教育計画がないと起きること
- 教える人によって内容が違う
- 何を覚えればよいか、本人が分からない
- できているかの判断が曖昧
- 衛生・安全の教育が抜ける
- 早期離職につながる
法令上も、雇入れ時の安全衛生教育や衛生管理の教育が求められています。記録も必要です。労働安全衛生をご覧ください。
3か月の計画を作る
1日目:必ず教えること
- 入退室の手順(着替え、手洗い、粘着ローラー、エアシャワー)
- 体調不良時の報告義務
- 私物の持ち込み禁止
- 危険な場所・設備
- 緊急時の対応(けが、火災、地震)
- トイレ・休憩室の場所と使い方
- 教育担当が誰か
1日目に安全と衛生を教えないと、事故が起きます。ここは省略できません。
1週目:作業の基本
- 会社が何を作っているか、どこで売られているか
- 担当する工程の全体像
- 基本作業(1〜2種類に絞る)
- 記録の書き方
- 報告・連絡の相手
最初から多くを教えないことがコツです。1〜2種類の作業を確実にできるようにします。
1か月目:作業の範囲を広げる
- 担当工程の作業を一通り
- 異常時の判断(どうなったら止めるか、誰に言うか)
- 使用する器具の洗浄
- アレルゲンの取扱いルール
「異常時に止める・報告する」を教えることが最も重要です。判断できないまま続行されると、事故や不良につながります。
3か月目:一人で回せる状態に
- 担当工程を一人で完了できる
- 品質の判断ができる
- 記録を正確に付けられる
- 次の工程への影響を理解している
手順書を用意する
口頭だけでは、人によって伝わる内容が変わります。
作り方のポイント
- 写真を入れる(文字だけでは伝わらない)
- 1工程1枚に収める
- 「良い状態」と「悪い状態」を並べて示す
- 危険な箇所を赤で示す
- 数値で示せるものは数値にする
外国人従業員がいる場合は、写真とイラストを増やしてください。ふりがな、やさしい日本語も有効です。多国籍な現場のコミュニケーション設計をご覧ください。
誰が作るか
ベテランに「書いてください」と頼んでも進みません。新人が質問しながら書き、ベテランが確認する形が有効です。
新人が分からなかった点が、そのまま書くべき内容になります。職人の技をどう引き継ぐかをご覧ください。
教育担当を決める
- 1人に固定する(複数人が違うことを言うと混乱します)
- 教える時間を勤務時間内に確保する
- 指導手当を付ける
- スキルマップで「◎(教えられる)」の人を担当にする
教えることを正式な業務として位置づけてください。「忙しい合間に」では、質が保てません。
できたかどうかを確認する
教えたつもりでも、できているとは限りません。
確認の方法
- 実際にやってもらい、担当者が見る
- チェックリストで項目ごとに確認する
- 本人が説明できるか聞く(「なぜこうするのか」)
「なぜ」を説明できるかが、理解の深さを示します。手順を覚えただけでは、異常時に対応できません。
記録を残す
次を記録してください。
- 実施日
- 教育の内容
- 実施者と受講者
- 理解度の確認結果
この記録は、取引先の工場監査でも、労働基準監督署の調査でも、買収監査でも求められます。取引先の工場監査をご覧ください。
継続的な教育
入社時だけでなく、次のタイミングでも教育が必要です。
- 新しい工程を担当するとき
- 新しい設備が入ったとき
- 手順を変更したとき
- 衛生管理計画を見直したとき
- 年1回の再教育(衛生、安全)
年1回の衛生教育は、検証の一環としても位置づけられます。検証と見直しをご覧ください。
教育とスキルマップを連動させる
スキルマップの「できる人数が1人」の工程が、次に教えるべき対象です。
教育計画とスキルマップを一体で運用すると、属人化が計画的に解けていきます。スキルマップの運用と多能工化とスキルマップをご覧ください。
承継との関係
教育の仕組みがあることは、「人が育つ会社」の証明です。
買い手にとって、統合後も人材を確保できるかは重要な関心事です。手順書と教育計画が整っている工場は、その点で安心材料になります。