いつ伝えるか
結論から言えば、方針が固まりかけた段階で早めにです。決まってから事後報告するより、相談の形で持ち込むほうが、はるかに協力を得やすくなります。
金融機関は融資先の事業継続に強い関心を持っています。承継の見通しが立たない先は、長期の設備資金を出しにくくなります。逆に、計画を示せる先には前向きです。
必ず聞かれる7つのこと
- 後継者は誰か。いつ交代するか
- その人の経歴と、現在どの業務を担っているか
- 株式をどう移すか。その資金と税金はどうするか
- 個人保証をどうするか
- 先代は退任後どう関わるか
- 承継後の事業計画(売上・利益・設備投資)
- 取引先や従業員への影響
3番目と4番目が、金融機関にとって最も直接的な関心事です。ここを曖昧にすると、話が前に進みません。
用意する資料
次の3点があれば、説明は十分に成立します。
- 事業承継計画書(A4で3〜5枚。年次スケジュール付き)
- 直近3期の決算書と試算表
- 設備の年表(導入年・更新見込み・想定金額)
特に3つ目は食品製造業で効きます。設備投資の見通しが示されていると、金融機関は資金需要を予測でき、提案もしやすくなります。作り方は設備の寿命から逆算するを参照してください。
計画書の書き方は事業承継計画書の作り方にまとめました。
後継者を同席させる
説明の場には、必ず後継者を連れて行ってください。何度か同席すると、担当者との関係ができます。
順番としては、次のように立場を移していきます。
- 先代が説明し、後継者は同席する
- 後継者が数字を説明し、先代が補う
- 後継者が単独で対応する
金融機関から見て「決算の数字を自分の言葉で説明できる後継者」は、それだけで安心材料になります。
個人保証の協議
承継における最大の論点の1つです。先代の保証を外し、後継者が引き受けるかどうか。あるいは双方とも保証を求めない形にできるか。
ここでは経営者保証に関するガイドラインの考え方が重要になります。法人と個人の資産・経理が明確に分離されていること、財務基盤が十分であること、適時適切な情報開示がなされていること。これらの要件を満たすほど、保証を求めない扱いに近づきます。
要件を整えるには時間がかかるため、承継の数年前から準備するのが有効です。経営者保証に関するガイドラインの使い方と個人保証を外すにはをご覧ください。
M&Aを検討している場合
第三者への譲渡を検討している場合、金融機関への伝え方には注意が必要です。融資判断への影響を懸念される経営者もいらっしゃいます。
実務的には、具体的な相手が見えてから伝えるケースが多くなります。ただし、借入に関する契約に一定の事由が生じた場合の通知や承諾に関する定めがあることもあるため、契約内容の確認は早めに行ってください。
複数行と取引がある場合
メインバンクに先に伝え、その後に他行へ、という順番が一般的です。同時に伝えると、行間で温度差が生じたときに調整が難しくなります。
日頃の付き合い方は銀行との付き合い方にまとめています。
※ 融資・保証の取扱いは金融機関や個別の事情によって異なります。実行にあたっては、取引金融機関および専門家に必ずご確認ください。