制度の性格
人手不足に直面する中小企業が、省力化に資する設備を導入することを支援する制度です。
あらかじめ登録された製品から選ぶ形式のものと、個別に計画を作って申請する形式のものがあります。制度の枠組みは変わることがあるため、最新の内容を確認してください。
食品工場で対象になりやすい設備
- 自動計量機・組合せ計量機
- 自動包装機・シール機
- ラベラー、印字機
- 箱詰め機、パレタイザー
- 搬送コンベア、自動搬送機
- 洗浄装置
- 検査装置(金属検出、X線、画像)
- 自動倉庫、仕分け装置
包装・箱詰め工程は、食品工場で最も人手がかかる工程であることが多く、省力化の効果が出やすい領域です。
設備選定の順序
補助金があるからといって、順序を飛ばさないでください。
順序1:作業をなくせないか
機械化する前に、その作業自体が必要かを問い直します。
- 不要な検品・確認
- 運搬・持ち替え
- 包装の仕様の簡素化
- 品目数の削減
順序2:工程を改善できないか
- レイアウトの変更
- 作業手順の標準化
- 段取り替えの短縮
順序3:ボトルネックを特定する
最も遅い工程が全体の速度を決めます。ボトルネックでない工程を自動化しても、生産量は増えません。
順序4:投資する
省力化投資の順序で詳しく扱っています。
効果の示し方
申請では、省力化の効果を定量的に示す必要があります。
示すべき数字
- 現在、その工程に何人時かかっているか
- 導入後、何人時になるか
- 削減される人時 × 時間単価 × 年間稼働日数 = 削減額
- 生産量が増える場合、その効果
「現在の人時」を把握していないと、書けません。日報や実績データから算出してください。人件費率の見方をご覧ください。
付随する効果も書く
- 過剰充填の削減による原料費の低減
- 不良率の低下
- 残業時間の削減
- 労災リスクの低減(重量物の運搬が減る)
- 衛生面の向上(人の手が触れる回数が減る)
過剰充填の削減は、金額が大きくなることがあります。計量・包装の自動化で試算の方法を扱っています。
食品工場特有の確認点
1. 洗浄性
最も重要な確認点です。自動機は構造が複雑で、分解・洗浄に時間がかかります。
「人を1人減らせたが、洗浄に2人時かかるようになった」では、省力化になりません。
選定時に、実際に分解して見せてもらってください。
2. 段取り替え
品目が多い工場では、切り替えのたびに部品交換と調整が発生します。設定を保存・呼び出しできるかを確認してください。
3. 自社製品での動作
食品は物性が多様です。他社で動いても、自社の製品では動かないことがあります。必ずテストしてください。
4. 異物混入のリスク
設備の部品が破損して製品に混入するリスク。樹脂・ゴム部品の管理を含めて確認してください。異物混入を防ぐ体制をご覧ください。
5. 保守体制
故障時の対応速度、部品の供給。機械が止まると生産が完全に止まります。
導入後の注意
1. 人員をどうするか
省力化しても、すぐに人員を減らせるわけではありません。
- 他の工程に配置転換する
- 生産量を増やして対応する
- 残業を減らす
- 自然減で調整する
「機械を入れたから解雇する」という運用は避けてください。労働法上の制約があるだけでなく、現場の信頼を失います。
実態としては、「これ以上採用できない中で、生産を維持する」という目的であることが多いはずです。
2. 操作できる人を複数育てる
新たな属人化を生まないでください。多能工化とスキルマップをご覧ください。
3. 効果を測定する
導入前後で、人時・不良率・生産量を比較してください。報告が求められる場合、この数字が必要になります。
4. 財産の処分制限
一定期間、処分に承認が必要です。M&Aを検討している場合は事前に確認してください。
他の制度との比較
省力化が主目的でも、次の制度が適する場合があります。
- 革新性のある取り組み → ものづくり補助金
- 承継を契機とする → 事業承継・引継ぎ補助金
- システム導入 → IT導入系
- 省エネ設備 → 省エネ系
補助率・上限額・要件を比較して選んでください。食品製造業が使える補助金の種類をご覧ください。
※ 補助金・税制優遇の制度名、要件、補助率、公募時期は年度ごとに変わります。本記事は一般的な考え方を整理したものです。実際の申請にあたっては、必ず最新の公募要領をご確認のうえ、認定経営革新等支援機関等の専門家にご相談ください。