実働率とは

実働率 = 実働車日数 ÷ 延実在車日数

持っている車両が、実際に何日動いたかの割合です。月ごとに、車両別に出してください。全社平均だけでは、どの車が遊んでいるか分かりません。

低下の四つの原因

原因見分け方
ドライバー不足車はあるが乗る人がいない
荷量不足人も車もあるが仕事がない
車両過剰必要以上に持っている
整備・故障入庫や修理で止まっている

複数が重なっていることが多いので、車両ごとに理由を記録してください。

原因1:ドライバー不足

最も多い原因です。打ち手は採用と定着に尽きます。

採用できるまでの間は、次の対応が考えられます。

原因2:荷量不足

  • 新規開拓:直取引を増やす(直取引の開拓
  • 既存荷主の深掘り:別部門、別拠点、別品目
  • スポットの受注:求貨求車のマッチング
  • 共同配送・混載共同配送・混載の活用
  • 季節の逆の仕事:閑散期を埋める事業

荷量不足が構造的なら、車両を減らして利益率の高い仕事に絞るという判断もあります。

原因3:車両過剰

過去の荷量に合わせて持ったまま、需要が減っているケースです。

  • 車両別の稼働と採算を出す
  • 稼働が低い車両を特定する
  • リース満了時に更新しない、または売却する

ただし、最低車両数の要件と、繁忙期の対応力を考慮してください。最低車両数と減車のリスクをご覧ください。

原因4:整備・故障

  • 車検・点検の日程を分散させる:同時期に集中させない
  • 予防整備を強化する:突発の故障を減らす
  • 整備工場との連携:入庫日数を短くする
  • 車齢の見直し:故障が増えた車両は更新を検討

車齢が高いと、整備による停止が増えます。更新計画と実働率は連動しています。整備費と車両更新計画をご覧ください。

実働率を上げる工夫

1. 1台を複数人で回す

ドライバーの休日と車両の稼働を切り離します。日勤と夜勤、あるいは交代制。車両稼働率は上がりますが、労務管理は複雑になります。

2. 配車の見直し

特定の車両に仕事が偏っていないか。属人的な配車だと、偏りが生じます。配車の属人化を解消するをご覧ください。

3. 車格の見直し

大型が余り、小型が足りない——といったミスマッチがあるなら、更新時に構成を変えてください。

4. スポットの受け皿を作る

空いた日に受けられる仕事の窓口を用意しておきます。求貨求車のシステム、協力会社からの依頼など。

実車率とセットで見る

実働率が高くても、空車で走っていれば収益になりません。実車率とセットで管理してください。実車率と帰り荷の確保をご覧ください。

M&Aでの見せ方

実働率が低い場合、原因を説明できるかどうかで意味が変わります。

  • ドライバー不足が原因 → 採用力のある買い手にとっては伸びしろ
  • 荷量不足が原因 → 荷物を持つ買い手にとってはシナジー
  • 車両過剰 → コスト削減の余地
  • 説明できない → 単に稼働していない会社

実働率・実車率と収益力の見せ方で、資料の作り方を整理しています。

止まっている日を記録する

車両ごとに理由を記録してくださいと書きました。ここが実務のいちばんの壁になります。動いた日は日報が残りますが、動かなかった日には何も残らないからです。

だから、止まった日を記録する形を用意してください。難しい仕組みは要りません。車両の一覧に日付の列を並べ、動かなかった日に理由の記号を入れるだけで足ります。人がいない、仕事がない、入庫中、その他。この四つで大半が分類できます。

記入は配車の担当が日々行ってください。月末にまとめて思い出そうとすると、正確に埋まりません。一日一分の作業です。

一か月分たまると、数字では見えなかったことが分かります。特定の車両だけ止まっている、月の後半に集中している、同じ曜日に空いている。原因ごとの日数が出れば、どこに手を打つかが決まります。

そして、この記録は説明の材料にもなります。実働率が低い理由を、印象ではなく日数で語れるようになります。

原因が重なっているときの解きほぐし方

複数が重なっていることが多いと書きました。重なっている場合、どこから手をつけるかで結果が変わります。

順番の原則は、外の要因より内の要因を先に片づけることです。整備待ちや配車の偏りは、自社の運用で減らせます。荷量や採用は相手のある話で、時間がかかります。

もう一つの原則は、他の原因を隠している要因を先に外すことです。たとえば、人が足りないから車を動かせず、動かないから仕事を断り、断るから荷量が減る。この連鎖では、荷量不足に見えても実体は人の問題です。

解きほぐすには、断った仕事を記録してください。いつ、どんな依頼を、なぜ断ったか。理由が「車がない」なのか「人がいない」なのかで、打ち手が変わります。この記録がないと、荷量が足りないのか受けきれていないのかが分かりません。

そして、原因ごとに担当を分けてください。採用は総務、荷量は営業、整備は整備担当、配車は運行。一人で全部を追うと、どれも進みません。

減車を判断するときの見方

荷量不足が構造的なら車両を減らす判断もあると書きました。ただ、この判断は戻しにくいため、見方を整理しておきます。

まず、期間を見てください。数か月の落ち込みなのか、一年以上続いているのか。季節の波と構造的な減少は、並べてみないと区別できません。

次に、減らした場合に何が起きるかを具体的に置いてください。繁忙期に受けきれるか、既存の荷主の依頼を断ることにならないか、許可の要件に触れないか。とくに最後の点は、決める前に必ず確認してください。

そのうえで、いきなり手放すのではなく段階を踏む方法があります。リースの満了で更新しない、車検の時期に合わせて判断する、稼働の低い一台だけ先に外す。この形なら、判断を間違えたときの傷が浅く済みます。

そして、減らした後の固定費がどう変わるかを計算しておいてください。台数が減れば費用も減りますが、共通費は残ります。残る費用を他の車両が負う形になるため、一台あたりの負担は上がります。

複数人で回すときに起きること

一台を複数人で回すと車両の稼働は上がるが労務管理が複雑になる、と書きました。実際に起きることを、もう少し具体的にしておきます。

まず、車両の状態に対する責任が曖昧になります。誰も自分の車だと思わなくなると、車内が荒れ、点検が甘くなり、不具合の報告が遅れます。対策は、その日の担当を記録に残し、状態の申し送りを日報に一行入れることです。

次に、燃費や事故の記録が個人に紐づかなくなります。車両別で見ていると、誰の運転かが分からなくなる。乗務者を記録に残しておけば、後から分けられます。

そして、労働時間の管理が難しくなります。車両は動いていても、乗っている人の拘束時間は別々に管理する必要があります。ここは記録の取り方を最初に決めてください。

それでも、稼働を上げる効果は大きい方法です。導入するなら、対象を一台か二台に絞って試し、記録の運用が回ることを確かめてから広げてください。

整備で止まる日数を減らす

車検や点検の日程を分散させると書きました。ここは自社の判断だけで進められるため、着手しやすい領域です。

まず、年間の入庫予定を一枚にしてください。車検、定期点検、タイヤの交換。予定が並ぶと、同じ月に集中している車両が見えます。集中していれば、次の回で少しずらすことができます。

次に、入庫のタイミングを荷動きに合わせてください。忙しい月を避け、荷量が落ちる時期に寄せる。同じ日数止まるとしても、影響がまったく違います。

そして、突発の故障を減らすことです。日常点検で見つかった不具合を、そのままにしないでください。小さな不具合を放置すると、走行中に止まり、代車の手配や積み替えまで発生します。止まる日数は、予定して止めるより、突然止まるほうが長くなります。

整備工場との関係も効きます。部品の手配や入庫の順番は、日頃のやり取りで変わります。年間の予定を先に共有しておけば、押さえてもらえることがあります。

数字を追いかける頻度

月ごとに車両別に出してくださいと書きました。ただ、月次だけでは手を打つのが遅くなる場面があります。

月の途中でも見えるようにするなら、止まった日を記録する表をそのまま使ってください。半月の時点で止まっている日数が例年より多ければ、その月のうちに対応できます。月が終わってから気づくと、打てる手が翌月以降になります。

一方で、細かく見すぎると波に振り回されます。数日の落ち込みは、たまたまであることが多い。傾向として見るのは、やはり月単位です。

実務的には、日々の記録は付けるが、判断は月単位で行う。ただし、明らかに異常な週があれば、その場で理由を確認する。この使い分けが現実的です。

そして、前年の同じ月と比べてください。前月と比べるだけでは、季節の波なのか実態の悪化なのかが分かりません。

買い手に見せる資料の作り方

原因を説明できるかどうかで意味が変わると書きました。では、どう見せるか。

用意したいのは三つです。車両別・月別の実働率の推移、止まった日数の原因別の内訳、そして原因ごとに何をしてきたかの記録。この三つが揃うと、数字が低くても状況が伝わります。

推移は、少なくとも二年分あると説得力が出ます。一年分では、その年がたまたまだったのか判断できません。

原因別の内訳は、割合ではなく日数で示してください。割合だけでは規模が伝わりません。何日止まっていて、そのうち何日が人の問題なのか。日数のほうが、改善の余地を測りやすくなります。

そして、取り組みの記録には、うまくいかなかったことも入れてください。採用を試みたが集まらなかった、という記録は、買い手にとって重要な情報です。隠して後から分かるより、先に出すほうが信頼されます。

傭車に頼るときの線引き

採用できるまでの間、傭車や協力会社で対応するという打ち手を挙げました。これは有効ですが、続け方によっては別の問題になります。

気をつけたいのは、自社で運ぶ仕事の割合が下がり続けることです。傭車の比率が高くなると、利益の幅が薄くなり、品質の管理も自社の手を離れます。荷主から見れば、誰が運んでいるのかが見えにくくなります。

だから、傭車は一時的な措置として、期限と割合の目安を決めてください。人が採れるまで、この便まで、この割合まで。目安がないと、気づいたときには構造が変わっています。

もう一つ、傭車に出すこと自体が制度上の扱いに関わる場合があります。取次ぎの形になるのであれば、必要な登録があるかを確認してください。実態が変わっているのに手続きが伴っていない、という状態は避けたいところです。

そして、協力会社に出している仕事も採算を見てください。自社で運ぶより手元に残る額が小さいのは当然ですが、残らないなら受ける意味がありません。ここも車両別と同じように数字で確認できます。

稼働を上げる前に受注の形を見る

スポットの受け皿を用意すると書きました。ただ、空いた日を埋める発想だけでは、根本の形が変わりません。

見るべきは、受注が特定の曜日や時期に偏っていないかです。偏りがあるなら、その谷を埋める仕事を取りに行くほうが、その都度スポットで埋めるより安定します。

荷主に相談する余地もあります。「この曜日は空いているので、こちらに寄せられませんか」という提案は、相手にとっても運賃の交渉材料になることがあります。断られても、失うものはありません。

そして、閑散期に何ができるかを平時から考えておいてください。季節の逆になる荷物、年度末に集中する仕事、地域の行事に関わる輸送。すぐには見つかりませんが、探し始めていなければ見つかりません。

稼働の谷が埋まると、実働率だけでなく、採用の面でも効きます。仕事が安定している会社のほうが、人は残ります。

まとめ

実働率は車両別・月別に出し、低下の原因をドライバー不足・荷量不足・車両過剰・整備待ちに分けてください。原因によって打ち手はまったく違います。実車率とセットで管理し、M&Aでは原因を説明できることが伸びしろの証明になります。