表示のルールの枠組み

食品表示法に基づき、食品表示基準で具体的な表示のルールが定められています。加工食品、生鮮食品、添加物で異なる規定があり、また一般用と業務用でも扱いが変わります。

食品製造業では、次の区分をまず整理してください。

  • 消費者に直接販売される製品(一般用加工食品)
  • 他社に原材料として納める製品(業務用加工食品)
  • 店舗内で製造・販売するもの

業務用の場合、表示すべき項目が一般用と異なります。受託製造を行う工場では、この違いを踏まえた運用が必要です。

一括表示の主な項目

一般用の加工食品では、おおむね次の項目を表示します。

  • 名称
  • 原材料名(添加物と区分して表示)
  • 原料原産地名
  • 内容量
  • 消費期限または賞味期限
  • 保存方法
  • 製造者(または販売者・加工者)の氏名・名称と住所
  • アレルゲン
  • 栄養成分表示

製品によっては、これに加えて個別の表示事項が定められています。自社製品に個別のルールがあるかを確認してください。

つまずきやすい5つの場面

1. 原材料名の順序と区分

原材料は重量の割合が多い順に表示し、添加物と明確に区分します。配合を変更したのに表示を直していない、というのが最も多い誤りです。

配合変更と表示変更を必ずセットで管理する仕組みを作ってください。

2. 原料原産地表示

加工食品には原料原産地の表示が求められます。表示の方法にはいくつかの考え方があり、原料の産地が変わったときの対応が実務上の課題になります。

仕入先から原産地の情報を継続的に得られる体制が必要です。原料規格書の管理をご覧ください。

3. 製造所固有記号

製造所の所在地・名称の表示に代えて、記号で表示できる制度です。ただし使用できる条件があり、届出も必要です。

複数の工場で同じ製品を作っている場合に用いられますが、1か所でしか製造していない場合は原則として使えません。この点を誤解しているケースがあります。

また、記号を使う場合は、消費者からの問い合わせに応じる体制などが求められます。

4. アレルゲン

表示義務のあるものと、表示が推奨されるものがあります。対象となる品目は改正されることがあります

原材料由来だけでなく、製造工程での混入(コンタミネーション)への対応も論点になります。アレルゲン管理と表示をご覧ください。

5. 栄養成分表示

原則として表示が必要です。分析値によるか、計算によるかなど、根拠の残し方が実務上の課題になります。栄養成分表示の作り方と根拠資料をご覧ください。

表示を変更するときの手順

  1. 変更のきっかけを把握する(配合変更、原料変更、仕入先変更、法改正)
  2. 表示案を作成する
  3. 根拠資料を揃える(規格書、分析結果、計算根拠)
  4. 社内で確認する(複数人でのチェック)
  5. 取引先に確認を依頼する(PB・OEMの場合)
  6. 包材を切り替える
  7. 旧包材の在庫を管理する

7番目が重要です。旧表示の包材が残っていると、誤って使用してしまうリスクがあります。切り替え日を決め、旧包材を隔離してください。

また、使えなくなった包材は資産としての価値がなくなります。在庫の評価で扱っている論点です。

誰がチェックするか

表示のミスは、1人でチェックすると必ず見落とします。次の体制をおすすめします。

  • 作成者と確認者を分ける
  • チェックリストを使う
  • 配合表・規格書と突き合わせる
  • 実際の包材で最終確認する

承継の場面で確認される点

  • 表示の根拠資料(配合表、規格書、分析結果)が製品ごとに揃っているか
  • 配合変更と表示変更が連動する仕組みがあるか
  • 製造所固有記号を使用している場合、届出が適正か
  • 過去に表示の誤りによる回収がなかったか

表示の誤りは回収に直結するため、買い手が重視する項目です。食品表示と回収リスク回収が起きたときの初動をご覧ください。

※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。