売上から作らない
多くの経営計画が「売上◯億円」から始まりますが、食品製造業ではこの作り方が機能しません。品目によって粗利率がまったく違うため、売上が伸びても利益が減ることが普通に起きるからです。
作るべき順番は逆です。品目別の粗利 → 稼働と人員 → 設備 → 売上。この順で積み上げると、実際に動かせる計画になります。前提となる原価の見える化は品目別採算の作り方で扱っています。
ステップ1:品目を3つに仕分ける
現在の品目を、粗利率と数量で3つに分けます。
- 伸ばす:粗利が取れていて、まだ増やせるもの
- 維持する:粗利は薄いが、稼働を埋めるのに必要なもの
- 見直す:粗利が取れず、稼働も埋まらないもの
「見直す」に入った品目は、価格改定を求めるか、やめるかの二択です。判断の考え方は儲からない商品をやめるにまとめています。
ステップ2:稼働と人員を先に置く
次に、ラインごとの稼働時間と必要な人数を置きます。ここが食品工場の計画の核心です。品目数が多い工場では段取り替えの時間が積み上がり、稼働率を大きく下げています。
「品目を絞れば同じ人数で生産量が増える」という改善は、計画の中で数字にしておく価値があります。段取り替え時間の短縮を参照してください。
ステップ3:設備更新を年次で置く
主要設備の導入年と想定寿命を並べ、3年のうちどこで更新が必要かを明示します。ここを空欄にした計画は、後継者にも買い手にも金融機関にも信用されません。
更新には補助金を使える場合があるため、時期の置き方には工夫の余地があります。老朽化した工場・設備をどう引き継ぐかで扱っています。
ステップ4:人の計画を入れる
食品工場の計画で最も抜けやすいのが人です。定年を迎える人、技能を持っている人、その人が抜けたときに誰が代わるのか。ここを3年分書き出すと、教育や採用の必要量が見えます。
「誰が抜けても回る」ことは、そのまま企業価値に効きます。多能工化とスキルマップをご覧ください。
承継用に1枚足す
通常の経営計画に加えて、承継を見据えるなら1枚足したいものがあります。それは「社長がやっている仕事の一覧と、それを誰に渡すか」です。
配合の決定、価格交渉、取引先との折衝、金融機関との対応、採用の最終判断。これらを書き出して、渡す相手と時期を入れる。この1枚があるだけで、計画が承継の道具に変わります。事業承継計画書としての形は事業承継計画書の作り方にまとめました。