2つの制度
食品衛生法では、営業の内容に応じて次のように分かれます。
| 営業許可 | 営業届出 | |
|---|---|---|
| 対象 | 公衆衛生に与える影響が著しい業種 | 許可の対象外で、届出が必要な業種 |
| 手続き | 申請 → 施設検査 → 許可 | 届出(施設検査は原則なし) |
| 施設基準 | 基準への適合が必要 | 許可のような基準はない |
| 有効期間 | あり(更新が必要) | なし |
| 食品衛生責任者 | 必要 | 必要 |
| HACCPに沿った衛生管理 | 必要 | 必要 |
届出でも、食品衛生責任者の設置と衛生管理は必要です。「届出だから何もしなくてよい」ということではありません。
食品製造業での判定
製造している品目によって分かれます。菓子、そうざい、食肉製品、水産製品、清涼飲料水などの製造は許可の対象とされています。
一方、常温で保存可能な包装済み食品の販売など、公衆衛生上のリスクが相対的に低いとされるものは届出の対象になります。
判定は法令と条例に基づくため、必ず管轄の保健所に確認してください。営業許可が要る業種はどれかで確認の手順を示しています。
判定でつまずきやすい場面
1. 品目を増やしたとき
最も多いパターンです。既存の許可で作れる範囲を超えた品目を始めてしまう。
例えば、そうざい製造業の許可で操業している工場が、菓子の製造を始めた場合。別の許可が必要になることがあります。
2. 加工の度合いが変わったとき
仕入れた食品を小分けするだけだったのが、加熱や味付けを行うようになった。この変化で、届出から許可の対象になることがあります。
3. 販売形態を広げたとき
製造だけだった工場が、直売所を併設した、ECで販売を始めた、飲食スペースを設けた。それぞれ別の許可や届出が必要になる場合があります。
4. 受託製造を始めたとき
他社ブランドの製造を受託する場合も、自社が製造者である以上、その品目に応じた許可が必要です。
なぜ承継で問題になるのか
M&Aの法務デューデリジェンスでは、許可の範囲と実際の製造品目が一致しているかが必ず確認されます。
ずれが見つかると、次のいずれかになります。
- クロージングまでに必要な許可を取得することが条件になる
- 取得までの間、当該品目の製造を止めることになる
- 価格の交渉材料になる
いずれも避けたい事態です。先に確認し、必要なら先に取得しておくのが正解です。法務デューデリジェンスをご覧ください。
いま確認する手順
- 許可証を取り出し、業種と範囲を書き写す
- 現在製造している全品目を一覧にする
- 品目ごとに、どの許可の範囲に入るかを対応させる
- 対応が不明なものを抜き出す
- その一覧を持って、管轄の保健所に相談する
2番目が重要です。受託製造やスポット品を含めて、すべて書き出してください。年に数回しか作らない季節商品が漏れていることがあります。
相談するときのコツ
保健所への相談は、「これから始めたい」という形で相談するほうがスムーズです。すでに製造している場合でも、正直に状況を伝えて指導を仰ぐのが結果的に早く解決します。
製品の規格書、工程図、施設の図面を持参すると、判断が具体的になります。
届出の場合の注意
届出であっても、次は必要です。
- 食品衛生責任者の設置(食品衛生責任者の要件と交代の手続き)
- HACCPに沿った衛生管理の実施(HACCPに沿った衛生管理 完全ガイド)
- 食品表示への対応(食品表示法の基本)
- 営業者の変更や廃業の際の届出
届出は有効期間がない代わりに、変更があったときの届出を忘れがちです。代表者が変わった、屋号が変わった、施設を移転した。これらは届出の対象になります。
※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。