3段階の分類
| 段階 | 内容 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 原料ロス | 受入から投入までに失われる分 | 前処理、選別、保管中の劣化 |
| 工程ロス | 製造中に失われる分 | 設備残留、加熱減量、切り替え、不良 |
| 製品ロス | 製品になった後に失われる分 | 返品、期限切れ、規格外、破損 |
それぞれ原因も対策も金額の重みも違います。まとめて見ていると、優先順位が付けられません。
段階1:原料ロス
発生する場面
- 皮むき、骨取り、選別による除去
- 受入時の不良(傷み、異物、規格外)
- 保管中の劣化・期限切れ
- 開封後の使い残し
- 計量誤差
把握の方法
受入重量と、実際に投入した重量を比較します。数回測るだけで、おおよその率が分かります。
対策
- 受入検品を強化し、不良品を返品する
- 仕入先と規格を協議する(下処理済みで仕入れる選択も)
- 前処理の方法を見直す(歩留まりの高い切り方)
- 先入先出を徹底する
- 発注量を見直し、使い残しを減らす
- 除去した部分を別用途に活用する
最後の項目は、食品工場ならではの打ち手です。端材を別商品に、野菜くずを飼料や肥料に。食品廃棄物の処理をご覧ください。
段階2:工程ロス
発生する場面
- 設備への残留:タンク、配管、ホッパー、ミキサーに残る分
- 加熱による減量:水分の蒸発(避けられない部分もある)
- 切り替え時のロス:品目変更時に捨てる分
- 立ち上げ・停止時のロス:条件が安定するまでの分
- 不良品の発生:重量不足、シール不良、形状不良、異物
- こぼれ・飛散
把握の方法
投入量と、良品として仕上がった量を比較します。工程ごとに測ると、どこで失われているかが分かります。
対策
- 設備の残留を減らす(配管の設計、押し出し、スクレーパー)
- 切り替えの手順を見直す(同系統の品目を連続で作る)
- 立ち上げ時のロスを減らす(条件の標準化)
- 不良の原因を特定して対策する
- ロットサイズを見直す
切り替えロスは、品目数と生産順序で大きく変わります。段取り替え時間の短縮と品目数を絞るをご覧ください。
段階3:製品ロス
発生する場面
- 返品(売れ残り、納品ミス、クレーム)
- 期限切れ(在庫の滞留)
- 規格外品(重量、外観)
- 保管・輸送中の破損
- 作りすぎ
把握の方法
廃棄の記録を、理由別に分類してください。「廃棄◯kg」だけでは対策が打てません。
対策
- 需要予測の精度を上げる(作りすぎを止める)
- 在庫回転を上げる
- 返品条件を取引先と協議する
- 規格外品の販路を作る(訳あり品、業務用、社員販売)
- 包装・輸送の方法を見直す
製品ロスは、原価が積み上がった後のロスなので最も高くつきます。1個廃棄すると、原材料費だけでなく加工費もすべて失われます。
仕込み計画と需要予測と在庫回転を上げるをご覧ください。
どこから手をつけるか
判断の基準は「金額」
率ではなく金額で見てください。
- 原料ロス5% × 原材料費1億円 = 500万円
- 製品ロス1% × 売上3億円 = 300万円
率が小さくても、金額が大きいことがあります。逆も同様です。
優先順位の目安
- 製品ロス:単価が最も高く、対策の効果が大きい
- 原料ロス:主原料の単価が高い場合、金額が大きい
- 工程ロス:設備投資が必要なことが多く、時間がかかる
ただし、自社の数字で判断してください。業態によって重みが変わります。
記録の仕組み
ロスを減らすには、まず記録が必要です。
- 製造日報に、投入量・良品数・不良数の欄を設ける
- 廃棄の記録を、理由別に分類する
- 月次で集計し、推移を見る
- 金額に換算する
金額に換算することが重要です。「今月は5kg廃棄」より「今月は12万円捨てた」のほうが、現場に伝わります。
改善の効果は利益に直結する
ロスの削減は、売上を増やさずに利益を増やす数少ない手段です。
ロス1%の改善が、利益にどれだけ効くかを試算してみてください。粗利率の薄い食品製造業では、インパクトが大きいことが分かります。歩留まりとロスの改善をご覧ください。