36協定の基本

法定労働時間を超えて働かせる、または法定休日に働かせるには、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

協定がない、または届け出ていない状態で時間外労働をさせることは、法令違反となります。

点検項目1:協定が有効か

  • 有効期間:切れていないか(通常1年)
  • 届出:受付印のある控えがあるか
  • 事業場ごと:複数の工場がある場合、それぞれで締結・届出しているか

「毎年更新するもの」という認識が社内で共有されていないと、更新漏れが起きます。営業許可などと同じ管理表で期限を管理してください。

点検項目2:労働者代表の選出

労働組合がない場合、労働者の過半数を代表する者と協定を締結します。

次の点が問題になります。

  • 会社が指名していないか
  • 選出の目的を明らかにしたうえで、投票・挙手等の方法で選ばれているか
  • 管理監督者に該当する人がなっていないか
  • 選出の記録が残っているか

「例年、総務課長が署名している」という運用は問題になりえます。選出手続きの記録を残してください。

点検項目3:対象者の範囲

協定には、対象となる業務の種類と労働者数を記載します。

食品工場では、次の点を確認してください。

  • パート・アルバイトも対象に含まれているか
  • 外国人従業員が含まれているか
  • 実際に時間外労働をしている部署がすべて記載されているか

「製造」だけを記載していて、配送や品質管理が漏れているケースがあります。

点検項目4:上限規制

時間外労働には上限が定められています。原則の上限に加え、特別条項を設けた場合の上限も定められています。

確認すべきは次の点です。

  • 協定で定めた時間を超えていないか
  • 法令上の上限を超えていないか
  • 複数月の平均が基準内か
  • 特別条項を適用できる回数を超えていないか

実績を毎月集計して、上限に対する進捗を管理する仕組みが必要です。年度末に気づいても手遅れです。

特別条項の設計

食品工場では、次のような時期に時間外労働が集中します。

  • 年末年始(おせち、行事食)
  • 行楽シーズン
  • 季節商品の製造期
  • 原料の収穫期・漁期
  • 大口の受注が入ったとき

特別条項を設ける場合、「臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある具体的な事由」を記載します。

「業務の都合上」といった抽象的な記載では不十分とされることがあります。自社の実態に即した具体的な記載にしてください。

点検項目5:健康確保措置

特別条項を設ける場合、健康を確保するための措置を定める必要があります。

次のようなものが挙げられます。

  • 医師による面接指導
  • 連続した休息時間の確保
  • 代償休日・特別な休暇の付与
  • 健康診断の実施
  • 心とからだの相談窓口の設置

定めるだけでなく、実施した記録を残してください

実務上の管理方法

1. 月次で集計する

各従業員の時間外労働時間を月次で集計し、年間の累計を把握します。表計算ソフトでも十分です。

2. アラートを設定する

上限の一定割合に達した従業員に対して、本人と上長に通知する仕組みを作ります。

3. 業務の平準化を検討する

根本的な対策は、時間外労働を減らすことです。

  • 品目数を絞って段取り替えを減らす
  • 仕込み計画の精度を上げる
  • 多能工化で人の配置を柔軟にする
  • 設備投資で工程を短縮する

いずれも収益改善にもつながります。段取り替え時間の短縮多能工化とスキルマップをご覧ください。

承継時に確認される点

  • 協定が有効に締結・届出されているか
  • 労働者代表の選出が適切か
  • 実績が協定の範囲内か
  • 上限規制を遵守しているか
  • 特別条項の記載が具体的か

上限を超えている実績があると、是正が取引の条件になることがあります。労務デューデリに備える労働基準監督署の調査で見られることをご覧ください。

※ 労働関係法令の具体的な取扱いは、改正や個別の事情によって異なります。実行にあたっては、管轄の労働基準監督署および社会保険労務士等の専門家にご確認ください。