ロスは4種類に分けて考える

「ロスが多い」と一括りにすると、対策が散漫になります。食品工場のロスは、おおむね次の4つに分けられます。

  1. 原料ロス 仕込み時の目減り、カット時の端材、計量誤差、期限切れ廃棄
  2. 工程ロス 立ち上げ・切り替え時の捨て、ライン内の残留、包装不良
  3. 品質ロス 規格外品、手直し、検査での排除
  4. 販売ロス 返品、余剰生産、需要予測の外れ

それぞれ原因も打ち手も違います。まずはどの種類が大きいのかを掴むことから始めます。

測れないものは減らせない

改善の出発点は測定です。ただし、いきなり全品目・全工程を測ろうとすると現場が持ちません。次の絞り方をおすすめしています。

  • 金額の大きい上位数品目に絞る
  • 最初の1か月は「実際の投入量」と「実際の良品完成量」だけを記録する
  • 差が大きい工程を特定してから、その工程だけ細かく測る

記録の様式は、現場が30秒で書ける形にします。詳細な帳票をつくっても、続かなければ意味がありません。

効きやすい順に手を打つ

経験上、投資が少なく効果が出やすいのは次の順です。

  1. 段取り替えの回数と順序 同じ配合・同じアレルゲン構成の商品をまとめて流すだけで、立ち上げロスと洗浄回数が減ります。
  2. 計量精度 過量充填は、そのまま原料の持ち出しです。充填量のばらつきを測り、目標値を見直します。
  3. 作業の標準化 カットや盛り付けの歩留まりは、人によって差が出ます。上手な人のやり方を基準にします。
  4. 発注ロットと在庫回転 原料の期限切れ廃棄は、発注の単位と保管の管理で減らせます。
  5. 需要予測と生産計画 余剰生産は最も高くつくロスです。販売先との情報連携が鍵になります。

設備投資が必要になるのは、たいてい1〜5をやり切った後です。順序を逆にすると、投資しても効果が出ません。

手直しの時間は、隠れたコスト

見落とされやすいのが手直しです。廃棄していないため損失として計上されませんが、実際には人の時間と設備の稼働を消費しています。

手直しに費やした時間を1か月だけ記録してみると、その人件費の大きさに驚かれることがよくあります。ここを可視化すると、品質改善への投資判断がしやすくなります。

改善が続く条件

ロス削減は、仕組みにしないと数か月で元に戻ります。定着させるには次の3つが要ります。

  • 数字を現場に返すこと(先週のロス率を、翌週に現場が見られる)
  • 担当者を決めること(改善は「みんなの仕事」にすると誰の仕事でもなくなる)
  • 改善で浮いた分の使い道を示すこと(設備更新の原資、賞与への反映など)

承継の場面でどう効くか

歩留まりの数字を継続的に取っている工場は、買い手から見て「改善の余地が読める工場」になります。現状値と目標値が示せれば、買った後の収益改善が具体的に描けるからです。

また、ロス削減で生まれた利益は、そのまま企業価値の評価に効きます。値上げ交渉と違って相手のいる話ではないため、自社の意思だけで進められるのも利点です。