住居の確保
最も大きな課題です。個人での賃貸契約が難しいことが多く、会社の関与が必要になります。
方法
- 社宅を借り上げる:会社が契約し、社宅として提供する
- 会社が保証人になる:本人が契約し、会社が保証する
- 寮を持つ:自社で物件を保有する
- 不動産会社と提携する
借り上げ社宅が最も一般的です。ただし、家賃の負担割合や、退去時の扱いを明確にしておく必要があります。
住居に関する注意点
- 受け入れる制度によっては、居住面積等の基準が定められている場合があります
- 家賃を給与から控除する場合、賃金控除に関する労使協定が必要になることがあります
- 実費を超える徴収は問題になります
- 職場から通える距離か(自転車、公共交通)
2番目を見落とすと、労務上の指摘につながります。食品工場の労務管理 完全ガイドをご覧ください。
入居時に用意するもの
- 寝具、家具(ベッド、テーブル、椅子)
- 家電(冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、エアコン)
- 調理器具、食器
- カーテン
- Wi-Fi環境
Wi-Fiは必須です。母国の家族との連絡手段であり、これがないと生活が成り立ちません。
着任直後の手続き
同行または代行が必要になるものです。
- 住民登録(市区町村)
- マイナンバーの受け取り
- 国民健康保険・社会保険の手続き
- 銀行口座の開設
- 携帯電話の契約
- 印鑑の作成
銀行口座と携帯電話は、開設に時間がかかることがあります。早めに着手してください。
生活のオリエンテーション
次を、着任後早い段階で説明してください。
- ごみの分別と出し方(地域ごとにルールが異なります)
- 騒音(夜間、集合住宅)
- 交通ルール(特に自転車)
- 買い物ができる場所
- 医療機関(診療科、受診の方法)
- 緊急時の連絡先
- 災害時の避難場所
ごみの分別と騒音は、地域とのトラブルになりやすい項目です。図やイラストを使った資料を用意してください。
医療への対応
- 近隣の医療機関のリスト(対応言語も含めて)
- 受診時の同行または通訳の手配
- 医療通訳サービスの案内
- 健康保険証の使い方の説明
体調不良を言い出せずに悪化させるケースがあります。食品工場では、体調不良の報告は衛生管理上も重要です。「報告しても不利益にならない」ことを明確に伝えてください。
地域との関係
受け入れ人数が増えると、地域との関係が課題になります。
対策
- 自治会への説明と挨拶
- 地域の行事への参加
- 近隣への連絡先の周知(何かあれば会社へ)
- 日本語教室や国際交流団体との連携
問題が起きてから対応するより、先に関係を作っておくほうがはるかに円滑です。
日本語学習の支援
- 地域の日本語教室の案内
- オンライン教材の提供
- 学習時間の確保(勤務時間内に設ける例もあります)
- 職場で使う日本語の教材を作る
4番目が実務的に有効です。工場で使う単語(原料名、設備名、作業の指示)を集めた教材を作ると、すぐ役に立ちます。多国籍な現場のコミュニケーション設計をご覧ください。
相談体制
外国人従業員は、次の理由で相談しにくい立場にあります。
- 言葉の壁
- 在留資格への不安
- 母国の家族への送金があり、辞められない
- 誰に相談してよいか分からない
整えること
- 定期的な面談(形式的にしない)
- 母国語で相談できる窓口(通訳、支援機関)
- 同国人の先輩をメンターにする
- 外部の相談窓口の案内
3番目が実務的に効果があります。先に来た人が新しく来た人を支える仕組みができると、定着が大きく変わります。
費用の考え方
生活支援には費用がかかります。ただし、次と比較して考えてください。
- 採用にかかる費用
- 教育にかかる時間
- 離職した場合の再採用コスト
- 生産が止まるリスク
定着すれば、費用は十分に回収できます。逆に、支援が不十分で早期に辞められると、すべてが無駄になります。
承継の観点
生活支援の体制も、属人化しやすい領域です。特定の担当者がすべてを抱えていると、その人が抜けたときに機能しません。
- 手続きの手順を文書化する
- 複数人が対応できるようにする
- 外部機関との関係を会社として持つ
引き継ぎ資料の作り方をご覧ください。