品目数が増えるコスト

1品目増えると、次のコストが発生します。

  • 段取り替えの時間:切り替えのたびに洗浄・調整
  • 専用の原料・包材の在庫:最低ロットで仕入れる
  • 管理の手間:規格書、表示、レシピ、原価計算
  • 教育の負担:作り方を覚える人が必要
  • 不良のリスク:慣れない品目ほど失敗が増える
  • 小ロットによる歩留まり低下:立ち上げ・停止のロス

これらは原価計算に十分反映されていないことが多いのが問題です。数量基準で配賦していると、小ロット品目のコストが見えません。加工費の配賦をご覧ください。

なぜ増えるのか

  • 取引先の要望に応えてきた
  • 季節商品を追加した
  • 規格違い(内容量、パッケージ)が増えた
  • 終売にしたつもりが、少量の受注が続いている
  • やめる判断をする人がいない

増やす判断はしても、減らす判断はしない。これが品目数が膨らむ構造です。

現状を把握する

ABC分析

品目を売上(または限界利益)の大きい順に並べ、累計の比率を出します。

区分累計比率典型的な品目数の割合
A〜70%全体の2〜3割
B70〜90%全体の2〜3割
C90〜100%全体の4〜5割

C区分に、品目数の半分近くが集中していることが多くあります。売上への貢献は1割程度なのに、段取りと管理の負担は品目数に比例します。

段取り時間の集計

品目別に、月の段取り替え回数と所要時間を集計してください。C区分の品目が、段取り時間の大半を占めていることがあります。

絞り込みの基準

やめる候補

  • C区分で、限界利益率も低い
  • 年間の生産回数が極端に少ない
  • 専用の原料・包材が必要
  • 段取り替えに時間がかかる
  • 作れる人が限られている
  • 他の品目で代替できる

残す候補

  • C区分でも、取引先との関係上必要
  • 他の主力品目とセットで受注している
  • 季節の谷を埋めている
  • 共通の原料・設備で作れる
  • 今後伸びる見込みがある

売上規模だけで機械的に切らないでください。役割を確認してから判断します。

統合という選択

やめるのではなく、まとめる方法があります。

  • 規格の統合:内容量の種類を減らす
  • 包材の共通化:同じトレー・フィルムで対応できる設計に
  • レシピの共通化:ベースを共通にし、仕上げで差をつける
  • ブランドの統合:中身は同じで、ラベルだけ変える

包材の共通化は効果が大きい打ち手です。在庫の種類が減り、最低ロットの問題も緩和されます。

実行の手順

  1. 品目別の売上・限界利益・生産回数・段取り時間を集計する
  2. ABC分析を行う
  3. C区分の品目について、役割を1つずつ確認する
  4. やめる・統合する・残すに分類する
  5. 取引先への影響を確認する
  6. 時期を決めて実行する
  7. 効果を測定する

5番目を飛ばさないでください。1品目やめたことで、取引全体を失うことがあります。儲からない商品をやめるをご覧ください。

効果の測り方

  • 月の段取り替え回数と時間
  • ライン稼働率
  • 在庫金額(原料・包材の種類数)
  • 残業時間
  • 不良率

段取り時間の削減が、そのまま生産能力の増加になります。同じ設備・同じ人員で、より多く作れるようになります。段取り替え時間の短縮ライン稼働率の見方をご覧ください。

増やすときのルールを作る

絞り込んでも、ルールがなければまた増えます。

  • 新規品目を追加する際の採算基準を決める
  • 最低ロット・最低年間数量を設定する
  • 既存の包材・原料で作れるかを確認する
  • 1品目増やすなら1品目減らす

「新商品を出すときに、既存の何をやめるか」を同時に決めるルールが有効です。

承継・M&Aでの意味

品目数が多すぎる工場は、買い手から見ると整理の余地があると映ります。逆に言えば、統合後の改善余地として評価されることもあります。

自社で先に整理しておけば、その分だけ利益が改善し、評価も上がります。売る前の1年でできる企業価値の上げ方をご覧ください。