この地域の条件

加工食品の集積

調味料、麺、菓子、レトルト、乳製品。加工食品のメーカーが厚く集まっている地域です。同業が近くにいるということは、承継の相手候補も近くにいるということです。

調味料メーカーの事業承継麺類製造業の事業承継も参考になります。

商流が厚い

卸、商社、問屋。販路につながる会社が多く、取引の選択肢があるのは強みです。一方で、価格の比較にさらされやすいという面もあります。

販路ごとの粗利を比べる価格交渉をどう進めるかを参照してください。

都市部の工場

市街地に工場がある場合、首都圏と似た制約が出ます。土地が高く、拡張ができず、近隣への配慮が要る。首都圏の食品製造業の内容も併せて読んでください。

承継で論点になりやすいこと

同業への譲渡が現実的な選択になる

同じ地域に、設備や販路を欲しがる同業がいます。相手が近いぶん、話が具体的になりやすい

ただし、近いからこそ情報の管理が要ります。秘密保持の取り決めノンネームでの打診を先に確認してください。

従業員の高齢化

長く続いた工場ほど、従業員も一緒に年を重ねています。承継の直後に、まとまった数が定年を迎えることがあります。

高齢者の雇用をどう続けるか人材をどう確保するかで、備え方を整理しています。

取引条件が慣行で決まっている

長年の付き合いで、書面のない取り決めが残っていることがあります。承継のときに、それが何だったのかわからなくなる

契約の棚卸しで、書き出す手順を示しています。

相手が多いことの落とし穴

候補が多いのは有利ですが、話が同時に何本も動くと、情報が漏れやすくなります。同じ業界の中で噂が回るのは早い。

  • 打診する相手の数を、意図的に絞る
  • ノンネームの段階で、どこまで書くかを決めておく
  • 社名を明かす相手は、必ず秘密保持契約を結んでから
  • 社内で知っている人の範囲を記録しておく

秘密保持の取り決めノンネームでの打診で、実務を示しています。

条件を比べる

複数の候補が出たら、金額だけで決めないでください。比べるべき項目は他にもあります

  1. 従業員の雇用と労働条件をどう扱うか
  2. 取引先との関係をどう続けるか
  3. 現社長の引き継ぎ期間と、その後の関わり方
  4. 個人保証をいつ解除するか
  5. 支払いの時期と方法

承継の方法を比べる表で、整理の仕方を示しています。金額が一番高い相手が、最良の相手とは限りません

相談先

府県の事業承継支援窓口、商工会議所、金融機関、仲介会社。買い手候補が多い地域なので、複数の窓口に当たって比べるのが有効です。相手の探し方を参照してください。

準備してから相談する

候補が多い地域だからこそ、準備が足りないまま話を始めると、比べられて終わります。相談の前に、最低限これだけは揃えてください。

  1. 直近3期の決算書と、その内容の説明
  2. 取引先ごとの売上と、取引年数
  3. 設備の一覧(導入年、能力、直近の修繕)
  4. 従業員の一覧(年齢、勤続、担当工程)
  5. 労務の状態(残業、社会保険、就業規則)

5番目が最も指摘を受けやすい項目です。問題があるなら、相談の前に自分で見つけて直しておくほうが結果はよくなります。

デューデリジェンスの準備労務デューデリジェンスへの備えを参照してください。

対象となる地域

この記事は大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山を対象にしています。

  • 大阪:加工食品メーカーと商流が最も厚い。食品製造業のM&Aは相手を選べる地域です
  • 兵庫:灘の酒造、神戸の洋菓子、播磨の水産など幅広い。食品工場の売却では業態で相手が変わります
  • 京都:老舗が多く、食品会社の事業承継では屋号と株式の整理が先に来ます

買い手候補が多いぶん、情報が漏れやすい地域でもあります。 秘密保持の取り決めを先に確認してください。

※ 支援機関の名称や窓口、利用できる制度の内容は、時期や自治体によって変わります。実際に利用される際は、最新の情報をご確認のうえ、専門家や公的機関の窓口にご相談ください。