なぜ清掃中に多いのか
食品工場では、衛生管理のために設備を分解して洗浄します。この作業に危険が集中します。
- 安全カバーを外した状態で作業する
- 詰まりを取るために、動いている機械に手を入れる
- 電源を切らずに軽微な作業をしてしまう
- 作業スペースが狭く、無理な姿勢になる
- 終業後で急いでいる
「少しだけだから」という判断が、最も危険です。
危険な設備
- コンベア(ローラー、ベルトの巻き込み部)
- ミキサー、ニーダー(回転する羽根)
- スライサー、カッター(刃物)
- 成形機、充填機(往復する部分)
- 包装機、シール機(加熱する挟み込み部)
- リフター、パレタイザー(昇降部)
- 粉砕機、ミル
対策の順序
次の順で検討してください。下にいくほど確実性が下がります。
- 危険源をなくす:そもそも危険な作業をなくす設計
- 隔離する:カバー、柵、光線式安全装置
- 止める:インターロック(カバーを開けると止まる)
- 手順で管理する:作業手順書、ロックアウト
- 保護具:手袋など
4番目と5番目だけに頼っている工場が多いのですが、人は必ずミスをします。設備側の対策を優先してください。
ロックアウト・タグアウト
清掃や修理の際に、電源を切り、他の人が入れられないようにする仕組みです。
実施の方法
- 設備を停止する
- 主電源を切る
- 施錠する(ロックアウト)
- 「作業中・操作禁止」の表示を付ける(タグアウト)
- 作業する
- 作業者本人が解除する
6番目が重要です。作業した本人以外が解除できると、意味がありません。個人ごとの南京錠を使う方法が確実です。
食品工場では、「電源を切ると温度が下がるから」といった理由でロックアウトが徹底されないことがあります。安全を優先する運用にしてください。
インターロックの点検
カバーを開けると機械が止まる仕組みが付いていても、無効化されていることがあります。
- センサーにテープが貼られている
- ダミーのキーが差しっぱなし
- 故障したまま使っている
定期的に作動確認を行い、記録を残してください。無効化を見つけたら、なぜそうしたのかを聞いてください。作業性に問題があることが多く、根本の解決が必要です。
手順書の作り方
清掃・分解の手順書には、次を含めてください。
- 作業前の停止・ロックアウトの手順
- 取り外す部品の順序
- 危険な箇所と、その理由
- 複数人で行う場合の合図
- 組み立て後の確認事項
- 試運転の手順
写真を入れると格段に伝わります。特に危険な箇所は、赤枠で囲んで示してください。
教育のポイント
- 入社時に必ず実施する
- 実際の設備の前で説明する
- 過去の事故・ヒヤリハットの事例を伝える
- 外国人従業員には、理解できる方法で行う
- 記録を残す
「危ないから気をつけて」では伝わりません。どこが、なぜ危ないかを具体的に示してください。教育計画の作り方をご覧ください。
設備の老朽化との関係
古い設備は、次の理由でリスクが高くなります。
- 安全装置が現在の水準に達していない
- 部品の摩耗で動作が不安定
- 詰まりが増え、手を入れる機会が増える
- メーカーのサポートが終了している
設備更新の優先順位を決める際、安全性を最上位に置いてください。設備の寿命から逆算すると設備の評価をご覧ください。
点検の手順
- 危険な設備を一覧にする
- それぞれについて、安全カバー・インターロックの有無を確認する
- 実際に作動するか確認する
- 無効化されていないか確認する
- 清掃・分解の手順書があるか確認する
- ロックアウトの運用が徹底されているか、実際に見る
- 過去のヒヤリハット・労災を確認する
6番目は、書類ではなく現場を見てください。運用の実態は、見ないと分かりません。
※ 労働関係法令の具体的な取扱いは、改正や個別の事情によって異なります。実行にあたっては、管轄の労働基準監督署および社会保険労務士等の専門家にご確認ください。