則として決算期から2か月以内に支払います。具体例を挙げると、事業年度が3月末日までの会社であれば、税金の支払い期限は5月末日です。
会社売却時の税金と節税対策のポイント

最後に、会社売却時の税金における節税対策のポイントとして、以下4つを取り上げます。
- 役員退職金
- 役員報酬
- 配当
- 第三者割当増資
それぞれの項目を順番に詳しく紹介します。
役員退職金
会社売却に際して経営者である自身が自社の役員を退く場合、会社から役員退職金を受け取れます。この仕組みを利用すると、株式売却時に相手側から売却代金の全額を受け取るのではなく、一部の金額を税額が低くなる可能性の高い退職金の形で受け取って、節税効果を期待することが可能です。
ただし、役員退職金を利用した節税対策を実行する際には、いくつか注意点が存在します。まず、役員退職金は現金で支払われることから、会社の現金が減少して資金繰りが悪化しかねません。また、不相当に高額な役員退職金を支払うと、高額な部分は経費として認められないリスクがあります。場合によっては、会社に追加で税金の支払いが求められるおそれもあるため注意しましょう。
役員報酬
自身が経営する会社を売却する際、経営者はすぐに会社を立ち去らずに引き継ぎなどを行うケースが多いです。そのうえ、買収および売却企業では、資金不足により税金の一部を支払えないケースも見られます。こうしたケースにおいては、役員報酬により売却代金の一部を支払う方法も節税対策として有効です。
配当
個人が会社に株式を売却するケースにおいて、会社に直接株式を売却する代わりに配当控除が適用される配当を受け取る形で、支払う税金の額を減らす方法も効果的です。ただし、自身以外に株主がいる場合は、その株主にも配当を支払う必要があります。また、剰余金の規制に従わなければならない点にも注意が必要です。
第三者割当増資
会社売却ではなく経営権を譲る際に節税効果を得たい場合は、第三者割当を利用して経営権を移す先に出資してもらう方法もひとつの選択肢です。これは、売却企業が資金不足に陥っている場合などに有効な手法となり得ます。
会社売却時の税金対策は専門家への相談が大切

この記事では、会社売却にかかる税金について内訳/計算方法/節税対策などを幅広く紹介しました。紹介した税金対策の方法を用いれば節税効果を期待できますが、いずれの方法を採用する際も高度な専門的な知識が求められるため、専門家からサポートを得つつ実施しましょう。また、会社売却にかかる税金について不安・不明点がある場合も、専門家への相談をおすすめします。
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