自動化の対象
- 計量:定量計量、組合せ計量
- 充填:液体、粘体、粉体、固形物
- 包装:ピロー包装、トレーシール、真空包装
- ラベル貼り・印字:日付、ロット番号
- 重量チェック:規格外の排除
- 箱詰め・積み付け
効果1:人手の削減
最も分かりやすい効果です。削減できる人時 × 時間単価 × 年間稼働日数で試算します。
ただし、すぐに人員を減らせるとは限りません。他工程への配置転換、生産量の増加、残業の削減という形で効果が現れることが多くなります。人手不足を自動化でどこまで補えるかをご覧ください。
効果2:過剰充填の削減(見落とされやすい)
これが最も効果の大きい項目になることがあります。
手作業や旧式の計量機では、表示量を下回らないよう多めに入れる運用になりがちです。この余分が、そのまま原料費の損失です。
試算の例
- 表示量200gに対し、平均210g入れている(過剰5%)
- 年間生産100万個 × 10g = 10トンの原料
- 原料単価500円/kg なら、年間500万円
精度の高い計量機を入れると、この余分が減ります。投資回収の主要な根拠になります。
実際の過剰量は、製品を数十個計量すれば分かります。まず測ってみてください。
効果3:品質の安定
- 充填量のばらつきが減る
- シール不良が減る
- 人の手が触れる回数が減る(衛生面)
- ラベルの貼り間違いが減る
ラベルの貼り間違いは、表示ミスとして回収につながることがあります。食品表示と回収リスクをご覧ください。
増える費用と負担
1. 洗浄・分解の時間
食品工場で最も見落とされる項目です。自動機は構造が複雑で、分解・洗浄に時間がかかります。
「人を1人減らせたが、洗浄に2人時かかるようになった」という事態が起こりえます。選定時に、洗浄のしやすさを必ず確認してください。
2. 段取り替えの時間
品目を切り替えるたびに、部品の交換と調整が必要になります。少量多品種の工場では、この負担が大きくなります。
段取り替え時間の短縮をご覧ください。
3. 保守・修理
- 定期的な保守契約
- 消耗部品の交換
- 故障時の対応(部品の在庫、業者の対応速度)
故障で止まったときの影響を、必ず見積もってください。手作業なら人を増やせば対応できますが、機械が止まると生産が完全に止まります。
4. 操作を覚える教育
操作できる人が1人しかいない状態を避けてください。属人化を解くつもりが、新たな属人化を生みます。多能工化とスキルマップをご覧ください。
選定の確認点
1. 洗浄性
- 工具なしで分解できるか
- 分解にかかる時間
- デッドスペースが少ないか
- 洗剤・熱水に耐えるか
- アレルゲンの切り替えに対応できるか
実際に分解して見せてもらってください。カタログでは分かりません。
2. 段取り替えのしやすさ
- 品目ごとの設定を保存・呼び出しできるか
- 部品交換の有無と時間
- 調整に熟練を要しないか
3. 対応できる範囲
- 自社の全品目に対応できるか
- 将来の品目にも対応できるか
- 容器・包材のサイズ範囲
4. 能力と現状のバランス
能力が過剰でも意味がありません。前後の工程が律速なら、そこを改善するのが先です。ライン稼働率の見方をご覧ください。
5. 設置スペースと電源・エア
設置場所、動線への影響、必要な電源容量、エア(圧縮空気)の供給。設置後に工事が必要と判明することがあります。
導入の進め方
- 現状を測る(作業人時、過剰充填量、不良率、段取り時間)
- 効果を試算する
- 複数社から提案を受ける
- 自社の製品でテストしてもらう
- 洗浄・段取りの実演を見る
- 導入後の効果を測定する
4番目を必ず行ってください。食品は物性が多様で、他社で動いても自社の製品では動かないことがあります。
補助金の活用
省力化・生産性向上のための設備投資には、補助金が使える場合があります。公募の時期に合わせて計画を立てることで、自己負担を抑えられます。
承継の観点
計量・包装が自動化されていると、人員が減っても生産を維持できます。人材確保が困難な業界で、これは大きな価値です。
買い手から見ても、労働集約的な工場より評価されます。設備の評価をご覧ください。