排水

規制の枠組み

工場からの排水は、水質汚濁防止法などに基づく規制の対象となる場合があります。自治体が条例で上乗せの基準を定めていることも多く、地域によって求められる水準が異なります。

また、下水道に接続している場合は下水道法に基づく基準が適用されます。

食品工場で問題になりやすい項目

  • BOD(生物化学的酸素要求量)
  • SS(浮遊物質量)
  • n-ヘキサン抽出物質(油分)
  • pH
  • 窒素・りん

食品製造業は、有機物と油分を多く含む排水が出る業種です。処理設備の能力が生産量に見合っているかが常に論点になります。

確認すること

  • 特定施設の届出をしているか
  • 水質の測定を定期的に行い、記録しているか
  • 基準を超過した記録があるか、その後の対応
  • 処理設備の能力と、現在の生産量の関係
  • 増産した場合に、処理能力が足りるか
  • 設備の老朽化の程度と、更新の見込み

5番目が買い手にとって決定的に重要です。生産量を増やしたいのに排水処理が制約になるなら、買収の目的が達成できません。環境・設備デューデリをご覧ください。

臭気

規制の枠組み

悪臭防止法に基づき、自治体が規制地域と基準を定めています。規制の方式には、特定の物質の濃度による方法と、においの強さによる方法があります。

食品工場での発生源

  • 加熱・焙煎・揚げ工程
  • 発酵工程
  • 原料の保管(特に水産物、食肉)
  • 廃棄物の保管
  • 排水処理設備

確認すること

  • 規制地域に該当するか
  • 過去に苦情があったか、その対応
  • 脱臭設備の有無と稼働状況
  • 近隣の宅地化が進んでいないか

苦情の履歴は必ず開示してください。買収監査で近隣への聞き取りが行われることもあります。

騒音・振動

食品工場での発生源

  • コンプレッサー、冷凍機
  • ボイラー
  • 排気ファン
  • トラックの出入り(特に早朝・深夜)
  • 荷役作業

早朝の搬入が問題になりやすい業種です。日配品を扱う工場では、操業時間そのものが近隣との調整事項になります。

確認すること

  • 規制地域と基準
  • 苦情の履歴
  • 操業時間に関する取り決めがあるか
  • 防音対策の実施状況

近隣との協定

過去に地域や自治体と公害防止協定のような取り決めを結んでいることがあります。

協定には、法令の基準より厳しい内容や、操業時間・増設の制限が含まれていることがあります。事業の制約になるため、必ず開示してください

古い協定書が見つからないこともあります。自治体に控えが残っている場合があるので、確認してみてください。

承継時の手続き

株式譲渡・親族内承継の場合

法人格は変わらないため、届出の主体は変わりません。ただし、代表者や氏名の変更に伴う届出が必要になることがあります。

事業譲渡の場合

特定施設の設置者が変わるため、承継の届出が必要になることがあります。手続きの要否と方法は、管轄の自治体に確認してください。

買い手が見る点

  • 測定記録が継続して残っているか
  • 基準を超過した記録と、その後の対応
  • 処理設備の能力と老朽化の程度
  • 増産できる余地があるか
  • 近隣からの苦情の履歴
  • 操業や増設に関する制約があるか

4番目と6番目が、買い手の事業計画に直接影響します。増産を前提とした買収であれば、ここが成否を分けます。

備えておくこと

  1. 届出書類の控えを整理する
  2. 測定記録を年ごとにファイルする
  3. 処理設備の能力と、現在の負荷を把握する
  4. 増産する場合に必要な投資額を概算する
  5. 苦情があれば、対応の記録を整理する
  6. 近隣との協定があれば、内容を確認する

3番目と4番目は、自社の成長余地を把握するという意味でも有益です。設備の年表とあわせて整理してください。設備の寿命から逆算するをご覧ください。

※ 環境関係の規制は法令の改正や自治体の条例によって異なります。実際の対応にあたっては、管轄の自治体および専門家に必ずご確認ください。