許可と資格者
許可の区分
乳処理、乳製品製造、アイスクリーム類製造。扱う品目によって、必要な許可が変わります。複数持っていることも珍しくありません。
まず、自社の許可を全部書き出してください。許可の業種区分をどう調べるかに手順があります。
資格者の設置
乳製品の製造では、資格を持つ人の設置が求められる場合があります。その人が社長本人なら、退任と同時に体制が崩れます。
後任の確保は、承継の準備の中で最優先です。衛生管理の責任者を誰にするかで、進め方を示しています。
承継で許可はどうなるか
株式を移す形なら法人格は変わらないので、許可は続くのが基本です。事業譲渡なら、取り直しが要ります。営業許可は承継でどうなるかを確認してください。
設備の特殊性
- 殺菌設備(温度と時間の管理が厳格)
- CIP洗浄のライン
- 冷却・保管の設備
- 充填機(容器ごとに専用)
どれも汎用性が低く、他業種に転用しにくい資産です。設備の評価では、この点が効いてきます。設備をどう評価するかを参照してください。
原料乳の調達
生乳は、指定団体や農協を通す経路が中心です。調達の経路と数量の枠が、生産能力の上限になることがあります。
自社の調達がどうなっているか、承継の前に書き出しておいてください。地域の生産者との直接の関係で成り立っている場合は、その関係が誰に付いているかも確認します。
衛生管理の水準
乳製品は、微生物管理の要求が高い分野です。温度記録、洗浄の検証、微生物検査。記録が揃っていれば、デューデリジェンスは軽くなります。
微生物検査をどう回すかと温度管理をIoTで自動化するを参照してください。
承継の順番
- 許可と資格者を棚卸しする
- 資格者の後任を決める
- 設備の更新計画を作る
- 原料乳の調達の関係を会社に寄せる
- 承継の形を決める
1と2は、他のどの作業よりも先です。ここが空いたまま代が替わると、操業が止まります。
採算の構造
乳製品は、原料乳の価格が固定的に決まる一方で、製品の価格は市場で決まります。この間に挟まれるのが、この業態の難しさです。
- 原料の価格を自社で下げられない
- 殺菌と冷却でエネルギーを使う
- 賞味期限が短く、ロスが出やすい
だからこそ、歩留まりとロスの管理が利益を決めます。歩留まりの改善とエネルギーコストをどう下げるかを参照してください。
差をつけられるところ
大手と同じ商品では勝負になりません。中小が取れる道は限られています。
- 地域の生乳を使った商品:産地の物語が売りになる
- 小ロットの受託:大手が受けない量に応える
- 体験・直売との組み合わせ:観光や直販に乗せる
いずれも、売る力とセットでなければ成立しません。新しい販路をどう開くかで進め方を整理しています。
買い手から見た価値
乳製品の工場は、許可と設備を新規に揃えるのが難しいぶん、既存の工場に価値があります。
- 殺菌・充填の設備と、その処理能力
- 取得している許可の区分
- 原料乳の調達経路と、その安定性
- 資格者が社内にいるか
- 賞味期限の設定根拠となる試験の記録
この5つを1枚にまとめておくと、打診の段階から話が具体的になります。特に4番目が空いていると、買い手は「引き継げるのか」を最初に不安に思います。
デューデリジェンスの準備で、必要になる資料を整理しています。
※ 許可の区分や施設の基準、表示や衛生管理の求められ方は、業種や取扱品目、自治体の運用によって変わります。自社にどれが当てはまるかは、所管の保健所や専門家にご確認ください。