混入経路で分けて考える
対策を考えるときは、どこから入るかで分けると整理しやすくなります。
- 原材料に由来するもの
- 設備・器具から出るもの
- 人が持ち込むもの
- 建物・環境から入るもの
- 包装資材に由来するもの
経路1:原材料
典型的な異物
石、木片、植物片、骨、貝殻、糸くず、虫。
対策
- 受入時の検品(サンプリングでの確認)
- 仕入先の規格書で、異物の管理状況を確認する
- 選別・洗浄工程を設ける
- ふるい、マグネット、フィルターの設置
仕入先の管理状況を確認することが根本的な対策です。原料規格書の管理をご覧ください。
経路2:設備・器具
典型的な異物
金属片、ボルト・ナット、ベアリングの破片、樹脂片、ゴムパッキン、刃こぼれ、塗装片。
対策
- 始業前・終業後の設備点検(部品の欠損確認)
- 刃物・器具の破損チェックと記録
- ボルト等の定期的な増し締め
- 樹脂・ゴム部品の劣化管理(交換周期を決める)
- 金属検出機・X線検査機の設置と作動確認
- 塗装の剥がれやすい箇所の管理
最も多く、最も重大なのがこの経路です。老朽化した設備ほどリスクが高くなります。設備の寿命から逆算するとあわせて考えてください。
経路3:人
典型的な異物
毛髪、繊維、絆創膏、爪、アクセサリー、ボタン、筆記具、私物。
対策
- 作業着・帽子・マスクの着用ルールと、着用状態の確認
- 入室前の粘着ローラー、エアシャワー
- アクセサリー・時計・私物の持ち込み禁止
- ポケットのない作業着の採用
- 筆記具の管理(本数を決めて記録)
- 絆創膏は色付き・金属入りのものを使用
- 爪の点検
毛髪は最も多いクレーム原因の1つです。帽子の被り方(耳と生え際を完全に覆う)まで教育してください。
経路4:建物・環境
典型的な異物
虫、そ族の毛、天井や壁の破片、断熱材、埃、結露水。
対策
- 建物の隙間、開口部、排水口の封鎖
- 捕虫器の設置と定期確認
- 天井・壁・照明の破損点検
- 照明にカバーを付ける(破損時の飛散防止)
- 結露の防止(換気、断熱)
- 製造区域への外部からの動線管理
照明のカバーは見落とされがちですが、破損時の影響が大きいため必ず確認してください。
経路5:包装資材
典型的な異物
フィルムの切れ端、シール片、紙片、段ボールの繊維。
対策
- 資材の保管方法(段ボールを製造区域に持ち込まない)
- 開梱場所を製造区域と分ける
- 資材の検品
検査機による対策
混入を完全に防ぐことは難しいため、出荷前に検出する仕組みが必要です。
- 金属検出機:金属異物の検出。多くの工場で導入されています
- X線検査機:金属以外(骨、石、硬質樹脂など)も検出可能
- 画像検査:外観の異常や特定の異物を検出
検査機は作動確認の記録が必須です。テストピースを流して検出することを、始業時・終業時・一定間隔で確認し、記録に残します。
導入の判断は画像検査・異物検知の導入判断をご覧ください。
承継前に点検する項目
- 過去のクレームを分類し、異物の種類と経路を整理する
- 検査機の設置状況と、作動確認の記録を確認する
- 設備の樹脂・ゴム部品の管理状況を確認する
- 捕虫器の記録に傾向がないか確認する
- 作業着・入室のルールが守られているか、実際に見る
- 照明カバー、天井、壁の破損を点検する
1番目が出発点です。どの経路が自社の弱点かが、クレームの記録から見えてきます。
買い手・取引先が見る点
- クレームの記録と、原因の特定・対策の記録があるか
- 検査機の作動確認が継続して記録されているか
- 過去に回収があった場合、その後の対策が実施されているか
- 設備の老朽化が異物リスクにつながっていないか
クレームがあること自体は減点ではありません。原因を特定し、対策を実施し、記録に残しているかが見られます。回収が起きたときの初動をご覧ください。
※ 営業許可・衛生管理・食品表示の具体的な取扱いは、法令の改正や管轄行政庁の運用によって異なります。実行にあたっては、管轄の保健所等および専門家に必ずご確認ください。