表示する項目
原則として、次の項目を表示します。
- 熱量(エネルギー)
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- 食塩相当量
これに加えて、任意で他の成分を表示することもできます。表示する場合は、順序や単位にルールがあります。
2つの求め方
方法1:分析による
実際の製品を検査機関に出して分析します。
利点
- 実際の製品の値なので、根拠として明確
- 取引先への説明がしやすい
注意点
- 費用がかかる(1製品あたり数万円程度が目安)
- 品目数が多いと負担が大きい
- 配合を変えるたびに再分析が必要
方法2:計算による
原材料の栄養成分値と配合比率から計算します。
利点
- 費用が抑えられる
- 配合変更にも対応しやすい
- 品目数が多くても対応できる
注意点
- 原材料の栄養成分値の入手が必要
- 加熱による水分の変化などを考慮する必要がある
- 計算の根拠を残す必要がある
使い分け
実務では、主力製品は分析、その他は計算という組み合わせが多く見られます。
また、計算で求めた値を、定期的に分析で検証するという運用も有効です。計算値と実測値が大きくずれていないかを確認できます。
計算に必要な情報
原材料ごとに、次が必要です。
- 栄養成分値(100gあたり)
- 配合量
栄養成分値の入手先としては、次があります。
- 仕入先の規格書:最も確実。規格書に記載を依頼する
- 公的な成分表:一般的な食材について
規格書の整備が前提になります。原料規格書の管理をご覧ください。
加熱・調理による変化
食品製造業で難しいのがここです。加熱すると水分が飛び、重量が減ります。揚げ物では油を吸収します。
対応としては次があります。
- 製造前後の重量を測定し、変化率を求める
- その変化率を計算に反映する
- 変化率の測定記録を残す
この測定と記録が、計算の根拠の一部になります。
誤差の扱い
栄養成分値には、表示値と実際の値との間に一定の許容範囲が認められています。ただし合理的な根拠が必要です。
また、値の求め方によって、表示の方法(「推定値」等の記載)が変わる場合があります。詳細は食品表示基準および関係するガイドラインをご確認ください。
残すべき根拠資料
製品ごとに、次を1つのファイルにまとめてください。
- 配合表(原材料名と配合量)
- 各原材料の栄養成分値と、その出典(規格書、成分表)
- 計算の過程(表計算ソフトのファイルなど)
- 重量変化率の測定記録(加熱工程がある場合)
- 分析による場合は、分析結果報告書
- 作成日と作成者
この資料がないと、表示値の根拠を説明できません。取引先の監査でも、買収監査でも確認されます。
見直しが必要な場面
- 配合を変更した
- 原材料の仕入先を変えた
- 製造工程を変更した(加熱条件など)
- 内容量を変更した
仕入先の変更が見落とされがちです。同じ「醤油」でも、メーカーが変われば成分値は異なります。
体制を整えるコツ
1. 表計算で仕組みを作る
原材料マスタ(成分値)と配合表を分けて管理し、配合を入れれば自動計算される形にすると、変更に対応しやすくなります。
2. 規格書の入手を仕組みにする
新しい原材料を使うときは、必ず規格書を入手してからというルールを作ります。後から集めるのは大変です。
3. 担当を明確にする
表示の作成・確認を誰が行うかを決めます。属人化していると、その人が抜けたときに対応できません。引き継ぎ資料の作り方をご覧ください。
承継時に確認される点
- 製品ごとに根拠資料が揃っているか
- 配合変更時に見直す仕組みがあるか
- 分析による場合、分析報告書が保管されているか
- 担当者が複数いるか
資料が揃っていない場合、承継前に整備しておくことをおすすめします。主力製品から順に進めてください。
※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。