離職のタイミングを分ける
| 時期 | 主な理由 |
|---|---|
| 入社1週間以内 | 思っていた仕事と違う、環境に耐えられない |
| 1〜3か月 | 覚えられない、教えてもらえない、人間関係 |
| 半年〜1年 | 将来が見えない、評価されない、条件が合わない |
| 数年以上 | 他社からの誘い、家庭の事情、待遇への不満 |
時期によって理由が違うため、対策も変わります。まず、いつ辞めているかを把握してください。
入社1週間の対策
最も離職が起きやすい時期です。
- 採用前に工場を見学してもらう(最も効果的)
- 初日に、誰が教えるかを明確にする
- 休憩時に一人にしない
- 初日の終わりに、感想を聞く時間を取る
- 作業着・ロッカーなどを事前に用意しておく
「今日はどうでしたか」と聞くだけで、辞める人が減ります。不安を言葉にできる場があるかどうかが分かれ目です。
1〜3か月の対策
教える体制
- 教育担当を決める(複数人で分担しない)
- 何をいつまでに覚えるかを示す
- 手順書を渡す(写真付き)
- できたことを認める
「見て覚えて」は最も離職を招きます。何を覚えればよいかが分からないまま、できない自分を責めることになります。教育計画の作り方をご覧ください。
面談
1週間後、1か月後、3か月後に個別面談を行ってください。15分で構いません。
- 困っていることはないか
- 体はきつくないか
- 人間関係で気になることはないか
- シフトの希望に無理はないか
半年〜1年の対策
将来が見えるようにする
- できることが増えると評価されることを示す(スキルマップ)
- 昇給の基準を明示する
- パートから正社員への転換制度
- 資格取得の支援
「ずっと同じ作業を同じ時給で」と感じさせないことが重要です。スキルマップの運用と人事評価制度の作り方をご覧ください。
共通する対策
1. 休める体制
「休むと迷惑がかかる」という状態は、離職に直結します。
多能工化が、休める体制の前提です。多能工化とスキルマップと年5日の年次有給休暇をご覧ください。
2. 人間関係
食品工場では、決まった場所で長時間、同じ人と作業します。関係が悪化すると逃げ場がありません。
- 相談窓口を明示する
- 配置を変えられる柔軟性を持つ
- ハラスメントへの姿勢を明確にする
ハラスメント対応の体制づくりをご覧ください。
3. 作業環境
- 休憩室・更衣室・トイレの清潔さ
- 空調・防寒
- 重量物の負担軽減
- 立ち作業の負担(マット、椅子)
休憩室の改善は、費用対効果の高い投資です。1日のうち、そこで過ごす時間は短くありません。
4. 評価と処遇
最低賃金の上昇により、新人と既存従業員の差が縮まっています。長く働く意味がなくなると、定着しません。賃金体系の見直しをご覧ください。
辞める理由を把握する
対策の前提は、実際の理由を知ることです。
退職時の面談
「一身上の都合」で終わらせず、話を聞いてください。ただし、退職を決めた人は本音を言わないことが多いのも事実です。
在職者への確認
むしろ、在職している人に定期的に聞くほうが有効です。
- 年1回の面談
- 無記名のアンケート
- リーダーからの報告
数字で把握する
- 離職率(全体、勤続年数別、部署別)
- 平均勤続年数
- 入社◯か月以内の離職率
部署別に見ると、特定のラインだけ離職が多いことが分かることがあります。そこに原因があります。
定着率と企業価値
離職率と平均勤続年数は、買収監査で確認される項目です。
離職が多い工場は、統合後にさらに人が抜けるリスクが高いと判断されます。逆に、定着している工場は評価が上がります。
人が残るかどうかは価格に影響するかと人が残る会社と残らない会社の違いをご覧ください。
採用コストとの比較
1人採用するのに、求人費・面接の時間・教育の時間・戦力になるまでの期間がかかります。
定着率を1割上げるほうが、採用を1割増やすより安く済むことがほとんどです。