工場監査とは

取引先(量販店、コンビニ、食品メーカーなど)が、仕入先の製造現場を実際に確認する取り組みです。

確認される内容は取引先によって異なりますが、おおむね次の項目が含まれます。

  • 営業許可の有効性と範囲
  • 施設・設備の衛生状態
  • 衛生管理計画と記録
  • 従業員の衛生管理
  • 原材料の受入・保管
  • 異物混入対策
  • アレルゲン管理
  • 表示の管理体制
  • トレーサビリティ
  • クレーム対応・回収体制
  • 教育訓練

法令上の要件より厳しい項目が含まれることがあります。取引先の基準に合わせる必要があります。

承継で受け直しになるか

株式譲渡・親族内承継・社内承継の場合

法人格も施設も変わらないため、直ちに受け直しになることは少ないのが一般的です。

ただし、次の場合は臨時の監査や、追加の確認を求められることがあります。

  • 品質管理の責任者が変わる
  • 製造体制に変更がある
  • 取引先の規定で、経営主体の変更時に確認が求められている

取引先の規定を確認してください。契約書や取引基本書に記載があることがあります。

事業譲渡の場合

営業者が変わるため、新規取引先として扱われる可能性があります。この場合、監査を最初から受けることになります。

監査には準備期間が必要で、結果が出るまでにも時間がかかります。取引の空白が生じないよう、スケジュールに織り込んでください

承継を伝えるタイミング

監査の実施主体は品質保証部門であることが多く、営業窓口とは別です。承継の連絡が営業経由だけだと、品質部門に伝わらないことがあります。

次の順で進めるのが実務的です。

  1. 営業窓口に承継の予定を伝える
  2. 品質保証部門への連絡が必要かを確認する
  3. 必要な手続き(届出書類、再監査の要否)を確認する
  4. スケジュールを調整する

タイミングの考え方は取引先にいつ伝えるかをご覧ください。

日頃から備えておくこと

1. 監査の記録を整理する

取引先ごとに、次を一覧にしてください。

項目内容
取引先名
監査の頻度年1回、2年に1回 など
直近の実施日
評価結果点数・ランクなど
指摘事項
是正の状況完了/対応中
次回の予定

この一覧は、そのまま承継時の説明資料になります。買い手にとっても、取引の継続性を判断する材料です。

2. 指摘事項への是正を残す

指摘を受けた項目について、何をいつまでにどう直したかを記録します。是正の証跡(写真、改訂した手順書、教育の記録)も残してください。

これがあると、次回の監査がスムーズになるだけでなく、買収監査でも体制の証明になります

3. 共通する指摘を先に潰す

複数の取引先から同じような指摘を受けている項目があれば、それは自社の弱点です。監査を待たずに改善してください

食品工場でよくある指摘には次があります。

  • 記録の記入漏れ、後追い記入
  • 設備の破損箇所の放置
  • 清掃が行き届いていない箇所(設備の裏、天井、排水口)
  • 作業着・帽子の着用状態
  • アレルゲンの区分保管
  • 使用期限を過ぎた原材料の保管
  • 教育記録の不足

監査を「使う」という発想

監査は負担ですが、第三者の目で自社を点検してもらえる機会でもあります。

指摘を素直に受け止めて改善していくと、次の効果があります。

  • 他の取引先の監査でも評価が上がる
  • 新規取引の開拓がしやすくなる
  • 承継・M&Aの場面で高く評価される
  • そもそも事故が減る

「監査を継続して通過している」ことは、認証と同等かそれ以上の価値を持つことがあります。品質・認証は価格に効くかをご覧ください。

買い手が見る点

  • どの取引先から、どの頻度で監査を受けているか
  • 直近の評価結果
  • 指摘事項と、是正の記録
  • 承継後に再監査が必要か
  • 対応できる担当者が残るか

最後の点は見落とされがちです。監査対応が特定の1人に依存していると、その人が抜けたときに困ります。多能工化とスキルマップの考え方で備えてください。

※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。