食品衛生責任者とは

営業許可を要する施設および届出の対象となる施設ごとに、置くことが求められている責任者です。衛生管理の実務を担い、必要に応じて営業者に意見を述べる役割を持ちます。

施設ごとに1名以上が必要です。複数の工場を持つ会社では、それぞれに置く必要があります。

資格の要件

一般的に、次のいずれかに該当する必要があります。

  • 栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者などの資格を持つ
  • 都道府県知事等が行う食品衛生責任者の養成講習会を修了している
  • その他、知事等が同等以上と認める者

養成講習会は1日程度で受講できるものが一般的です。要件と講習の実施状況は自治体によって異なるため、管轄の保健所または食品衛生協会にご確認ください。

兼任の問題

小規模な食品工場では、経営者が食品衛生責任者を兼任していることがよくあります。この状態には次のリスクがあります。

  • 経営者が交代すると、責任者も不在になる
  • 相続が発生すると、突然不在になる
  • 経営者が体調を崩すと、対応できる人がいない
  • M&Aで経営者が退任すると、後任を急いで用意する必要がある

対策は単純です。複数人に資格を取らせておくこと。講習会の受講だけなら、費用も時間も限られています。

複数人に取らせる意味

資格を持つ人が工場長、製造部長、品質管理担当者にもいる状態にしておくと、次の効果があります。

  • 経営者の交代・相続があっても、責任者を継続できる
  • 担当者が退職しても、代わりがいる
  • 複数工場を運営する場合に対応できる
  • M&Aで買い手から見て、リスクが小さく映る

これは属人化の解消そのものです。多能工化とスキルマップと同じ発想で考えてください。

交代の手続き

食品衛生責任者を変更した場合、届出が必要です。手続きの方法と期限は自治体によって異なるため、管轄の保健所にご確認ください。

一般的に必要になるのは次のようなものです。

  • 変更の届出書
  • 新しい責任者の資格を証する書類(講習会の修了証など)
  • 営業許可証

修了証の原本を紛失しているケースがあります。再交付の手続きに時間がかかることがあるため、早めに確認してください。

承継の場面での実務

親族内・社内承継の場合

会社は変わらないため許可は継続しますが、責任者が経営者だった場合は変更の届出が必要です。

後継者が資格を持っていない場合、講習会の日程を確認して早めに受講させてください。開催が月に数回程度の地域もあります。

代表交代の手続き全体は代表交代の手続きをご覧ください。

M&A(株式譲渡)の場合

会社は変わらないため許可は継続します。ただし、現在の責任者が退職する場合は変更が必要です。

買い手にとって、責任者が残るかどうかは重要な関心事です。工場長や品質管理責任者が資格を持ち、残る見込みがあることは、それ自体が評価につながります。人が残るかどうかは価格に影響するかをご覧ください。

事業譲渡の場合

譲受側で新たに営業許可を取得することになるため、譲受側が責任者を選任する必要があります。現在の責任者が転籍するのか、買い手側で用意するのかを、早い段階で確認してください。事業譲渡のときの営業許可をご覧ください。

相続が発生した場合

経営者が責任者を兼任していて、突然の相続が発生した場合、速やかに後任を選任して届け出る必要があります

資格を持つ人が社内にいなければ、講習会の受講から始めることになります。この間、営業に支障が生じる可能性があります

これが、複数人に資格を取らせておくべき最大の理由です。相続が起きてからの流れをご覧ください。

今日できること

  1. 現在の責任者が誰かを確認する
  2. その人以外に資格保有者がいるか確認する
  3. いなければ、工場長・品質管理担当者に講習会を受講させる
  4. 修了証の原本を保管し、一覧にする

費用も時間も限られた取り組みで、承継のリスクを1つ確実に減らせます

※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。