販路の種類

販路特徴
卸・問屋経由1回の数量が大きい。掛け率が低い
量販店への直納数量が大きい。センターフィー等がある
PB・OEM受託営業不要。価格決定権が相手にある
業務用(外食・給食)規格が簡素。数量が安定しやすい
直販(直売所・催事)粗利は高い。人手がかかる
EC(自社サイト・モール)粗利は高い。物流と運営の手間

比較の落とし穴

「掛け率」だけで比べると、実態を見誤ります。販路ごとに、売価から差し引かれるものが違うからです。

卸・量販店で差し引かれるもの

  • 掛け率(卸値)
  • センターフィー
  • 販促協賛金、リベート
  • 返品
  • 物流費(納品条件による)
  • 専用包材・ラベルの費用

ECで差し引かれるもの

  • モールの手数料
  • 決済手数料
  • 送料(負担する場合)
  • 個別梱包の資材費と作業
  • 広告費
  • 問い合わせ対応の人件費
  • 返品・クレーム対応

直売所で差し引かれるもの

  • 店舗の維持費(賃料、光熱費)
  • 販売員の人件費
  • 売れ残りの廃棄
  • 釣銭・レジ管理の手間
  • 販売に関する許可・届出の対応

実質粗利の計算

次の式で、販路ごとに計算してください。

実質粗利 = 売価 − 製造原価 − 販路固有の費用 − 販路固有の人件費

計算例(イメージ)

卸経由EC
売価(税抜)500800
製造原価300300
販路固有の費用50(センターフィー等)200(手数料・送料・梱包)
販路固有の人件費10150(受注処理・梱包・対応)
実質粗利140150
1件あたりの手間

金額では大差なく、手間はECのほうがはるかに大きいという結果になることがあります。

ただし、これは1件あたりの話です。ECには顧客との直接の関係、データ、ブランド構築という別の価値があります。

「1人時あたりの粗利」で比べる

より本質的な比較です。

1人時あたり粗利 = 実質粗利 ÷ その販路にかかる総人時

人手が限られる食品工場では、「限られた人時をどこに使うか」が経営判断になります。この指標で比べると、判断がしやすくなります。

販路ごとの役割

収益性だけで選ぶものではありません。それぞれに役割があります。

販路役割
卸・量販店数量を確保し、稼働を埋める
PB・OEM営業コストなしで数量を得る
業務用規格が簡素で、安定した数量
直販・EC粗利を稼ぐ。顧客の反応を得る。ブランドを育てる

組み合わせが重要です。数量を確保する販路と、粗利を稼ぐ販路の両方が必要になります。自社ブランドの評価をご覧ください。

ECを始めるときの注意

  • 物流の設計:個別梱包、送料、温度帯(冷凍・チルドは送料が高い)
  • 表示の要件:ネット上での表示にもルールがある
  • 許可・届出:販売形態によって必要なものが変わる
  • 問い合わせ対応:誰が対応するか
  • 既存の取引先との関係:直販が競合にならないか

最後の点は重要です。取引先が扱っている商品を、自社で安く直販すると関係が悪化します。商品や価格を分ける設計が必要です。

表示については食品表示法の基本、許可については営業許可が要る業種はどれかをご覧ください。

判断の手順

  1. 現在の販路別に、実質粗利を計算する
  2. 販路別の総人時を把握する
  3. 1人時あたり粗利を出す
  4. それぞれの役割を確認する
  5. 構成をどう変えるか決める

一気に変えないでください。稼働を埋めている販路を減らすと、固定費の負担が残ります。新しい販路の開き方をご覧ください。