検査の目的

微生物検査には、大きく3つの目的があります。目的によって、検査すべき対象と頻度が変わります。

  1. 製品の安全性の確認:出荷する製品が基準を満たしているか
  2. 衛生管理の検証:清掃・洗浄が機能しているか(拭き取り検査など)
  3. 期限設定の根拠:賞味期限・消費期限を決めるための保存試験

3番目は消費期限・賞味期限の設定根拠で扱っています。

何を検査するか

製品の特性や、取引先の要求によって決まります。一般的に用いられる項目には次のようなものがあります。

  • 一般生菌数
  • 大腸菌群、大腸菌
  • 黄色ブドウ球菌
  • サルモネラ属菌
  • 腸炎ビブリオ(水産加工品)
  • リステリア(非加熱食肉製品等)
  • カビ・酵母
  • 芽胞菌

食品によっては法令で成分規格が定められているものがあります。自社の製品に規格があるかは、必ず確認してください。

自社検査と外部委託

自社検査外部委託
費用設備投資が必要/1件あたりは安い初期投資は不要/1件あたりは高い
スピードすぐ着手できる輸送と手続きの時間がかかる
信頼性手技と設備に依存第三者による結果
対応できる項目基本的な項目が中心幅広く対応
取引先への提出受け入れられない場合がある受け入れられやすい

現実的な組み合わせ

多くの食品工場では、次のように使い分けています。

  • 自社:日常的な一般生菌数、大腸菌群、拭き取り検査
  • 外部:定期的な製品検査、病原菌の検査、期限設定の保存試験、取引先提出用

自社検査を行う場合、培地の管理、恒温器の温度管理、手技の標準化、検査後の廃棄まで含めた体制が必要です。中途半端に始めると、かえって信頼性を損ないます。

頻度をどう決めるか

法令で定められた頻度があるわけではありません(成分規格に適合していることは常に必要です)。実務上は次を考慮して決めます。

  • 製品のリスク(加熱の有無、保存温度帯、水分活性)
  • 生産量と品目数
  • 取引先の要求
  • 過去の検査結果の傾向

考え方としては、リスクの高い製品ほど高頻度に、安定している製品は頻度を下げるという設計が合理的です。

拭き取り検査の活用

製品だけでなく、設備・器具・手指の拭き取り検査を行うことで、衛生管理の状態を確認できます。

対象になる箇所

  • まな板、包丁、コンベア、充填機のノズル
  • 洗浄後の器具
  • 作業者の手指
  • 排水口、床のドレン

拭き取り検査は洗浄が機能しているかを直接確かめられるため、検証の手段として有効です。検証と見直しをご覧ください。

結果をどう使うか

1. 傾向を見る

単発の結果より、推移を見ることが重要です。数値が徐々に上がっていれば、洗浄の不備や設備の劣化が疑われます。

グラフにして掲示すると、現場の意識が変わります。

2. 逸脱時の対応を決めておく

  • 基準を超えた場合、その製品をどうするか
  • 出荷済みの場合、どう対応するか
  • 原因をどう調べるか
  • 再検査の実施

事前に決めておかないと、実際に出たときに判断できません

3. 記録を残す

検査結果は、期限設定の根拠としても、衛生管理の証明としても機能します。長期間保管してください。

承継の場面で見られる点

  • 検査を継続して実施しているか
  • 結果の記録が残っているか
  • 基準を超えたときの対応記録があるか
  • 期限設定の根拠となる保存試験の記録があるか
  • 取引先が求める項目に対応しているか

4番目が最も問い合わせが多い項目です。期限をどういう根拠で設定したかを説明できないと、買い手は不安を持ちます。消費期限・賞味期限の設定根拠をご覧ください。

体制を整えるときの順序

  1. 自社製品に成分規格があるか確認する
  2. 取引先が求める検査項目・頻度を確認する
  3. 製品ごとのリスクを整理する
  4. 自社検査と外部委託の分担を決める
  5. 頻度と記録の様式を決める
  6. 逸脱時の対応を決める

1と2を確認せずに始めると、必要な検査が漏れる、あるいは不要な検査に費用をかけることになります。

※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。