売上から作らない

「来期は売上10%増」という計画は、食品工場では機能しません。品目によって粗利率がまったく違うため、売上が伸びても利益が減ることがあります。

作る順序は次のとおりです。

  1. 品目別の限界利益を出す
  2. 品目ごとの数量計画を立てる
  3. 限界利益の合計を出す
  4. 固定費を積み上げる
  5. 差引が営業利益

ステップ1:品目を仕分ける

区分方針
伸ばす限界利益率が高く、増産余地がある
維持する稼働を埋めている
値上げする限界利益が薄い
やめる限界利益がマイナスで、改善の見込みがない

品目別採算の作り方儲からない商品をやめるをご覧ください。

ステップ2:数量の前提を置く

各品目について、次を前提として明記します。

  • 現状の月間数量
  • 増減の見込みと、その理由
  • 季節変動のパターン

「なぜ増えるのか」を書けない増加は、計画に入れないでください。根拠のない数字は、計画全体の信頼を損ないます。

ステップ3:価格改定を織り込む

原材料の上昇が続く局面では、価格改定を計画に入れる必要があります。

  • どの品目を、いつ、いくら上げるか
  • 交渉の相手と、想定される反応
  • 改定できなかった場合の影響

価格改定を計画に明記すると、実行の圧力になります価格改定の交渉をご覧ください。

ステップ4:改善の効果を織り込む

  • 歩留まりの改善:◯%改善で年間◯万円
  • 段取り時間の短縮:◯時間短縮で生産量◯%増
  • 廃棄の削減:◯%削減で年間◯万円
  • エネルギー費の削減

改善は「やります」ではなく「◯月までに◯%」と数字で入れてください歩留まりとロスの改善段取り替え時間の短縮をご覧ください。

ステップ5:固定費を積み上げる

次の増加要因を、必ず織り込んでください。

  • 最低賃金の上昇(毎年見直されます)
  • 社会保険料の負担
  • エネルギー価格の変動
  • 設備の更新に伴う減価償却の増加
  • 借入の返済と金利
  • 修繕費(大規模修繕の予定)

最低賃金の上昇を織り込んでいない計画をよく見ます。パート比率の高い食品工場では、影響が大きい項目です。人件費率の見方をご覧ください。

3年計画にする理由

承継を見据えるなら、単年度ではなく3年で作ってください。

  • 設備投資の効果は複数年で出る
  • 価格改定は段階的に行う
  • 新規販路は立ち上がりに時間がかかる
  • 3期分の推移が、評価の材料になる

最後の点が重要です。買い手も金融機関も、単年度ではなく推移で判断します利益の安定性をどう見せるかをご覧ください。

設備投資を計画に入れる

食品工場では、設備投資が計画の中心になります。

  • 更新が必要な設備と時期
  • 投資額と資金の調達方法
  • 投資による効果(生産量、歩留まり、人員、品質)
  • 減価償却の増加
  • 返済額

設備の年表と利益計画を、同じ表に載せてください設備の寿命から逆算する設備資金の返済計画をご覧ください。

資金繰りと連動させる

利益が出ても資金が回るとは限りません。利益計画と資金繰り表を必ずセットで作ってください。

  • 在庫の増減
  • 売掛金の回収サイト
  • 設備投資の支出
  • 借入の返済
  • 納税・賞与

資金繰り表の作り方をご覧ください。

進捗の管理

作りっぱなしにしないための仕組みです。

  • 月次で実績と計画を比較する
  • 差異の理由を分解する(数量・単価・原価・固定費)
  • 四半期で計画を見直す
  • 年1回、3年計画を作り直す

差異の分解ができると、次の手が決まります標準原価と実際原価をご覧ください。

誰が作るか

後継者がいる場合、後継者に作らせてください。作る過程で、会社の構造と課題が体で分かります。

金融機関への説明も、後継者が行えるようになります。後継者を育てる順序金融機関への説明をご覧ください。

承継計画との統合

利益計画に、承継のスケジュールを重ねてください

  • いつ代表を交代するか
  • いつ株式を移すか
  • いつ役員退職金を支給するか
  • いつ保証解除を協議するか

これらは資金にも利益にも影響します。1枚に統合すると、無理のある計画に気づけます事業承継計画書の作り方承継を見据えた経営計画の作り方をご覧ください。