一般衛生管理の位置づけ
重要な工程の管理(加熱温度、金属検出など)は、土台が整っていて初めて機能します。その土台にあたるのが一般衛生管理です。
逆に言えば、ここが崩れていると、いくら重要工程を管理しても意味がありません。
10の項目
1. 原材料の受入の確認
- 納品時の温度(冷蔵・冷凍品)
- 包装の破損、汚れ
- 期限表示
- 異物の有無
- 数量と品名
記録は、受入伝票にチェック欄を設けるのが実務的です。仕入先の規格書と照合できる状態にしておくと、後の対応が楽になります。原料規格書の管理をご覧ください。
2. 冷蔵・冷凍設備の温度確認
1日1回以上の確認が基本です。記録漏れが最も起きやすい項目でもあります。
温度計の位置、確認する時間帯、異常時の対応を決めておいてください。IoTによる自動記録も選択肢になります。温度管理のIoT化をご覧ください。
3. 交差汚染・二次汚染の防止
- 加熱前と加熱後の区分
- 器具・容器の使い分け(色分けが有効)
- まな板、包丁、手袋の管理
- アレルゲンを含む原料の取扱い
アレルゲンの管理は特に重要です。アレルゲン管理と表示をご覧ください。
4. 器具等の洗浄・消毒・殺菌
- 洗浄の手順(分解、洗浄、すすぎ、消毒、乾燥)
- 使用する洗剤・消毒剤の濃度と接触時間
- 頻度
- 洗浄後の保管方法
洗浄は手順書を作って掲示するのが効果的です。人によってやり方が違うと、結果も変わります。
5. トイレの洗浄・消毒
実施の頻度と担当を決め、記録を残します。作業着のまま入らないといったルールも明記してください。
6. 従業員の健康管理・衛生的な作業着の着用
- 始業前の健康確認(下痢、嘔吐、発熱、手指の傷)
- 体調不良時の申告と、作業からの除外
- 作業着、帽子、マスクの着用と交換の頻度
- 爪、装飾品、私物の持ち込み
健康確認は毎日全員分の記録が必要です。名簿方式にすると運用しやすくなります。
7. 手洗いの実施
- 手洗いのタイミング(入室時、トイレ後、原料に触れた後など)
- 手洗いの手順(掲示する)
- 設備の管理(石けん、消毒液、ペーパータオルの補充)
8. そ族・昆虫対策
- 捕虫器・粘着トラップの設置と確認
- 建物の隙間、排水口、開口部の管理
- 駆除の実施(外部委託の場合は報告書を保管)
- 結果の傾向分析
捕獲の記録を継続して残すと、傾向が見えます。特定の時期・場所に集中していれば、対策が打てます。
9. 使用水の管理
- 水道水を使用している場合、残留塩素の確認
- 井戸水を使用している場合、水質検査の実施と記録
- 貯水槽がある場合、清掃と点検
井戸水を使う工場では、水質検査の記録が承継時に必ず確認されます。
10. 廃棄物・排水の取扱い
- 廃棄物の保管場所と、製造区域からの分離
- 搬出の頻度
- 容器の洗浄
- 排水の処理
処理の委託については食品廃棄物の処理をご覧ください。
記録の作り方
10項目すべてを毎日記録する必要はありません。頻度は項目によって変えられます。
| 頻度 | 項目の例 |
|---|---|
| 毎日 | 温度確認、健康確認、洗浄 |
| 週1回 | 捕虫器の確認、貯水槽の外観点検 |
| 月1回 | そ族昆虫の傾向確認 |
| 年数回 | 水質検査、貯水槽の清掃 |
頻度を整理して1枚の帳票にまとめると、運用が楽になります。
承継時に見られる点
- 記録が継続して残っているか(抜けている月はないか)
- 異常があったときの記録と、対応の記録があるか
- 記録が実態を反映しているか(すべて同じ数値が並んでいないか)
- 担当者が複数いるか(1人に依存していないか)
3番目は要注意です。冷蔵庫の温度が毎日まったく同じ数値だと、実際に測っていないと見られます。HACCPに沿った衛生管理は承継でどう見られるかをご覧ください。
※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。