基本の考え方
外国人を雇用する場合、次の2点が前提になります。
- 在留資格で認められた活動の範囲内であること
- 労働関係法令が日本人と同様に適用されること
2番目は誤解されやすい点です。最低賃金、労働時間、割増賃金、社会保険。すべて日本人と同じルールが適用されます。
食品工場でよくある在留資格
- 技能実習:技能等の移転を目的とする制度
- 特定技能:一定の技能を持つ外国人の受け入れ(飲食料品製造業などが対象分野)
- 身分に基づく在留資格(永住者、定住者、日本人の配偶者等):活動に制限がない
- 留学:資格外活動の許可を得た範囲でのアルバイト
- 家族滞在:資格外活動の許可を得た範囲でのアルバイト
制度の内容や対象分野は改正されます。最新の情報を確認してください。
確認すべきこと
1. 在留カードの確認
- 在留資格の種類
- 在留期間と満了日
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可の有無(裏面)
採用時だけでなく、更新のたびに確認してください。期限管理の表を作ることをおすすめします。
2. 業務内容との一致
在留資格ごとに、従事できる業務の範囲が定められています。実際にやっている作業が範囲内かを確認してください。
食品工場では、人手が足りないときに他の工程を手伝ってもらうことがあります。これが範囲外の作業になっていないか、注意が必要です。
3. 労働時間の上限
資格外活動許可に基づいて働く場合(留学、家族滞在)、1週間あたりの時間に上限があります。
複数のアルバイトを掛け持ちしている場合、合算で上限を超えていないかの確認が必要です。本人に申告してもらう仕組みを作ってください。
労働条件の同等性
次の点で、日本人と差を設けることはできません。
- 最低賃金
- 労働時間、休憩、休日
- 割増賃金
- 年次有給休暇
- 社会保険・労働保険の適用
- 安全衛生
「実習生だから」という理由での差別的な扱いは認められません。
実務上の注意点
1. 労働条件の説明
本人が理解できる方法で説明する必要があります。母国語の資料、やさしい日本語、通訳の活用。
「書面を渡して署名をもらった」だけでは、理解したことにはなりません。雇用契約書と労働条件通知書の整備をご覧ください。
2. 安全衛生教育
言葉が通じないまま機械を扱わせるのは、重大な事故につながります。
- 写真・イラストを使った手順書
- 実演による教育
- 母国語の資料
- 理解を確認する仕組み(実技チェック)
機械の挟まれ・巻き込まれをどう防ぐかをご覧ください。
3. 衛生管理の教育
手洗い、着替え、体調報告。食品工場の基本ルールを確実に伝える必要があります。
写真とイラストを使った掲示が有効です。多国籍な現場のコミュニケーション設計をご覧ください。
4. 記録の保管
- 在留カードの写し
- 在留期間の管理表
- 雇用状況の届出(必要な場合)
- 受け入れ機関としての届出・報告(技能実習・特定技能)
- 教育の記録
- 面談・相談の記録
相談体制
外国人従業員は、問題があっても相談しにくい立場にあります。
- 言葉の壁
- 在留資格への不安
- 相談窓口を知らない
- 母国の家族への送金があり、辞められない
定期的な面談、母国語で相談できる窓口、同国人の先輩からのサポート。仕組みとして用意してください。生活支援と住居をご覧ください。
承継時に確認される点
- 在留資格と実際の業務が一致しているか
- 在留カードの確認と記録があるか
- 労働条件が日本人と同等か
- 労働時間の上限を守っているか
- 受け入れ機関としての届出・報告が適切か
- 教育の記録があるか
この分野の指摘は、是正が難しいことがあります。在留資格と業務のずれが判明した場合、直ちに是正が必要になり、生産体制にも影響します。
買収監査では重点的に確認されるため、先に自己点検しておくことを強くおすすめします。労務デューデリに備えるをご覧ください。
※ 在留資格の制度や受け入れの要件は改正されます。実務にあたっては、出入国在留管理庁の情報および行政書士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。