この地域の条件
土地の制約
工場の敷地を広げられない。周囲が住宅地になり、騒音や臭気の制約がある。設備を増やしたくても、置く場所がないという工場は少なくありません。
一方で、土地そのものの価値は高い。事業の価値と不動産の価値がずれやすい地域です。工場不動産をどう評価するかで、見方を整理しています。
人件費が高い
最低賃金の水準も、周辺の求人相場も高い。人件費率が損益を左右します。同じ製品を作っても、地方の工場とはコスト構造が違います。
人件費率をどう見るかと省人化投資の判断を参照してください。
消費地が目の前
配送距離が短く、日配品に向きます。翌日納品ではなく、当日の追加注文に応えられるのは、この立地でしかできないことです。
承継で論点になりやすいこと
土地をどう扱うか
事業は赤字でも、土地に価値がある。この状態だと、「事業を継ぐ」話と「不動産をどうするか」の話が混ざります。
分けて考えるために、不動産を会社と個人でどう分けるかを先に読んでください。相続の観点は工場の土地と相続で。
移転という選択
土地を売り、郊外に移転して設備を新しくする。承継とセットで検討されることのある選択です。ただし、人が付いてこないリスクがあります。
買い手は多い
首都圏は、買い手候補が最も多い地域です。選べる立場になりやすいぶん、条件を比べる目が要ります。
承継の方法を比べる表と買い手はどこを見ているかを参照してください。
近隣との関係が事業の条件になる
住宅地に囲まれた工場では、操業時間そのものが制約になっていることがあります。
- 早朝・深夜の稼働に関する近隣との取り決め
- 臭気・騒音への苦情の履歴
- 車両の出入りに関する制限
- 自治体との協定の有無
こうした取り決めが口約束のままだと、承継の後に「聞いていない」という問題が起きます。書面にして残してください。環境法令への対応を参照。
人の確保と定着
周辺に仕事が多く、時給を上げても他業種に人が流れます。賃金だけの競争では勝てません。
働きやすさ、シフトの柔軟さ、通勤のしやすさ。この3つで選ばれる工場になっているかを確認してください。定着率をどう上げるかと働きやすい職場をどう作るかで扱っています。
相談先
都県の事業承継支援窓口、商工会議所、金融機関、仲介会社。選択肢が多いぶん、最初の相手選びが結果を左右します。誰に相談すればよいかで順番を確認してください。
売却か、移転か、継続か
首都圏の工場では、この3つを並べて比べる場面が出てきます。
- そのまま継続する:制約は残るが、立地の利は活かせる
- 郊外に移転する:設備を新しくできるが、人が付いてこないおそれがある
- 事業ごと譲渡する:土地と事業をまとめて引き継いでもらう
2を選ぶ場合、従業員の何割が付いてくるかを事前に見積もってください。パート比率が高い工場ほど、通勤圏が変わると人が残りません。
1と3の比較は廃業と承継をどう比べるかと承継の方法を比べる表で。不動産の価値だけで判断すると、従業員の行き先が決まらないまま話が進みます。
対象となる地域
この記事は東京・神奈川・埼玉・千葉の都市部を対象にしています。
東京で食品製造業のM&Aを考える場合も、神奈川で食品メーカーのM&Aを考える場合も、 土地の制約と人件費の高さという条件は共通です。埼玉や千葉では、内陸に行くほど 北関東に近い条件になります。
東京で食品工場の売却や食品会社の事業承継をお考えの方は、買い手候補が多いぶん、 条件を比べる目が要ります。承継の方法を比べる表をご覧ください。
※ 支援機関の名称や窓口、利用できる制度の内容は、時期や自治体によって変わります。実際に利用される際は、最新の情報をご確認のうえ、専門家や公的機関の窓口にご相談ください。