検証とは何か

衛生管理の仕組みが、意図したとおりに機能しているかを確かめる作業です。次の2つの側面があります。

  • 計画どおりに実施されているか(記録の確認)
  • 計画そのものが適切か(見直し)

後者が特に重要です。製品や工程が変わっているのに、計画が古いままという状態は珍しくありません。

年に一度やること

1. 記録を通して見る

1年分の記録を並べて確認します。

  • 記録の抜けはないか
  • 逸脱の発生に傾向はないか(特定の時期、特定のライン、特定の担当者)
  • 逸脱があったとき、対応の記録が残っているか
  • 記録が実態を反映しているか

傾向が見えると、対策が打てます。「夏場に冷却時間の逸脱が多い」と分かれば、設備か手順に原因があると推測できます。

2. 製品・工程の変更を確認する

  • 新しい品目を始めていないか
  • 配合や原材料を変えていないか
  • 仕入先を変更していないか
  • 工程の順序を変えていないか
  • 包装形態を変えていないか

変更があれば、計画に反映されているかを確認します。反映されていなければ、そこが検証で見つかるべき事項です。

3. 設備の変更を確認する

  • 設備を入れ替えていないか
  • ラインを増設していないか
  • 計測機器を交換していないか

設備が変われば、管理の基準も変わる可能性があります。加熱機器を入れ替えたのに、以前の温度・時間の設定のまま、という状態は危険です。

施設の変更は届出の要否にも関わります。施設基準の考え方をご覧ください。

4. 計測機器を確認する

  • 温度計が正しく測れているか(標準温度計との比較)
  • 金属検出機の感度確認を行っているか
  • 秤の精度確認を行っているか

温度計が狂っていれば、記録は無意味です。定期的な確認と、その記録を残してください。

5. クレーム・検査結果を反映する

  • 1年間のクレームを分類する
  • 微生物検査の結果に傾向がないか確認する
  • 取引先の工場監査での指摘を確認する

クレームは衛生管理の弱点を教えてくれる情報です。異物混入のクレームが増えていれば、対策の見直しが必要です。異物混入を防ぐ体制微生物検査の体制をご覧ください。

6. 従業員の入れ替わりを確認する

  • 新しく入った人に教育を行ったか
  • 辞めた人が担っていた役割を、誰が引き継いだか
  • 食品衛生責任者に変更はないか

食品工場では人の入れ替わりが多く、教育の記録が抜けやすい部分です。食品衛生責任者の要件と交代の手続きをご覧ください。

検証の記録を残す

検証を行ったこと自体を記録します。次の項目を1枚にまとめれば十分です。

  • 実施日と実施者
  • 確認した内容
  • 見つかった問題
  • 変更した点
  • 次回までの課題

この1枚があるかどうかで、体制の評価が変わります。取引先の工場監査でも、買収監査でも確認されます。

いつやるか

年に1回、時期を決めて実施します。おすすめは次のタイミングです。

  • 閑散期:現場に時間の余裕がある
  • 期首または期末:他の年次業務とまとめられる
  • 営業許可の更新前:更新の準備を兼ねられる

誰がやるか

食品衛生責任者が中心になりますが、製造・品質管理・現場の担当者を交えて行うほうが有効です。現場でしか分からない実態が出てきます。

可能であれば、実際に作業をしていない人にも参加してもらうと、当たり前になっていることに気づけます。

承継期に特に重要な理由

検証の記録は、「仕組みが生きている」ことの証明です。計画があり、記録があり、見直しもしている。この3点が揃っている工場は、買い手からも取引先からも高く評価されます。

逆に、計画を作ったきり何年も見直していない工場は、形だけの体制と見られます。HACCPに沿った衛生管理は承継でどう見られるかをご覧ください。

※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。