集めるべき契約
1. 取引に関するもの
- 取引基本契約書(販売先・仕入先)
- OEM・受託製造契約書
- 秘密保持契約書
- 品質保証協定書
- 個別の注文書・注文請書
2. 資産に関するもの
- 工場・倉庫・事務所の賃貸借契約書
- 設備のリース契約書
- 車両のリース契約書
- 駐車場・社宅の契約書
3. 権利に関するもの
- 商標のライセンス契約
- キャラクター等の使用許諾契約
- 技術提供・製法に関する契約
4. 委託に関するもの
- 廃棄物処理の委託契約
- 検査の委託契約
- 清掃・防虫の委託契約
- 物流・保管の委託契約
- システムの保守契約
5. 金融・保険に関するもの
- 金銭消費貸借契約書
- 保証に関する契約
- 各種保険の証券
確認する条項
チェンジオブコントロール条項
最も重要な確認事項です。株主や支配権が変わった場合に、相手方の承諾を要する、あるいは契約を解除できるという定めです。
OEM契約や大手量販店との取引基本契約に入っていることが多く、承継の可否そのものに関わります。取引先の同意をご覧ください。
契約期間と更新
- 期間の定めがあるか、自動更新か
- 更新を拒絶する場合の通知期限
- いつまで有効か
解除の条件
- どういう場合に相手方が解除できるか
- 解除の予告期間
- 解除時の清算
最低数量・専属性
OEM契約では、最低発注数量の保証や、競合品を製造しない義務が定められていることがあります。
後者は、自社ブランドを立ち上げる際の制約になります。自社ブランドの評価をご覧ください。
価格改定の取り決め
原材料が高騰した場合の価格改定について、協議の手続きが定められているかを確認してください。定めがあれば、それを根拠に交渉できます。価格改定の交渉をご覧ください。
責任の分担
製品に問題が生じた場合、製造者と委託者のどちらが責任を負うか。表示の責任がどちらにあるかも確認してください。生産物賠償責任保険(PL保険)の見直しをご覧ください。
秘密保持
レシピ・製法・顧客情報について、どう定められているか。承継の際の開示にも影響します。レシピ・製法の権利をどう守るかをご覧ください。
契約書がない場合
食品業界では、長年の取引が注文書のやり取りだけで続いていることが珍しくありません。
問題になる点
- 取引条件が曖昧で、価格交渉の根拠がない
- 買収監査で「契約関係が不明確」と指摘される
- トラブル時に責任の所在が不明
- 取引の継続性を客観的に示せない
対応
すぐに全部を巻き直す必要はありません。優先順位を付けてください。
- 売上構成比の高い取引先
- OEM・受託製造の取引先
- 原料の主要な仕入先
- その他
M&Aを理由に契約を巻き直すと勘繰られることがあります。通常の取引条件の見直しや、更新の機会を使うのが自然です。
棚卸しの手順
- 契約書を保管している場所をすべて洗い出す(金庫、キャビネット、担当者の机、電子ファイル)
- 現物を集めて一覧表を作る
- 取引実績のある相手で、契約書がないものを抜き出す
- 各契約について、上記の条項を確認する
- チェンジオブコントロール条項があるものに印を付ける
- 期限が近いもの、更新が必要なものを整理する
一覧表の項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相手方 | |
| 契約の種類 | 基本契約/OEM/賃貸借 など |
| 締結日 | |
| 契約期間 | 自動更新の有無 |
| COC条項 | あり/なし |
| 解除の予告期間 | |
| 保管場所 | |
| 備考 | 注意すべき条項 |
承継の場面での使い方
この一覧は、次の場面でそのまま使えます。
- 買収監査での提出資料
- 同意取得が必要な先の特定
- 後継者への引き継ぎ資料
- 金融機関への説明
棚卸し自体は数日でできます。問題が見つかったときの解決に時間がかかるため、早めに着手してください。法務デューデリジェンスをご覧ください。
※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。