製造中心の会社が陥りやすい型
- 既存の設備で作れるものを考える
- 技術的に面白いものを作る
- 試食して「おいしい」と判断する
- 作ってから売り先を探す
順序が逆です。売り先と用途を決めてから、作り方を考えます。
開発の起点を変える
起点1:既存取引先の課題から
最も成功率が高い方法です。
- 取引先が困っていることを聞く
- 他社に発注している商品で、不満がないか
- 棚に欠けているカテゴリはないか
- 作業を減らせる商品はないか(業務用)
「何か作れませんか」ではなく「何にお困りですか」と聞いてください。
起点2:自社の強みから
他社が持たない設備、技術、原料の調達力。それでしか作れないものは何かを考えます。
- 特殊な加熱・冷却ができる
- 少量多品種に対応できる
- 特定の原料を安定調達できる
- 特定の規格に対応できる
起点3:消費の変化から
- 個食・少量化
- 簡便性(温めるだけ、そのまま食べられる)
- 健康志向(減塩、たんぱく質、食物繊維)
- 保存性(常温、長期保存)
- 時短ニーズ
消費の変化をご覧ください。
開発の手順
ステップ1:仮説を立てる
次を1枚に書いてください。
- 誰が買うか(顧客)
- どの場面で食べるか(用途)
- いくらなら買うか(想定価格)
- いま何を買っているか(代替品)
- それより何が良いか(優位性)
- どこで売るか(販路)
これが埋まらない商品は、作っても売れません。
ステップ2:原価と価格を先に決める
作ってから原価を計算すると、売れない価格になります。
- 販路での想定売価を決める
- そこから逆算して、出荷価格を決める
- 目標の粗利率から、許容できる原価を出す
- その原価で作れるかを検討する
この順序にすると、開発の途中で「この配合ではコストが合わない」という判断が早くできます。品目別採算の作り方をご覧ください。
ステップ3:試作する
- 既存の設備で作れる範囲から始める
- 新しい設備が必要な場合、投資額と回収を試算する
- 量産時の条件を意識する(試作でできても量産できないことがある)
「試作ではできたが、ラインでは作れない」は食品工場でよくある失敗です。量産の条件を最初から考えてください。
ステップ4:検証する
- 期限設定の試験を行う(消費期限・賞味期限の設定根拠)
- アレルゲンの確認と表示の作成(アレルゲン管理と表示)
- 栄養成分の算出(栄養成分表示の作り方)
- 営業許可の範囲内かを確認(営業許可が要る業種はどれか)
- 既存ラインへの影響(アレルゲン、段取り)
これらは開発の初期から並行して進めてください。完成してから「許可の範囲外だった」では手戻りになります。
ステップ5:小さく試す
いきなり大量生産しないでください。
- 地域の小売店、道の駅、直売所で試す
- ECで少量販売する
- 既存取引先に少量納入する
- 展示会で反応を見る
反応を見てから改良し、それから本格展開する。この順序が失敗を減らします。
失敗を減らす3つの視点
1. 既存の設備・包材で作れるか
新しい設備や専用包材が必要だと、初期投資と在庫リスクが発生します。まず既存で作れる範囲から始めてください。
2. 段取りへの影響
1品目増えると、段取り替えが増えます。既存品目と同じライン・同じ順序で作れるかを確認してください。品目数を絞るをご覧ください。
3. やめる基準を決めておく
「◯か月で月商◯円に達しなければ終売」と、始める前に決めておく。これがないと、売れない商品が残り続けます。儲からない商品をやめるをご覧ください。
誰が担うか
商品開発の機能が社内にないことがあります。
- 製造の責任者が兼務している
- 社長が一人で考えている
- 取引先から言われたものを作るだけ
3番目の状態が続くと、価格交渉力も企業価値も上がりません。開発の機能を持つことが、依存からの脱却につながります。PB・OEM依存からの脱却をご覧ください。
外部との連携
- 公設試験研究機関(技術相談、分析)
- 大学・高専との共同開発
- デザイナー(パッケージ)
- 支援機関の専門家派遣
公設試の技術相談は、費用が抑えられることが多くあります。まず相談してみる価値があります。
承継との関係
商品開発は、後継者が力を発揮しやすい領域です。既存の取引や慣行にとらわれず、新しい視点で取り組めます。
また、開発した商品が育てば、それが後継者の実績になり、社内での信頼につながります。2代目・3代目が直面する食品工場の課題をご覧ください。