クロージングとは

最終契約で定めた内容を実際に履行する日です。株式や資産を引き渡し、対価を受け取ります。契約の締結日とは別で、通常は1〜2か月後に設定されます。

この期間を置く理由は、前提条件を満たすためです。取引先の同意取得、許認可の手続き、株式の集約などが済んでいないと、実行できません。

クロージング前提条件の例

  • 株式が100%集約されていること
  • 主要取引先からチェンジオブコントロールに関する同意を得ていること
  • 金融機関から借入に関する承諾を得ていること
  • 個人名義の資産に関する整理が完了していること
  • 表明保証が引き続き真実であること
  • 重大な悪影響が生じていないこと

食品製造業では、事業譲渡の場合に営業許可の取得が加わります。この手続きに要する時間がクロージング日を決めることがあります。事業譲渡のときの営業許可を参照してください。

当日にやること(株式譲渡の場合)

  1. 前提条件が満たされていることを相互に確認する
  2. 株式譲渡承認の手続き(取締役会または株主総会の決議)
  3. 株主名簿の書き換え
  4. 対価の支払い(着金の確認)
  5. 役員の辞任届の提出、新役員の選任決議
  6. 会社の重要書類・実印・通帳・鍵などの引き渡し
  7. クロージング書類への署名

実務上は、金融機関の営業時間内に着金を確認できるよう、午前中から進めることが多くなります。

引き渡すもののリスト

意外に抜けやすいので、事前にリストを作っておいてください。

  • 会社実印、銀行印、代表者印、社印
  • 預金通帳、キャッシュカード、ネットバンキングのID
  • 定款、株主名簿、登記関係書類
  • 過去の議事録、決算書、税務申告書
  • 営業許可証、認証の登録証
  • 契約書の原本(取引・リース・賃貸借)
  • 不動産の権利証、図面
  • 設備の取扱説明書、保守契約書
  • 従業員の労務関係書類
  • 各種システムの管理者アカウント
  • 工場・事務所・金庫の鍵

クロージング後すみやかに行うこと

登記

役員変更の登記を法務局へ申請します。株主の変更自体は登記事項ではありませんが、役員が変われば登記が必要です。代表交代の手続きをご覧ください。

行政への届出(食品製造業で特に重要)

  • 営業許可に関する届出(代表者の変更など)
  • 食品衛生責任者の変更届(該当する場合)
  • 労働保険・社会保険の事業主変更
  • 設備関係の届出(ボイラー、高圧ガス等)
  • 廃棄物の処理委託契約の名義

営業許可まわりは自治体によって運用が異なります。クロージング前に管轄の保健所へ確認し、必要書類を揃えておいてください。

取引先・金融機関への通知

あらかじめ準備した文書で、速やかに通知します。主要な取引先には、新旧の代表が一緒に訪問するのが望ましい形です。取引先にいつ伝えるかを参照してください。

従業員への説明

クロージングの直前または直後に、全体への説明を行います。順序と内容は従業員への説明はいつ・どう行うかにまとめました。

価格調整

契約によっては、クロージング時点の純資産や運転資本を確定させ、事前の想定との差額を精算する仕組みが入ります。食品製造業では季節による在庫の変動が大きいため、この調整が金額として無視できないことがあります。

算定の基準日と方法を、契約段階で明確にしておいてください。運転資本の調整で扱っています。

その後の引き継ぎ

クロージングは終わりではなく、統合の始まりです。最初の100日で何をするかが、その後を左右します。PMIの進め方へ進んでください。